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リモートワークで鬱になったエンジニアがwebデザイナーを目指すようになった話

Last updated at Posted at 2023-02-15

はじめに

2020年にコロナが世界的流行し、同年4月頃には首都圏で緊急事態宣言が発令されました。
同時期にリモートワークで働き始めたものの、様々な理由が重なって鬱病を発症しました。

この記事は自律神経失調症と診断されて地獄を見た元エンジニアの体験談と、そこから療養に専念しつつ何とか社会復帰しようと藻掻いている話です。

取り留めもない文章かつ技術的な話もないので興味の無い方はブラウザバック推奨です。

プロフィール

  • 年齢:26(鬱病発症時) 現在は28
  • 職業:Webエンジニア(SES)
  • 職場:完全リモートワーク

何で鬱になった?

正直以前から自分はエンジニアに向いてないと感じていたのでリモートワークだけが理由ではないと思っています。
とりあえず、要因として大きかったと思うものを書いていきます。

アパート上階の騒音がうるさくて引っ越したら家の隣で建築工事が始まった

元々住んでたアパートの上階に住んでいる方が凄く足音の大きい方で、ドンドン音がするのが気にはなっていました。
とはいえ出勤して仕事をしていた時はあまり家にいなかったので当時は何とか過ごしていました。
リモートワークが始まってから、仕事中にドンドン足音を立てられると流石にストレスだったので引っ越しました。

引っ越した先はアパートの最上階角部屋で、周辺も閑散とした場所でした。
ですが、引っ越してから二か月くらい経った頃に、アパートの隣で4~5件近い家の建築が始まったのが地獄の始まりでした。
始業の朝9時近くと同時にガンガンと木材や金属を叩く音、ドリルで地面を掘る音、怒声、その他諸々の音が18時過ぎまで鳴り響いてました。
当然ですが就業時間と工事の時間が被っているので仕事中はずっと工事音が鳴り響き、非常にストレスでした。

4か月程度経過した頃でしょうか。ようやく建築工事が終わりやっと静かになったと思っていたところ。
新たに4~5件家を新しく建てることになったらしく、再び工事の音が鳴り響くようになりました。

それでも繁忙期はやってくる

当然ですが私の住んでいるアパートの近くで工事していようが関係なくプロジェクトは進行します。
とあるバッチシステムの抜本的な改修を行おうというプロジェクトが動き始めていました。

ただし開発とリリース日は決まったものの、そもそも要件が決まっていないという不思議な案件でした。

よくある愚痴

この項は業界あるあるの愚痴でしかないので飛ばしても構いません。

ケツは決まっているが要件は決まってない。でも工数を出して欲しいと謎の要望が飛んでくる。
要件が決まってないので工数の出しようもない。
当バッチシステムを作った人間なんて当然の如くいないし、いつ作られたのかも分かってないし、仕様書も完全には残ってない。
そもそも何がどうなって動いているのか、具体的に何をしているバッチなのかすら不明だった。

当時同時並行して別の業務を進めていたことや、バッチが外部システムと連携しているために自分だけでは調査ができなかった。
そのため、改修以前にそもそも本格的な調査を行い、仕様書を起こしてから検討すべきだと何度も伝えるが何故か伝わらない。
伝わらないが、それでもこのままじゃ何もできないと何度も何度も警告を続けてようやく、一応の要件が決まる。
が、案の定というか、結局新仕様の追加や修正が入ってきてやっぱり要件が固まらない。

極めつけはよくある少数精鋭のアジャイル開発()で自分以外に設計・コーディング・テストする人間がいなかった。
一応コードレビューは存在していたが、元の仕様を誰も理解してないので意味があったのかは甚だ疑問である。

デスマーチと工事音のストレスにより鬱病発症

進まない要件定義。度々発生する仕様変更。どこまでも後ろにずれていく開発着手時期。でも締切は全く後ろにずれてくれません。
遅れに遅れてようやく設計/開発に入れたものの、お外ではドンドンガンガン工事をしていて全く集中できず仕事も進みません。

防音カーテンやら耳栓やらは色々試しましたが、全て貫通してきて無意味でした。
自宅以外のネットワークに仕事用PCを繋ぐわけにもいかないので逃げ場もなし。

そんな環境で半年以上仕事を続けた結果、動悸・吐き気・過呼吸を起こし、ついには手が震えてキーボードを打つことすらできなくなりました。

最早仕事どころではなかったので上司に朝っぱらから泣きながら相談して急遽心療内科に行ったところ、鬱病と診断されました。
診断書を会社に提出してプロジェクトからは離脱し、休業して療養生活を送ることになりました。2021年2月頃のことでした。

