エンジニアリング組織論を読んだので、まとめてここに書こうと思います。
1冊をここにすべて載せれればいいんですけど、そんなスキルはまだないので
5章構成でいきます。
エンジニアリング = 「実現の科学」
誰かの曖昧な要求からスタートし、具体的で明確ななにかを作り上げていく過程のこと。
= 不確実性を効率よく削減していくこと。
不確実性は、「未来」と「他人」からやってくる。
環境不確実性(未来からやってくる不確実性)は、実際に行動し、実験・観察することで
不確実性を減らすことができる。
通信不確実性(他人からやってくる不確実性)は、コミュニケーションを通して不確実性を
減らすことができる。
この不確実性を減らすには、情報を生み出していくことに繋がる。
情報を生み出す考え方として、3つの考え方がある。
論理的思考の盲点
論理的思考 = 前提であるルールと事象から、結論を導き出す思考。
前提として、
ルールと事象(考えのもとになる事実)を正しく認知できること
正しく演繹できること
の2つが存在し、どちらも満たしていないと正しくない結論を導きだすことができない。
正しく論理的に思考するためには、2つのことが求められる。
事実を正しく認知できること・感情にとらわれず判断できること.
ただし、人間は完全に正しく認知することはできず事実を多少変化して認知してしてしまう。
原因としては、ベーコンのいう4つのイドラやアーロン・ベックの指摘する認知のゆがみによって生まれてくる。
感情にとらわれず判断できること ある前提にたったとき、人はすぐに結論づけてしまうがこの結論は感情による短略でしかない。
できる限り正しく認知するには、自分の認知がどうゆがむのかを知っておく必要がある。
経験主義と仮説思考
そもそも、人間には「いくら理屈で考えても答えが出ない問題」に時間を浪費してしまう性質がある。
経験主義 = わからないことは調べるしかない。(行動を行うことでしか、「知識」は得られない)
行動することで、不確実性をひとつずつつぶすことで不確実なものを確実なものにしていくことが
できる。
そのため、「行動できることはなにか」・「行動の結果、観察できることはなにか」の2点が重視される。
他人の行動は「観察」でき、自分の行動は「コントロール」できるもの
理性主義 = 新しい知識は、前提から演繹的に得ることができるという考え。
なにか問題にでくわした場合は、「観察できること」・「コントロールできること」
を操作し、その結果を知識にしていく。
結果として、不確実性を下げることになる?
仮説思考 = 「わずかな痕跡」からそれを説明可能とする大胆な思考展開・モデル化を行い、それを検証するための行動につなげる思考
つまり、仮説は、今あるデータから論理立てて導かれるものでも、帰納的に導かれるものでもなく、人間的な直感やひらめきによってみちびかれるものであって、天下り的な結論や合議によって導かれるものは仮説になりえない。(ここで導き出されるのは演繹にあたる?)
システム思考
人間は、「問題を個人の責任にしたり全体像を見失って局所的判断をしてしまう」性質があるので、
課題は全体像ではないのではないか、問題は要素にあるのではなく関係性にあるのではないか、という考えをする必要がある。
システム = 秩序だった複数要素の組み合わせ。
システム思考 = 全体の関係性を捉えることで、要素の総和は全体の性質とは限らないと考えること。
対になるのは、要素還元的思考で全体を構成する要素に着目して考え、要素の総和が
全体の性質と考えること。
思考 要素還元主義 システム
構造 ツリー構造 ネットワーク構造
関係性 線形な関係性 非線形的な関係性
全体の捉え方 要素の総和 = 全体の性質 要素の総和が全体の性質とは限らない
線形 = 要素間で計算ができること?
システム思考 = 要素の性質にこだわるのではなく要素同士の関係に着目して考えること
重要なのは、「フォードバックサイクル」という考え方。
ある原因に対する結果が、その原因自体に変化をもたらすという考え
- 拡張のフィードバック
原因:サッカーが好きなので、練習する
結果:上達して褒められる。
拡張のフィードバック:サッカーがもっと好きになる。 - 抑制のフィードバック
原因:勉強しないので、無理やり勉強をさせられる。
結果:あまり成績が伸びない
抑制のフィードバック:より勉強をやらなくなる。
まとめ
エンジニアリング = 「なにか」を実現すること。そのために、不確実性の高い状態から不確実性の低い状態へと効率よく移していく作業のことも含む。
不確実性の低い状態 = 必要な情報がそろっている状態 = 情報を生み出すこと。
エンジニアリングをする作業は、個人でなく複数人で行うことが多々ある(というか9割型それ)なので、さまざま部分で問題が発生する。
その要因は、環境不確実性・通信不確実性の2つにわけることができる。
環境不確実性は、未来からやってくる内容でそのときが来ないとわからないので頭でどれだけ考えても答えはでない内容。
こうした問題を解消するためには、経験主義や仮説思考のように行動と観察のサイクルを繰り返すことが解消につながる。
一方で、通信不確実性によって情報の非対称性や限定合理性といった問題が発生する。
情報の非対称性 = 同じ目的をもった集団で、なにかの情報を片方の人が知っていてもう片方が知らないという状態。自分の考えを正確に伝えているつもりでも他人には完全に伝わっているわけではないことから起こる。
限定合理性 = システム全体での合理性ではなく自分の立場や役割の範囲内で合理的な行動を取ること。
こうした問題を解消するには「コミュニケーション能力」が求められる。
コミュニケーション能力 = 通信の不確実性を減少させ集団内での情報の非対称性や限定合理性を極力縮小させていく能力のこと。