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STM32CubeIDEでブートローダ+アプリをデバッグする

Last updated at Posted at 2020-07-12

はじめに

今回、STMicroelectronics社員の方による、ブートローダ+アプリ構成でデバッグする記事が見つかりましたので、情報保全と日本語化、それと若干の補足追加を目的としてまとめます。
記事:ethanhuanginst/STM32CubeIDE-Workshop-2019

開発環境

OS:Windows 10 Pro 2004
ツール本体:STM32CubeIDE Version 1.3.0 (ダウンロード)
追加プラグイン:Pleiades 日本語化プラグイン (参考)
ターゲットボード:Nucleo-F103RB

APP(ターゲットアプリ)作成

プロジェクト作成

STM32CubeIDEにSTM32CubeMXが統合されているのでこれを使用するのがお勧めです。
image.png

ターゲットボードを選択しプロジェクトを作成します。
image.png

アプリとして必要な設定を行います。
この時、以下図のように Serial Wire などの使用するデバッガを設定しておきます。(しておかないと後でデバッガが繋がらなくなります)
image.png
ポート設定は後からでもAPP.iocを開いて再編集出来ます。

main関数名変更

BOOTとシンボル名が被るとデバッグに支障が有るので変更します。

main.c のユーザコードブロックに以下を追加します。(以下同様)
元記事にはapp_mainに変更する旨記載が有りますが、APP.ioc再編集時にmainに戻ってしまうのでマクロで置き換えます。

/* USER CODE BEGIN 0 */
#define main app_main
/* USER CODE END 0 */

スタートアップファイル(startup_stm32f103rbtx.s)も併せて変更します。

bl __libc_init_array
bl  app_main
bx  lr 

メモリマップ変更

ブートローダに上書きしないように、APPをロードするFLASH領域を設定します。

リンカスクリプト(STM32F103RBTX_FLASH.ldなど)のMEMORY定義

MEMORY
{
  RAM    (xrw)    : ORIGIN = 0x20000000,   LENGTH = 20K
  FLASH    (rx)    : ORIGIN = 0x8002000,   LENGTH = 120K
}

ここでは8KB(0x2000)ずらしています。
設定するアドレスはフラッシュ書き換えのページ境界にします。
プログラミング マニュアル

ベクトルテーブルの配置アドレスも併せて変更します。
system_stm32f1xx.c にて 0x8000000 からのオフセットを設定します。

#define VECT_TAB_OFFSET  0x2000

動作確認

まだブートローダは書き込んでいませんが、このままデバッグ実行出来ます。

BOOT(ブートローダ)作成

プロジェクト作成

APPと同じです。

main関数名変更

APPと同様に以下を設定します。

main.c

/* USER CODE BEGIN 0 */
#define main bl_main
/* USER CODE END 0 */

スタートアップファイル(startup_stm32f103rbtx.s)

bl __libc_init_array
bl  bl_main
bx  lr 

APP(ターゲットアプリ)起動関数追加

BOOTのmain.cに以下を追加します。
APPのベクタ領域からリセットハンドラとスタックポインタのアドレスを読み取ってAPPを起動する仕組みです。

/* USER CODE BEGIN 0 */
typedef void(*pFunction)(void);
pFunction JumpToApplication;
#define APP_ADDRESS	0x08002000
#define APP_STACK	(APP_ADDRESS + 0)
#define APP_RESET_HANDLER (APP_ADDRESS + 4)

void JumpToAPP(void)
{
    uint32_t JumpAddress = *(__IO uint32_t*)APP_RESET_HANDLER;
    JumpToApplication = (pFunction)JumpAddress;
    __set_MSP(*(__IO uint32_t*)APP_STACK);
    JumpToApplication();
}
/* USER CODE END 0 */

APP起動

必要なタイミングで JumpToAPP(); を呼び出します。

JumpToAPP();

動作確認

ここまでで、デバッガを動作させずに電源OFF->ONで、BOOTからAPPが呼び出されて動作するはずです。

BOOT+APPをデバッグする

BOOTプロジェクトからデバッガ起動する場合

デバッグ設定

プロジェクトエクスプローラでBOOTを選択した状態から、

image.png

メニュー[実行]-[デバッグの構成] を選択します。

image.png

[STM32 Cortex-M C/C++ Application]をダブルクリック(もしくは新規作成)します。

image.png

image.png
[Set breakpoint at:] を main から bl_main に変更します。
[Run Commands] には以下を記載します。

add-symbol-file ../APP/Debug/APP.elf 0x0800210c
b app_main

bはブレークポイントを設定しています。

add-symbol-fileで設定するAPPの値(0x0800210c)は、Build Analyzerから取得します。
image.png
image.png

デバッグ実行

ツールバーの虫アイコンをドロップダウンして、先ほど作成した「BOOTデバッグ」を起動します。
image.png
実行すると、BOOTのmainとAPPのmainで自動的に止まります。

APPプロジェクトからデバッグ

デバッグ設定

BOOTと同様にAPPの設定を作成します。
image.png
[Set breakpoint at:] を main から app_main に変更します。
[Run Commands] には以下を設定します。

add-symbol-file ../BOOT/Debug/BOOT.elf 0x0800010c
b bl_main

set *0xE000ED08 = 0x08000000
set $sp = *(unsigned int*)0x08000000 
set $pc = *(unsigned int*)0x08000004

add-symbol-fileのアドレス値はBOOTの .text 値を調べて設定します。

setについては、デバッグ開始時のベクタテーブル、スタックポインタ($sp)、プログラムカウンタ($pc)を設定しています。
これが無いとBOOTが無視されて直接APPのリセットハンドラが呼び出されてしまいます。

デバッグ実行

BOOT同様に、虫アイコンから「APPデバッグ」を実行します。
image.png
実行すると、BOOTのmainとAPPのmainで自動的に止まります。

参考記事

ethanhuanginst/STM32CubeIDE-Workshop-2019

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