はじめに
ITインフラの管理には、ユーザーやデバイスの一元管理が不可欠です。
Active Directory(AD)は、その役割を果たすためのMicrosoftのディレクトリサービスであり、多くの企業で採用されています。
本記事では、Active Directoryの基本概念について解説します。
書こうと思ったきっかけ
Active Directoryは多くの企業で使われているものの、その仕組みを理解しきれていない方も多いのではないでしょうか。
特に、システム管理者やIT担当者にとって、ADの基礎を押さえておくことは非常に重要です。
そこで、基本的な概念を整理し、分かりやすく解説することにしました。
1. Active Directoryとは
Active Directory(AD)は、Microsoftが提供するディレクトリサービスであり、組織内のユーザーやコンピューター、リソースの管理を一元化するための仕組みです。
引用画像:https://www.sbbit.jp/article/cont1/37798
Windows Server環境で広く利用されており、認証やアクセス管理の基盤となります。
2. Active Directoryの主要なコンポーネント
ADには複数の重要なコンポーネントがあり、それぞれが役割を持っています。
2.1 ドメイン(Domain)
Active Directoryの基本単位で、ユーザーやコンピューター、リソースが一元管理される境界を指します。
引用画像:https://www.rworks.jp/system/system-column/sys-entry/21659/
ドメインには一意の名前(例: example.com
)が設定され、全てのオブジェクトはこのドメインの管理下に置かれます。
2.2 ドメインコントローラー(Domain Controller, DC)
ドメインを管理するサーバーのことを指します。
引用画像:https://atmarkit.itmedia.co.jp/ait/articles/1405/26/news024.html
DCはユーザー認証を行い、Active Directoryデータベースを保持し、ネットワーク全体のセキュリティを維持します。
2.3 組織単位(Organizational Unit, OU)
ドメイン内のオブジェクトを管理しやすくするための単位です。OUを使うことで、グループポリシー(GPO)を適用したり、特定の管理者に権限を委譲したりできます。
2.4 フォレスト(Forest)
1つ以上のドメインをまとめた最上位の構造です。異なるドメイン同士でも、フォレスト内にある場合は信頼関係を設定することでリソース共有が可能になります。
2.5 ツリー(Tree)
共通のネームスペースを持つドメインの集まりをツリーと呼びます。例えば、example.com
というドメインの下にsales.example.com
やhr.example.com
といったサブドメインを作成することができます。
3. Active Directoryの機能
ADは単なる認証システムではなく、さまざまな機能を提供します。
3.1 認証とアクセス制御
Active Directoryでは、ユーザーがドメインにログインする際に認証を行います。Windowsのログオンプロセスは、ADの認証を通じて行われます。
引用画像:https://www.jtc-i.co.jp/product/sps/active-directory-ldap.html
また、グループポリシーを利用して、ユーザーごとのアクセス権限を細かく設定できます。
3.2 グループポリシー(Group Policy, GPO)
管理者が一元的にセキュリティ設定やPC設定を管理するための機能です。
引用画像:https://xtech.nikkei.com/it/atcl/column/15/073000186/080300001/
例えば、ユーザーのデスクトップの背景を統一したり、パスワードポリシーを適用したりできます。
3.3 レプリケーション
複数のドメインコントローラーが存在する環境では、ADのデータが自動的に同期されます。これにより、高可用性とデータの一貫性が確保されます。
引用画像:https://blogs.manageengine.jp/ad_replication/
4. Active Directoryのメリット
ADを導入することで、以下のようなメリットがあります。
- 一元管理: ユーザー、グループ、デバイス、ポリシーを一括で管理できる
- セキュリティ強化: 一元的な認証とアクセス管理により、セキュリティを向上
- スケーラビリティ: 組織の成長に応じてドメインやOUを柔軟に追加可能
- 業務効率の向上: ユーザー管理の負担を軽減し、運用コストを削減
まとめ
Active Directoryは、Windows環境における認証・管理の基盤となる重要な仕組みです。
ドメイン、OU、グループポリシーなどの機能を理解し、適切に運用することで、効率的なITインフラの構築が可能になります。
IT管理者にとって必須の知識であり、組織のセキュリティと効率性を高めるために、正しく運用することが求められます。