はじめに
学生時代に出した特許出願が正式に特許として認められたので、特許登録のメリットやデメリットやその他に感じたことについて書いてみます。ただ、これは私の勝手な解釈も入っているので、正式な回答は弁理士事務所の方に問い合わせてみるのが正だと思います。
Who am i ?
しがないエンジニアです。研究は修士課程在籍時までやってましたが、今は趣味程度です。
この記事の想定読者
- 特許出願に興味ある方
- 特許出願のメリット・デメリットについて知りたい方
- その他
特許とはなにか
特許庁のページを参照すると以下のような記載があります。大変わかりやすく書かれているので、必見です。
特許を出願する前に、知っておいてもらいたい基本を3点紹介します。
技術的思想の創作である「発明」が保護の対象。
権利の対象となる発明の実施(生産、使用、販売など)を独占でき、権利侵害者に対して差し止めや損害賠償を請求できる。
権利期間は、出願から20年。
また、特許とは知的財産権の一種です。免許や資格とは違い、知的財産権なので履歴書には書かないのが一般的です。「持ち家あります!」と履歴書の資格欄に書かないのと同じです。特許を受けるというのは特許庁の原簿(登録原簿というらしいです。)に登録されること(特許登録)を言います。特許出願してから何年間は公開特許という形で全世界に公開されるわけですが、一定期間を経ると正式に特許庁の審査を受けることができ、この審査にパスすることで特許として認められます。公開特許と正式に審査をパスして特許庁の原簿に登録された特許を区別したい時、後者のことを登録特許と言います。
以下のサイトが詳しいです。
以降では登録特許として認められることを「特許として登録される」とか「(単に)特許」などと言うことにします。
特許を受ける意味(メリット・デメリット)
特許登録を受けるメリットとしては、市場に出す製品のパクリ防止だと思います。競合他社に同じような製品を出されると自社の売上収益が減ってしまうので、これを防止したいと考えるわけですね。特許を受けた有権者が他社と一緒に研究開発などをしたい場合にライセンス契約をするための材料として使ったりします。
ただ、デメリットはあります。出願してから登録特許として受理されるまで長い期間(5年位)を要することです。ちなみに5年は早い方らしいです。製薬とかだと10年くらいかかるものもあるらしいですね。特に発展が早いITなどの市場では出願しても、5年という歳月が経過してしまうとなると時間がだいぶ経過してしまっているので、特許として登録される頃には技術自体が風化してしまっているという事態が考えられるのですよね。このあたりは賛否両論あって、ITの分野では、特許出願をするよりも他の人達と一緒にモノを作っていく方が効率的なので、よほど真似されたくない理由がなければ、特許出願をしないということもあるのだそうです。あと特許出願はお金がかかりますし、特許登録を経た後には特許を維持するための維持費もかかります。特許有効期間は出願してから20年なので、実質15年くらいが特許の有効期間なんですが、この間に新しい成果を得ることのできるようにしたいものですよね。
特許が正式に認められると特許登録の連絡が弁理士さんなどを通じてきます。個人で特許を出すのは不可能ではないと思いますが、ほとんどの人は弁理士さんにお願いするのが一般的かと思います。少なくとも予算として100万くらいは用意するのではないんでしょうか。
実際にあった誤解
特許登録を受けて、それを会社に報告をしたらマイナスのイメージを持たれてしまった。
会社が有権者の特許に関わっているとかなら別なのかもしれませんが、そうでない場合はわりとある話のようです。私以外にも同じような話を聞いたことがあります。修士過程在籍時に出願した特許なんですけどね。。
登録特許は儲かる(お金になる)と思われている。
儲かるケースもあるのかもしれませんが、パクリ防止が一番のメリットだと思ってます。他の企業などからライセンス料で儲けようとするのは、よほどのニーズがあって「今後必ず需要がありそうだ!」と理解を持ってもらわないと厳しいのではないでしょうか。ネットを調べた感じだと宝くじを買った方がよほど効率的なんだそうです。
特許を受けたら周りから人がよってくると思っている。
学会発表のポスター発表なんかの方が人がよってくると思います。特許の場合は前述した通り、参入障壁を作って技術を保護することが目的なので、よほど興味を持ってもらわないと難しいのではないですかね。ただ特許情報プラットフォームJ-PlatPatなんかで特許出願された情報を参照できるので、情報自体はオープンになっています。
特許出願はマストなのか。
特許出願するということは全世界に情報を発信することと同じなので、当たり前ですが企業秘密なんかは特許化しない方がいいです。
学会発表と一緒にはできないと思われている。
特許出願をした後で学会発表すれば、問題ないらしいです。
学生時代に出願する特許と社会人になってから出願する特許の違いについて
学生時代に出願する特許は、研究室の運営がどんな感じになっているかにもよりますけど、研究分野でこの方式は真似をされたくないとか、後輩に引き継いでいきたいor温めていきたい分野だったりとか、企業と共同研究をしている過程で、企業側から特許出願のニーズがあったとかそういう理由じゃないのかと思います。企業と共同研究をする際の材料として使うというのはあるかもしれませんね。大学も生き残りをかけるのに必死なので、企業から研究費を欲しがっているというのは実情としてあるんだと思います。一方で社会人になってから出願する特許というのは、メーカーなどでパクられたくない技術があるとか、研究職に就いている方で短期的or長期的な目標として課せられているノルマだったりとか、あとは特許出願していることをただ社外にアピールしたいだけだったりとか、色んな理由が考えられます。産学官連携なんかについてはどこかで記事にしてみたいです。
まとめ
ケース・バイ・ケースではありますが、パクリ防止のために特許出願をするのであれば、やっておいた方がいいとは思います。ビジネスモデルの根幹となる技術なんかに特許出願をしておくとBCPの観点としてもいいのではないでしょうか。私は学生時代の思い出として感慨深いものがあります。
ゆっくり茶番劇では商標権が問題になりましたが、ネットミームの商標権やコミュニティなどを通して研究開発した技術の特許権など、今後どうなっていくのでしょうかね。個人的には大変気になっているところではあります。
加えて、ベストライセンス株式会社などの対応についても今後どうなっていくのか気になるところです。
最後に
研究開発というものは、お金がかかってしまう割には全然成果が上がらないこともあり、費用削減の影響を受けやすいのですが、こういう小さいものの積み重ねで技術が成長していくと思っています。企業などの組織での研究開発って大学や大学院などの学術研究とは異なる側面も多いと思いますが、久々に仕事を忘れて研究したいですね。今後、特許出願する方の参考になれば幸いです。