元々抱えていた悩み

最初に書いたとおり、鬱病が発症したのは上記の理由だけだとは思ってません。

そもそも大学卒業してなんとなくの就職でエンジニアになっただけであり、プログラミングにそんなに興味があったわけでもありませんでした。
そんな自分が惰性でエンジニアを続けていてもいずれ淘汰されるのは目に見えていましたし、それが常に自分の中で焦りとしてありました。(事実私は客観的に見ても決して優秀なエンジニアではなかったと思います。)
加えて、web開発をするとなるとどうしても悲観的な思考を続けなければならないのもストレスでした
(〇〇のようなことがあってはならない、〇〇が起きてしまう可能性を考える、バグは絶対起きる、最初はテスト通らないだろう、最悪の事態を想定して...etc)。

他にも諸々ありますが、リモートワークや騒音を含めた色々な悩み・ストレスが積み重なった結果として鬱を発症したんじゃないかなと思ってます。

地獄の始まり

療養生活が始まったものの、とにかく無気力で毎日ひたすらに寝続ける死んだような生活をしていました。
とにかく自分の悪かったところを探したり、プロジェクトを完遂できなかった自分がこれから先やっていけるのかとか。
自分程度のエンジニアならAIに淘汰されるだろうとか、というか何をやっても自分ではAIに淘汰されるだろうとか。
そんなネガティブなことばかりをずっと考えていました。

薬の量も多く、一番酷いときは1日30錠以上の睡眠薬やら安定剤やら精神向上薬やらを飲んでいました。
正直そのレベルだと毎日意識が朦朧としていて記憶が曖昧ですが。
他にもいろいろありますが全部書いてると終わらないので割愛。

死んだような毎日を送っていたところ、流石に心配した家族がわざわざ山形から東京までやってきて。
惨状を目にした結果、そのまま無理矢理実家に連れ戻されました。
放っといたら死ぬと思ったとは後から聞いた話ですが。間違いなかったと思います。

実家に戻っても突然ポジティブになるなんてことはなく。しばらくは表情が動かない、言葉も発さない、食事もろくにとらない有様でした。
4年くらい付き合っていた彼女とも今の有様で付き合っていけるわけもないと思って別れ、心の拠り所も捨ててネガティブを続けていました。

回復期

ずーーーっとネガティブな生活を続けていましたが、とりあえず実家にいる間死ぬことはないという安心感と日々の療養から少しずつ感情を取り戻していきました。

唐突に、身体を鍛えたら精神もマシになるんじゃないかという考えでジョギングを始めたのがきっかけで、この時期に大きく回復したと思います。ダメ元だったんですが案外効果ありました。
また、この時に趣味を見つけたりもしました。(詳しくは後述

精神が多少は回復したので前を向けるようになり、社会復帰も目指すようになりました。
何を仕事にしようか考えたとき、前々からプログラミングは自分に合っていないと感じていたこともあり、プログラミングはもうやりたくないと考えていました。

とはいえ、ぼちぼち30歳も見えているところで全くの異業種に移るというのも怖かったので、インフラ・ネットワーク周りを触ってみようと思ってCCNAの資格などを取得したりAWSの勉強をしていました。
勉強してみた結果、腐ってもエンジニアをやっていたのもあって多少はとっつきやすかったのもあり、更に応用情報技術者試験を受験してみたりしてこの道で再スタートしようかなと思ってました。

人生で初めて趣味を見つける

唐突ですが当時の私には趣味と言えるものがありませんでした。
昔からゲームはしていましたが、どちらかというと惰性に感じていたこともあり、趣味ではないと思ってました。
後は日本酒とかワインが好きだったりしますが、そんなにアルコールに強いわけでもないのであくまで嗜む程度でした。

そんな自分が薬で身体が重たかったときに、いつものようにベッドで暇つぶしで動画を漁っていると。
デジタルイラストを描く、お絵描き配信をされている方を見つけて配信を視聴したことがありました。
その方はとても綺麗なイラストを、とても楽しそうに、視聴者の人と楽しそうに会話しながら描いていました。
見ていて自分も楽しい気持ちになったのと、好きなことを楽しそうに話してるのが輝いて見えたのを今でも覚えてます。

昔から不器用だとか、音感や絵心は無いと言われて、実際棒人間を描けるかどうかみたいな人間だったんですが。その配信を見たのがきっかけで自分も絵を描きたいと思って液タブを購入し、イラストのオンライン講座を申し込んで本気で挑戦しました。

