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JavaScript パーフェクト this

Last updated at Posted at 2024-04-27

この記事は、2018年04月05日に限定公開として作成したあと、2024年に全体に公開したものです。

JavaScript の this の解説は巷にあふれていますが、私も this をまとめてみたかったのでここにメモ。

一般的に語られる4パターン

  1. メソッド呼び出しパターン
  2. 関数呼び出しパターン
  3. コンストラクタ呼び出しパターン
  4. call/apply/bind 呼び出しパターン

その他、覚えておかなければいけないこと

  • トップレベルの this
  • 非Strictモード時の自動ボクシング
  • コールバック関数における this
  • カンマ演算子
  • arrow function 呼び出しパターン
  • ES class は Strictモード
  • Generator の場合

1. メソッド呼び出しパターン

JavaScript のメソッドはすべて関数です。オブジェクトのプロパティである関数をメソッドと呼びます。

メソッドを呼び出すときのレシーバが this値 になる。ドットの左側。

'use strict';
const obj = {
  prop: 42,
  func() {
    return this.prop;
  },
};
console.log(obj.func()); //=> 42

2. 関数呼び出しパターン

レシーバはないので、this値は undefined になります。

'use strict';
function func() {
  return this;
}
console.log(func()); //=> undefined

関数として定義したか、メソッドとして定義したかということは関係ない。

非Strictモード時の注意はここでは述べずに後述します

3. コンストラクタ呼び出しパターン

コンストラクタも関数であり、new するとインスタンスを作成して実行します。

this値はそのインスタンスです。

'use strict';
function Foo() {
  this.x = 0;
}
const foo = new Foo();
console.log(foo.x); //=> 0
console.log(foo.hasOwnPropaty('x')); //=> true

4. call/apply/bind 呼び出しパターン

call/apply/bind で、this値を指定できます。(まさに this値(thisArg)って言葉がよく似合う。)

(1.)メソッド呼び出しパターンと(2.)関数呼び出しパターンのどちらでも指定した値になるし、undefinednull を指定することもできます。

トップレベルの this

上記の4パターンはすべて、関数の this値についてでしたが、次は トップレベルの this

実行コンテキストが "Script" である場合、トップレベルの this はグローバルオブジェクトとなります。

<script>
console.log(this); // => global object
(()=>{
  console.log(this); // => global object
})();
</script>

実行コンテキストが "Module" である場合、トップレベルの thisundefined となります。必ず Strictモードになることに注意。

<script type="module">
console.log(this); // => undefined
(()=>{
  console.log(this); // => undefined
})();
</script>

非Strictモード時の自動ボクシング

非Strictモードでは、this値がプリミティブならオブジェクトでラップされる。これを「自動ボクシング (auto-boxing)」というそうです。

そして、this値が undefined または null ならグローバルオブジェクトになります。

'use strict';
function func() {
  return this;
}
console.log(func.call('foo')); //=> 'foo'
console.log(func.call(42) === 42); //=> true
console.log(func()); //=> undefined

(↑Strictモード ではボクシングされない)

with ({}) {} // not strict mode;
function func() {
  return this;
}
console.log(func.call('foo')); //=> String object
console.log(func.call(42) === 42); //=> false
console.log(func()); //=> global object

(↑非Strictモード ではボクシングされる)

これまで紹介したどのパターンであっても「非Strictモードでは this値が undefined または null ならグローバルオブジェクトになる」ことに注意。関数呼び出しパターンはグローバルオブジェクトを返すという説明は半分正解半分間違いです。

コールバック関数における this

コールバック関数をどのように実行するかはその高階関数次第。

ネイティブ関数では this値が undefined であることが多いが、 Array#map や Array#filter などでは this値を指定する thisArg 引数が存在します。

カンマ演算子

カンマ演算子を使えば変数に入れずに(2.)関数呼び出しパターンができます。

'use strict';
const obj = {
  func() {
    return this;
  },
};
(obj.func)() === obj;
(0, obj.func)() === undefined;

arrow function 呼び出しパターン

arrow function では this値が引き継がれます。call/apply/bind の指定は無視されます。

ES class は Strictモード

class 宣言や class 式 では Strictモードで実行されます。つまり、自動ボクシングは起こりません。

Generator の場合

Generator関数では Generatorオブジェクトを next() しなければ進みませんが、this値はこれまで紹介した各パターンの通り。

ただし、Generatorオブジェクトの next() では別のオブジェクトを this値とすることはできません(例外発生)。

'use strict';
const that = { a: 42 };
const genfn = function*(){ while (true) { yield this.a; } };
const g = genfn.call(that);

console.log(g.next().value); //=> 42
//console.log(g.next.call({}).value); //~> TypeError: next method called on incompatible Object
console.log(g.next.call(g).value); // 42

その他注意点

indirect eval call は常にグローバルスコープで実行されます。

Function コンストラクタは Strictモードが伝播しません。

参考文献

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