AI OCRについて調査
AI OCRとは
OCRは、画像データのテキスト部分を認識し、文字データに変換する認識機能のことを言います。具体的には、紙文書をスキャナーで読み込み、書かれている文字を認識してデジタル化する技術です。
人間は、紙に書かれている文字を無意識に理解しますが、コンピューターは自動的に読み取ることが出来ません。
そのため、紙に書かれた文字をデジタルデータとして活用するには、一度、人間が読み取って文字に変換する必要があります。これがデータ入力と呼ばれるものです。しかし、単に文字を入力するという作業は非常に効率が悪く時間がかかります。この作業を人間の代わりに行ってくれるのがOCRです。
AI OCRは、OCRにAI技術を加えたものです。AI技術を組み合わせることで、手書き文字も読めるようになりました。
AI OCRの現状
近年、中小企業では人手不足が深刻化しています。
そこでAI OCRを使用することでデータ入力の人件費を抑え、作業の効率を上げることが出来ます。
しかし、現状業績50億未満の中小企業でのRPAの導入率は11%、そのうち、AI OCRを導入しているのは4%と低い数字になっています。
その原因はコストがかかってしまう点であると考えます。
従来の製品では文字を読み取る際に、読み取る項目ごとにコストがかかってしまい、項目数が多いほど料金が高くなります。
また、AI OCRのみでは文字をデータ化することはできてもExcel等のアプリケーションに入力はできません。データの入力までを行おうと思うと別途RPAツールや仕分けツールが必要になってしまいます。
ツール選択背景
出力したデータを他のアプリケーションに入力する際に別のツールが不要で、1つのツールで完結するものがないか探していました。また、読み取り項目ごとに料金が加算されていくと、コストがかかってしまう点が気になるポイントでした。そこで見つけたのがAI JIMY Paperbotというツールでした。
AI JIMY Paperbotについて
AI JIMY Paperbotはスキャンから文字認識、データ入力まで紙のデジタル化に必要な機能がすべて搭載されているとの事でした。
AI OCRのデメリットであったコスト面も、読み取る項目ごとではなく、帳票一枚単位のためコストを抑えることが出来ます。また、スキャンからデータ入力までの工程を1つのツールで完結することができ、従来のAI OCR、RPAツール、仕分けツールを組み合わせて使用するよりランニングコストも10分の1以下で運用可能です。
さらに、AI JIMY Paperbotではリアルタイム処理やカメラと連動してスキャンをすることができます。既存製品のRPAとAI OCRを組み合わせた場合と、AI JIMY Paperbotとの違いを表にまとめてみました。
既存製品の組み合わせ | AI JIMY Paperbot | |
---|---|---|
ツール数 | RPA +仕分けツール + AI OCR | 統合型 |
RPA | むずかしい | 比較的簡単 |
リアルタイム処理 | 不向き | 可能 |
スキャン機能 | なし | カメラと連動可能 |
コスト | 利用代金と導入開発費用 | 利用代金のみ |
AI JIMY Paperbotの作成手順
AI JIMY Paperbotのワークフローの作成手順は以下の通りです。
- 取り込み(スキャン)
- 仕分け
- 文字認識
- データ出力
- RPA(データ入力)
それぞれの手順の詳しい説明はAI JIMY Paperbotのナレッジベースで確認することができました。
AI JIMY Paperbotの認識率
実際にAI JIMY Paperbotを使用して認識率を検証してみました。
その結果、印字された文字は90%、手書きの文字は86%という結果になりました。
認識率は100%ではありませんが、これはどの製品を使用しても100%になるのは難しいと感じました。例えば、1(いち)やl(エル)の違いは前後の文脈から判断しなければなりません。手書き文字であるとなおさら区別が難しいです。
AI JIMY Paperbotでは認識結果を確認・修正できる設定があるため、読み取りを完全にAI OCR任せにするのではなく、人間が結果を確認すると良いと思います。
人間が確認を行うと100%自動化ではないと思うかもしれませんが、今までは手書き伝票を目で読みながら入力していました。それに比べると、作業が認識結果の確認・修正だけになるため、大幅に業務の効率化を図れると思います。
使ってみた感想
良かった点
- ワークフローが簡単に作成できる
各項目の設定画面がわかりやすく、プログラムを触ったことのない人でも作成することができると思いました。RPAの部分もシンプルな作りで、組み立てるだけでシナリオが作成できます。
- データの入力可能
他の製品では別途ツールを導入しなければ入力を行えませんが、AI JIMY Paperbotでは入力まで一つのツールで行うことができます。RPAを使用することで条件式等も指定できるため、特定のデータだけを入力することも可能です。
- コスト削減
従来の製品に比べて項目ごとに課金するシステムではないため、読み取りたい項目が多い場合でもコストを抑えることができます。また、別途ツールを導入する必要が無く、運用コストも従来の製品の10分の1以下にすることが可能です。
良くなかった点
- RPA機能
RPA機能というより転記機能でした。CSVファイルを出力できるので、複雑な処理はPowerAutomateなどを使うのが良いと思います。
使う際の注意点
- チェックボックスモードの読み取り範囲
チェックボックスにチェックが入っているかの認識を行う際、チェックボックスの枠が読み取り範囲内に入ってしまうと結果がすべてtrueになってしまうため、チェックボックスモードでの範囲設定は読み取り画像を拡大して設定するなどして枠が入らないように注意が必要です。
- 認識結果の修正設定
認識結果をAI OCRにすべて任せるのではなく人間が確認、適宜修正を行うことでより確実にデータを読み取ることができます。そのため、認識結果の修正を利用するに設定すると良いと思います。
まとめ
AI JIMY Paperbotを使用することで紙文書のデータ化だけでなく、データの入力まで行ってくれるため業務の効率化が図れると思いました。他の製品で入力まで行おうと思うと別途ツールが必要であったり、コストがかかってしまったりとなかなか導入が難しいと感じました。ですが、AI JIMY Paperbotでは1つのツールでデータの入力まで完了する上、コストも抑えることができるため是非導入したいと思いました。