みなさん、転職活動好きですか?あまり好きという人はいないと思います。
私も好きではありません笑
今までやってきたことを棚卸しして履歴書、職務経歴書を用意したり、面接で聞かれることを想定したり。面接がうまく行かなかったり落ち続けてメンタルがやられたり。
とにかく大変ですね。
私は10年くらい前にこれをオーストラリアで英語でやることになりました。
これから書く話は海外での話とは言え、日本の転職活動をしている人、これからする人にも何かの助けになるかもしれません。
オーストラリアで就活することになった背景
「そもそもなんでオーストラリア?」と思われると思うのでそのあたりを簡単に。
私が最初に日本で就職したソフトウェア開発会社は仕事環境が過酷で心身ともに疲弊してしまったため、次は日本ではなく海外で働いてみたいと思ったのが始まりでした。
ちなみにこんな話をすると、「英語はできたの?」とほぼ必ず聞かれますが、答えはNOです。できたどころか、学生の頃は赤点ギリギリになる程度は英語は大嫌いでした。でも、一生日本に住むつもりだったので「英語なんて必要ない」と主張していたくらいでした。
まさかそんな自分が海外に出る気になって英語が必要になるなんて皮肉でしかありませんね。
そこから現地の大学に20歳後半で入学し、現地の企業に就職したのがもう20年くらい前のことです。
オーストラリアでも最初の会社は自社のソフトウェアを開発している会社でしたが、大学に通っていた時にたまたま見つけたバイト募集の案内で応募してみたら採用されて大学卒業まで半年ほど働きました。
そして、卒業後すぐに正社員のオファーをもらったためほとんど就職活動と呼べるようなことはせずに済んでしまいました。
その会社自体はとても働きやすくて好きだったのと、「就職活動大変だろうなー」とかなりビビっていたので思いもかけずトントン拍子に話が進んで本当に嬉しかったです。
ここまでのことを詳しく書き出すといくつも記事を書かないと足りないですし、今回の話からは逸れますのでまたの機会に。
コトの始まりは即日解雇から
そんな感じでうまいこと仕事も得て現地の生活に馴染んで5年ほど経った頃、会社の業績が良くないという話を聞くようになりました。
そんなある日の全体ミーティングのときに「今後段階的にリストラしていきます」という発表がありました。いよいよ来るべき時が来たかという感じでした。
それから月イチくらいのタイミングでリストラ決行日があり、そのたびにまとまった数の人が退社していきました。
私がいたウェブチームは、リーダーからは「大丈夫だろう」と言われていたのでそれほど不安には思っていなかったのですが、やはり周りの人達がいなくなっていくのを見て寂しい思いをしていました。
そんなある日の朝、私のマネージャーが私の席に来て「ちょっと会議室に来てくれる?」と言ってきました。
その日は既に数人がそんな感じでミーティングルームに呼ばれていたのでその日が「リストラの日」だということは分かっていました。
でもまさか私に来るとは!
声がかかった瞬間のあのイヤ~な気持ち、「大変なことになった。これからどうなるんだろう」ということしか考えられずにマネージャーの背中を見つめつつ会議室に行ったった光景は今でも鮮明に蘇ります。
ちなみに、オーストラリアでは決まった額の解雇金を渡せば法律的には即解雇ができます。
ということで、私はその日、マネージャーと人事の人がいる部屋で即日解雇を告げられ、解雇金の話や今後受けられる国からのサポートの話やら、解雇通知にサインする作業やらを行いました。
即日解雇の場合、恨みを持った社員が何か良からぬことをしないように、可能な限り短時間でオフィスから追い出されることになっています。
私もその日は確か朝の10時頃だったと思いますが、自分のPCの中身も何もかもそのままでいいからお昼の12時までに私物を段ボール箱まとめてオフィスを出るように言われました。
冷たいようですが、仕方のないことです。
映画などで箱の中に私物を詰めて箱を両手で抱えてオフィスを去っていく場面があったりしますが、まさか自分があれをやる羽目になるとは思ってもいませんでした(後から考えるとある意味笑えるいい経験でした)
送別会も何も無い退職は人生初めてでした。同僚に簡単な挨拶をして周った時に親しかった女性社員が涙を流しながら別れを惜しんでくれたのが今でも忘れられません。
就職活動
そんな感じで私のオーストラリアでの就職活動が始まりました。
その時は結婚していましたが子どもはおらず、解雇金も出てある程度蓄えがありましたし、政府からも生活援助のためにいくらかお金が出る事が分かっていたので、金銭的にすぐに困窮するということはありませんでしたが、それでも早めに次の仕事を見つけて落ち着きたいと思ったのですぐに就職活動を始めました。
まずは職務経歴書とカバーレター(オーストラリアでは簡単な自己紹介的なものなどを自由形式で書きます)を書いてから仕事を探し始めました。
その頃はすでにネット上で現地の職探しのポータルサイト的なものがあったのでそのいくつかを使い、スキル的に合いそうなポジションに応募していきました。
就職活動始めたときって「結構すぐに決まるんじゃないの?」「1社目で決まっちゃったりして」などと根拠のない自信があったりしませんか?
