前々回でArc Welderが円形状に効果があるということが分かった。
今回は更なる高精度化を求めてUltimaker Curaの「メッシュ修正」の設定項目の一つ「最大解像度」について効果を確認したいと思う。
最大解像度
最大解像度とは「スライス後の線分の最小サイズ」である。
前々回でスライサーで円は直線に分割されるという話を書いたが、最大解像度を変えると円の分割数が変わる。
ただし、注意したいのは線分の最小サイズというところ。
つまり、円が大きい場合は分割数がカウンターストップし、最大解像度の変更の効果が見られない。
最大解像度の変更で期待される効果は下記となる
メリット | デメリット | |
---|---|---|
最大解像度UP | 精度の向上 | gcode肥大化による移動途中での停止→肌荒れ |
最大解像度DOWN | gcode削減による高速動作 | 精度の低下 |
ファイルサイズ測定
gcodeが肥大化したかどうかはファイルサイズを測定すると判定できる。
まずは前々回作成したDimensional Accuracyを最大解像度を変更しながらファイルサイズを測定した。
なお、最大偏差は最大解像度の半分としている。
最大解像度(mm) | ファイルサイズ(kB) | ファイルサイズ(kB) Arc Welder使用 |
---|---|---|
0.25 | 822 | 222 |
0.15 | 842 | 222 |
0.1 | 844 | 217 |
0.05 | 846 | 218 |
0.01 | 846 | 220 |
ご覧の通り、0.25mm→0.15mmで多少の変動は見られるがファイルサイズに大きな影響は無い。
これは分割数のカウンターストップが行われているためと思われる。
これでは最大解像度変更の効果が分からないため、次に#FDMTestのモデルを同様にスライスしてみた。
最大解像度(mm) | ファイルサイズ(MB) | ファイルサイズ(MB) Arc Welder使用 |
---|---|---|
0.25 | 6.6 | 4.43 |
0.15 | 6.93 | 4.55 |
0.1 | 7.25 | 4.65 |
0.05 | 7.67 | 4.67 |
0.01 | 7.73 | 4.69 |
微妙にファイルが肥大化している。
Arc Welder使用時は円が分割されて肥大化されたものを円に戻してしまうため、大きなファイルサイズの違いにはならない。つまり
最大解像度UPによる肥大化<<Arc Welderによるgcode削減
ということで、Arc Welderを使うという前提ならばガンガンに解像度UPして良いのではないだろうか?
と言ってもFDM方式の精度限界が±0.1mmぐらいと思われるため10倍精度としても0.01が精々と思われるが。
それで実際効果あるの?
実際に#FDMTestをデフォルトの0.25mm→0.01mmに変更して印刷してみたが
少なくとも#FDMTestのポイントに影響するような有意な差異は見られなかった。
うーん、正直良く分からない・・・。
結論
結論としてはパラメトリックなCADからの出力モデルで
かつArc Welderを使うという前提ならば最大解像度を上げることによるデメリットはほぼ発生しないと思われる。
ただし、ぶっちゃけデフォルトでも結果がそんなに変わらないためメリットの発生もほぼ見られず
最大解像度を上げるのは気休め程度と考えた方が良さそうである。