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ラクスAdvent Calendar 2017

Day 5

VUIのデザインについて考察してみた

Last updated at Posted at 2017-12-04

ラクス Advent Calendar 2017の5日目です。
昨日は @t-uehara さんの「ヘッドレスChromeが動かない?SSL証明書のせいならこれで!」でした。

###自分について
普段はデザイナーをやっています。Advent Clendar以外でもQIITAに投稿したほうが良いなあと感じています。。。

##Voice User Interfaceseを設計する際に考えること

今回は、もし、声を利用したインターフェイスを考える時に、デザイナーや設計者はどういうことを気にしなければいけないか?ということを普段グラフィカルユーザーインターフェイスを考える場合と同じように考えてみました。
対話型のアプリケーションという意味では、チャットの自動応答との親和性は高そうですが、いざVUIを設計する際にどんなことを考えれば良いでしょうか。

家庭内のツールとしてはアメリカではかなり普及した感のあるAmazon Echo。(いや、実際の所は知らないですが、、)、先日、職場向けのAlexaを対応することが発表されました。そこで、ユーザビリティの観点から、職場向けのVUIで気をつけるべきポイントを考察してみました。

VUIはどんなシーンが向いているか

まずは、VUI一般の話で、向いているシーンと向いていないシーン。

Good

・両手が塞がっている時(家事の最中)
・場所が少し離れている時(布団の中から出たくない、出かける前に時間を確認したい)
・指示が明確な時(命令なのか、会話なのか明確な必要がある)
・ながら作業をしているとき

Bad

・賑やかな場所
  機械が自分の声を聞き取れないようなシーンはNG。
・プライバシーの問題がある場所
  他の人が聞こえるようなシーンで、プライベートな情報を声で教えてほしくない。

また、可能性として、今後さらに進化していきそうな(いくと良いな)な機能はこんな感じでしょうか。

できるようになると良い機能

・声の大きさを察してくれる
・感情を察してくれる
・前後の文脈を考慮してくれる
・周辺環境(音や光、どこに人がいるか)を考慮してくれる
・時間帯を考慮して音量や流す情報をを調整してくれる
・ルーチンの行為を学習して、サジェストしてくれる

オフィスでのVUIの利用シーン

ではオフィスではどんなことが考えられるでしょう?
amazonでは、商品の発注やテレビ会議、空き会議室の照会といった例が紹介されていました。
他にはどんなことができそうでしょうか?

・勤怠管理(とはいえ、あまりやりたくない..)
・経費精算(とはいえ、あまりやりたくない..)
・アラートの通知。サーバーの異常やビルドが失敗。非常事態の告知。
・関連ニュースの読み上げ
・ミーティングのリマインド
・TODOのリマインド
・訪問先への経路検索
・欠席者の確認

どれも、先ほどあげたBadを避けるような場所に設置しないといけないのでかなり置く場所が限定されそうです。また、社員数がたくさんいるような企業だとだれでもなんでも出来るわけにもいかないので、社員の管理も適切に出来る必用がありそうです。
家庭内でもそうですが、回答があまりに長すぎる場合はとくに時間に余裕がないビジネスの現場ではイライラさせられそうなので、短いフレーズで適切に回答を返すような会話の設計が求められると思います。

例えば、グループウェアのデスクネッツを開発しているネオジャパンとDNPが協働で会議室前の電子ペーパー端末による管理機器をリリースしていましたが、似たようなことが音声でできるとPCや書類を持って両手が塞がっているときに約に立つかもしれません。

Google Homeを日常的に利用していて、エラー時(期待した結果が帰ってこない場合)のハンドリングがユーザー体験に大きく影響すると感じています。VUI(Voice User Interface)の設計が重要になってきそうです。

##VUIを設計する際に気をつけること

ではVUIを設計する際にはどんなことを考えればよいのでしょうか?
特にオフィスでの利用をする際に、考慮した方が良い点を列挙してみます。

・誰に聞かれても問題ないか
・エラーになったときに次のアクションが取れるか
・命令したいのか、情報を聞きたいのか
・事前の設定が必用かどうか
・だれでもアクセスできて良いか

具体的にこれらを設計、検証するにはどういったことを実施すればよいのか、考察してみます。

コンテンツの分析、利用シーンの調査
 どういったシーンで活用が可能か、という側面と、現状のオフィスでどういった課題があるか?という点を調査します。
 実際に課題の発生しているシーンを再現または立ち会って、なぜそう感じるのか?を調査します。

「師匠と弟子」(「コンテクスチュアル・インクワイアリー」)
 文脈的調査。特定のユーザーの行動を観察しながらインタビューを行う調査方法。インタビューと違って、事前に用意した質問を聞くだけでなく、なぜその行動をとったのか、その時にどういう感情だったのか?を深掘りできます。