このときの私もそうで、なんだかんだ言って現地企業で5年も勤めているしまたトントン拍子に決まるんじゃないかと気楽に考えていました。
しかし、1ヶ月経ち、2ヶ月経っても決まらないと徐々に焦り始め、最初は会社の内容などを見てえり好みしていたのですが、この頃からスキルがマッチしているポジションは片っ端から応募するようになりました。
就活対策
対策しなければならないこと、したことはたくさんありました。
就活期間中は前述の職務経歴書やカバーレター。書いたものを何人もの人に見てもらいブラッシュアップしました。
親しい友人に聞いたり、友人の経歴書を見せてもらって書き方の参考にしたり、妻の知人で人事で働いている息子がいると聞くと頼み込んで採点してもらったり。
これらの書類や面接のTipsなどが書かれているサイトを検索して研究したりもしました。そうそう、挨拶や立ち振舞なんかについて書いてくれているサイトも読みました。
あと、どんな縁で仕事が得られるか分からないので、知り合いには片っ端から声をかけてどこか募集しているところがあったら紹介してくれるようにお願いしました。
応募した企業がある程度の数になってくるとノウハウも溜まってくるのでそれを書き留めたりしました。
電話や面接でどんな質問をされたか、それに対してどんな答えをしたか、どう話したらもっと良かったかなどなど。
この期間に書き留めた情報や保存した資料が入っているフォルダが今でもあるのですが、改めて見てみて「よくやったなー」と思います。
辛かったこと
電話面接
何が辛かったかって、オーストラリアでは応募した企業やエージェントからいきなり電話がかかってくることが結構あり、そこである程度先方の希望に合っているかなどを見定められることです。
実は私は電話がどうも苦手で日本語の会話でも電話は意味もなく緊張します。それが英語で相手が早口だったりして聞きづらい英語だったりするともうやばいです。
電話は当然、いつかかってくるか分からないですし、周りがうるさい場所などに居るとさらに聞きづらくて大変なので極力そういう場所に行くのを避けて家に居るようにしたりと、とにかく心が休まりませんでした。
メンタルがやばくなる(自分は無価値・無能なんじゃないか症候群)
とにかくスキル的に可能そうなものはすべて応募していったので、どこに応募したかを忘れないようにスプレッドシートで管理することにし、応募した日付、企業名、ポジション、連絡や合否などの返信があった日付、面接日などを記録していきました。
あまり良く覚えていませんが、応募が50社目あたりにもなってくるとメンタルがやられてきました。
これは人によってどの程度耐えられるかや、どう感じるかは変わってくるかと思いますが、あまりにも拒否され続けるといつしか「自分は社会に必要ない人間なんじゃないか」「自分はだめな人間なのかも」と思い始める人が多いんじゃないかと思います。
私もそうでしたし、さらに私の場合は「やはり英語で現地のエンジニアと張り合うのは厳しい」「日本なら仕事があるだろう」「日本に帰ろうか」と悩み始めました。
しかしそうやって心が折れそうになりつつも、「まだ日本には帰りたくない」「こんな形でオーストラリア生活を終わらせたくない」という気持ちが強く、それをモチベーションにして「まだ金もあるし生活はできるから続けられる」「絶対仕事を得る」という気持ちで応募し続けました。
就活開始から10ヶ月
まさか10ヶ月後も就活しているなんて考えもしませんでした。
もうこの頃になると面接に呼ばれるところまでいっても「はいはい、またどうせ落ちるんでしょ。呼ばれたから行きますよ。でも期待してないから」と言った感じの半ば諦めの心境になっていたのですが、そのおかげで面接などでは大概の受け答えは緊張もあまりせずスムーズにできるようになってきていました。
聞かれることも同じようなことが多いですし。
そんなある日、応募した企業の一つから「面接に来てください」というメールが来ました。色々応募しすぎていて「そんな名前の企業に゙応募したっけな?」と思いつつシートで探してから募集要項を見ようとしたらなぜかその企業だけ保存し忘れていたことが判明。ネット上の募集ページで参照しようとしたら既に消去されていて焦りました。