最初に描けたものは当時の自分から見ても下手な絵でしたが。それでも楽しかったですし、基本ネガティブな自分がこんなにポジティブに何かに取り組めるのかとびっくりしました。
それから半年以上経った今、すっかり習慣となって絵を描くことは私から切り離せない要素となりました。

自分が何をやりたいのか再度考え直した

毎日絵を描いたり療養をしている中、社会復帰するためにインフラ・ネットワークの勉強は続けていました。
が、絵を描いたり勉強しているときに比べて明らかに集中力が低く、特段楽しいと思えるわけでもないことに若干モヤモヤを感じていました。
とはいえ自分が絵で食っていけるかと言われたら首を横に振りますし、イラストレーターになりたいわけでもなかったので、どうするのがいいのかなぁと考えていました。

イラストとITの知見をくっつけたらWebデザインに辿り着いた

これに関しては特にきっかけはなかったと思います。
ある日突然「イラストとITくっつけたらwebデザインになるんじゃね」と思いついただけです。(あくまで私個人の発想です)

photoshopはあまり使ったことはないものの、イラストを描くのに使用していたCLIP STUDIPで似たような機能は使っていますし、特にレイヤーの概念や使い方は理解しています。
色に対する基礎知識も一応勉強してます。(色相環だとか明暗度、彩度、補色だとか)
基本的にサーバサイドを担当していたとはいえ、最低限のHTML,CSS,JSのコーディング知識と経験はありました。

「とりあえずやってみよう」と思ってポートフォリオを制作してみたところ、基本的なHTML,CSS,Jsの記述は何だかんだ覚えてましたし、何より楽しくて集中も保てたのが大きかったです。
AWSのS3使ってサーバを公開するところまで問題なくやれたので、テクニカルなことを要求されなければ現時点でもとりあえず一通りはやれるんじゃないかなと。

とはいえ懸念は大量にありますが。まずは初めてやりたいことができたので目指してみようかなと思いました。

webデザイナーとして仕事を探しはじめる

今はWebデザインの勉強とコーディングの勉強を続けつつ、まずはバイトでも何でも良いのでWebデザインに関われる仕事を探してます。
社会人としてブランクや再発の懸念もあるのでむしろバイトの方が好都合かも。
もう30に近いという懸念はありますが、焦ってまた鬱になってもしょうもないので焦らずに。

振り返ってみて

リモートワークをきっかけに鬱になったものの、そんなに悪いことばかりでもなかったかなと。
そもそもリモートワーク中、もっと周りに助けを求めていれば何か変わっていたと思いますし、
リモートワークが辛いなら出社をもっと強く要望すればよかったなぁとも思います。

そういった反省点もありますし、あのまま何となくでエンジニアを続けていても絶対どこかで折れてたと思います。
早いか遅いか、それだけの問題で。

2年ほど時間を費やしてしまいましたが、人生で初めて趣味を見つけることができました。
趣味を通してやりたいことも見つけられました。
なので、この経験はきっと自分に必要なことだったと思ってます。

もし鬱になったエンジニアの方がいましたら

鬱になる理由は人それぞれだとは思いますが。
自分から1つだけ大きく伝えたいのは、大きな判断はしないべきだということです。

自分の場合は一人で焦って多くの人にご迷惑をおかけしてしまいました。
働くのをやめると収入が減るからといった理由で家賃の安いアパートに引っ越そうとしたり。
エンジニアを強引に辞めようとして転属を依願したり。
働けない自分に価値がないと思って彼女に別れを告げたり。

正常な判断ができていないのに大きな判断をしようとして鬱病が短期間で大悪化しました。
(引っ越しを申し込んだものの引っ越しの準備をする気力がなくて業者の方に迷惑をかけましたし、会社にも迷惑をかけましたし、結局彼女にも大迷惑をかけつつ色々助けてもらい。)

仮に会社を辞めることになったとしても、以下のような手当金などがあるのでしばらく何とかなります。
おかげでゆっくり休める時間はたくさんあるので、今思えば焦る必要なんて全然なかったです。

  • 傷病手当金(働いていたときの月給の2/3程度を最大18ヵ月支給)
  • 障害年金
  • 国民年金の免除
  • 失業保険
  • ※どれも条件があるので誰でも受給できるわけではありません。

少なくとも医療機関から診断書さえもらうことができれば傷病手当金はもらうことができます。
もし鬱病と診断された場合はとにかく焦らず、大きな判断はせず、ひたすら休んでください。
詳しいことに関しては、こちらの方の記事がとても参考になると思います。
https://qiita.com/gretchi/items/fa2b865cec41bfed7e0d

長文を書くのはあまり経験がなかったので読みにくかったかもしれませんが。
最後までこの記事を読んでくださった方々、ありがとうございました。

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