シナリオ作成
 VUIの場合、シナリオはかなりUIに近い存在になりそうです。
 どういったシーンで利用されるかを基にして、呼びかける内容、返答の文言、会話ベースを作成してみます。
 VUIの場合は、Guiと違って連続して操作するようなことは現状ではあまりないですが、
 状況によっては開始から終了までの時間が長いものも必要になりそうです。
 そういう場合は、カスタマージャーニーマップのようなものを検討してみると良さそうです。
 目で見て認識しやすい言葉と、耳で聞いて認識しやすい言葉の違いを意識する必用があります。

アクティングアウト(オズの魔法使い)
 実際に作成したシナリオが、現実に役立つのかを検証します。GUIの場合はペーパープロトタイピングが必用ですが、
 VUIの場合はもう少し気軽に実施できそうです。

ユーザーテスト
 作成したものが機能するかどうかを検証します。
 目に見えない存在、かつ、集中して音声デバイスに向き合うシーンはあまり無いので、これを疎かにすると誰も使ってくれない、もしくはストレスの多いものができてしまいそうなのでしっかりとした検証が必用です。

シナリオを組み立てて一通りのパターンを網羅したら、実際に利用するユーザーを探してテストをしてみましょう。
VUIの役は、自分自身でできます。ここでは、「オズの魔法使い」という手法がピッタリだと思います。
映画、オズの魔法使いではオズの大王の後ろに老人が隠れて操っていますが、まさにそれと同じようなことを利用して簡単にテストできます。
難解な手法のように聞こえてしまうかもしれませんが、要するに演じてしまえばよいだけです。演技力は特に必用ありません。
注意点としては、演じながら課題を覚えておくのは難しいので、第三者がキチンと課題点を記録しておけるように複数人で実施しましょう。

「ALEXA、会議室の空きを教えて」
「現在開いている会議室はAとCです」
「会議室Aを1時間予約して」

のように、考慮したパターンを声に出してやり取りをすれば、ユーザーテストが簡単に実施できます。
「1時間予約して」に対して、空き時間が45分しかなかった場合はどうすればよいのか?等、これだけでも考えることはたくさんありそうです。

ユーザーが人間と会話しているようにならないために、姿を隠したり後ろから発話したりするほうが良いですが、このタイミングではシナリオが有効に機能するかどうかを確認できれば良いので、細かいことはあまり気にしなくても良いでしょう。

##検証の大切さ

この検証を行わずにVUIの設計を行ったものを実装すると、いざ実際の利用シーンに当てはめてみたときに会話が成立せずに、満足度の低い機能が出来上がってしまうでしょう。
実装はGUIのものと比べて難易度は高くないとはいえ、やり直しをするのは大きな無駄が発生してしまいます。
VUIの場合は目に見えるUIの満足度、アニメーションや、色などのフィードバックが利用できないのでよりいっそう意図したフィードバックが返せるように組み立てておかないといけません。
ほんの少しの手間と、恥ずかしさを捨てて検証を行うだけで、良いプロダクトを作ることに近づけるのであればやっておかない手はありません。

GUIの場合、見た目、実装コストなど様々な要因でUXの検証が行われない場合が多いですが、実施しないことによる弊害が過小評価されがちです。VUIの場合と同じように、利用者の満足度がその製品、サービスの愛着や信頼、業務の効率化、継続して利用したいとおもうモチベーションにつながることは明白なので、時間の許す限り作ったものをテストしてみましょう。
プログラムをテストせずにリリースするのとおなじくらい、デザインをテストせずにリリースすることは危うい行為だということを自分たちはもっと深く意識したほうが良さそうです。
UX関連の手法はイマイチなネーミングが付いているものが多く、変な先入観とハードルが高そうに見えてしまう傾向がありますが、やることはシンプルで、ちゃんと調べて、ちゃんと整理して、ちゃんと作って、ちゃんと検証する、ということ。

##まとめ
正直なところ、オフィスの中でどれだけVUIによる操作が普及するかはよくわかりません。自動車の中や家庭内など、手が離せない、閉じた空間ではVUIはかなり有効に感じるので会議室のような限定的な空間ではそれなりに意味はありそうです。
ただ、設計時に考えなければいけないことは、それまでのデザインのそれと大きく変わるわけではないので、過去の経験を活かして面白いものが次々と生み出されて言うことを期待しています。
UXデザインの手法はVUIの品質に大きく貢献できるのでは?と思っています。

考え方だけを並べてみましたが、実際に何か作ってみたい人は弊社developers blogにこんな記事(GoogleHomeアプリを開発しよう!Dialogflowチュートリアル)もあるので参考に。

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