概要
CookieにSameSite属性を付与することで、CSRF脆弱性1に対していくらかの防御ができる。
- SameSite属性は
Strict
,Lax
,None
の3つの値を取り、設定値により効果の範囲は異なる-
Strict
を設定することで、CSRFを防げる。ただし、Webサイトの使いやすさが損なわれる場合がある -
Lax
を設定することで、POSTメソッドのリクエストのみを受け付ける処理でCSRFを防げる -
None
は従来通りの動作であり、外部サイトからCookieを送信する - Webサイトのセキュリティ要件により、設定すべき値が異なる
-
- SameSite属性は主要なブラウザすべてで対応されている
SameSite属性の付与がCSRF脆弱性への防御とならないケース
- Windows 10 RS3(2017 Fall Creators Update)未満のIE 11など、SameSite属性をサポートしていないブラウザの利用
-
SameSite=Lax
を設定した場合における、GETメソッドのリクエストを受け付ける処理 - Cookieのスコープ内のWebサイトからの攻撃
- XSS脆弱性が存在する場合
SameSite=StrictとSameSite=Laxの違い
Cookieを発行してセッション情報を保持するようなWebサイトにおいて、ログイン済みの状態でアクセスした際の挙動が異なる。
SameSite=Strict
外部サイトからは常にCookieを送信しない。
POSTメソッドだけでなく、GETメソッドでの遷移時(Top Level Navigation)にも送信されなくなる。
このため、ログイン済みのサイトに対して、外部サイトから遷移し直すと、未ログイン状態として処理される。
過度に不便なようにも思えるが、銀行などのWebサイトでは、ログイン済みのページに対する外部サイトからのリンクを望んでいないため、最も適切とされる。
SameSite=Lax
外部サイトからのGETメソッドでの遷移時(Top Level Navigation)のみ、Cookieを送信する。
これにより、Webサイトの使いやすさとセキュリティを両立させることができる。
外部サイトからのPOSTメソッドや画像読み込み、Ajaxで用いられるXMLHttpRequest(XHR)、iframeでの埋め込みによるリクエストでは、Cookieを送信しない。
このため、該当の処理の実行がCookieを必要としており、POSTメソッドのリクエストのみを受け付けるように制御できていれば、CSRFを防げる。
ただし、Top Level Navigationとなる攻撃手法への耐性はない。
このため、GETメソッドのリクエストを受け付ける処理に対しては、依然としてToken Based Mitigationなどの対策が必要となる。
ミドルウェアでのSameSite属性の付与方法
Tomcat
Tomcat 9.0.21または8.5.42以降では、CookieProcessor
を利用して付与することができる。
<Context>
<CookieProcessor sameSiteCookies="strict" />
</Context>
- Apache Tomcat 8 Configuration Reference (8.5.55) - The Cookie Processor Component
- How to set SameSite Cookie in Tomcat's Cookie Processor? - Stack Overflow
Apache HTTP Server
Header edit Set-Cookie ^(.*)$ $1;HttpOnly;Secure;SameSite=Strict
Header set Set-Cookie HttpOnly;Secure;SameSite=Strict
参考資料
- HTTP Cookie - HTTP | MDN
- SameSite Cookie Attribute / OWASP Cross-Site Request Forgery Prevention Cheat Sheet
- Cookie の性質を利用した攻撃と Same Site Cookie の効果 | blog.jxck.io
- 5.3.7. The SameSite Attribute / draft-ietf-httpbis-rfc6265bis-02 - Cookies: HTTP State Management Mechanism
- Chrome 80が密かに呼び寄せる地獄 ~ SameSite属性のデフォルト変更を調べてみた