仕方がないのでその会社の人事に要項を送ってくれるようお願いしました。「こんなことを依頼したら多分印象悪くなってもうダメだろうな」と思いつつ。
で、予定通り面接しました。
面接自体は和やかにスムーズに終了。
「でもどうせダメなんでしょ。ハイハイ」と思いつつ帰宅しました。
ついに就活終了
それから数週間くらい後だったと思います。その会社から電話があり「まだ仕事探してますか?是非うちで働いてもらえませんか?」と言われました。
いや、もう夢かと思いましたよ。
こちらには当然拒否する理由なんて無いので大喜びでオファーを受けました。
この時点でシート上の応募数は97社(この記事のタイトルは100社と書いていますが少しサバ読んでます。すみません)、入社が決まった会社は95社目に応募した企業でした。
ちなみに、この中でなんらかの連絡があって電話で話した企業は28社、面接をした会社は12社でした。
就職活動を通じて気付いたこと・得た経験
入社の説明時に気付いたのが、前の会社も良かったけど今回の会社のほうが休暇などを含む待遇が段違いに良かったことです。
社員の人たちも良い人が多いし、会社の社会的意義的な面でのミッションも素晴らしい。
あと、入社後暫くして私の面接の時に同席していたチームリーダーが教えてくれたのですが同じくその時に同席していたマネージャーが私との面接の後「彼はすごく良さそう。ハグしたいくらい」と言っていたそうです。面接した人たちの中で一番だと思ってくれたということです。
そしてそのチームリーダーとも良い関係で、毎年の評価では私に対して常に最高の評価をしてくれました。
ここで言いたいのは、何社に拒否されようとそれはあなたが無価値や無能だからではないということ。
そして、良い会社に出会うためにそれまでの会社に落ちたということ。もし他の会社にもっと早い段階で受かっていたらその会社には出会えなかったのだから。その会社が人員が必要になって募集を始めるまで私が待っていたのです。
就活時にあったらいい・やっておいたほうがいいこと
以下は日本での活動時も参考になると思う事柄です。
職務経歴書などは常にアップデートを心がける
私のように就職活動するという段階になってから今までやってきたことを棚卸しして一から用意するとなるととても大変です。
新しいプロジェクトや新しい技術などに関わったりしたらその度に職務経歴書をアップデートし、「必要になったらいつでも就活できる」と言えるくらい常に最新の状態に保ちましょう。
仕事募集サイトにいくつか登録しておく
特に今は私はフリーランスとして活動しているので思うのですが、いくつか目ぼしいサイトに登録しておくと良いです。
スキルを登録しておけば定期的にメールで自分に合った仕事の情報が送られてくるので現在の市場の状況や、自分がどの程度の市場価値があるかなどを把握しておけます。
あと、上記の項目に通じるところですが、これらのサイトでは大概それぞれのスキルシート登録などの機能があるのでそこのアップデートも忘れずに。こうしておくと結構スカウトなんかの問い合わせが来たりします。
履歴書などはできるだけ他の人にチェックしてもらう
このために友だちになるわけではありませんが、頼める友人や相談を聞いてくれる知人を持っておくととても心強いし活動を続けていく力になります。
たくさんの友人をもつ必要はありませんが、いざという時にお互い助け合える人がいることは人生の宝になります。
転職することになったらポジティブに考える
今回の私の話のようにクビになったり「そろそろ環境変えたいな」と思ったときは「そろそろ動きなさい」という天からの声です。
そして、次の職場はきっと今までより良いはず。もし良くならなかったとしてもさらにその後に続く良い結果への途中のポイントということです。
人間はどうしても現状を維持する方向に向かいやすいですし、今の居心地の良い場所を離れるのは大変ですし決心がいるかもしれませんが、こういう場面では現状に無理にしがみつくより意を決して次の行動に移ったほうが良い結果になることが多いと思います。
成功するまで続ける気持ちを持つ
今回書いた私の話もそうですが、うまくいかなくても心が折れそうになっても成功するまで続けること。そうすれば成功します。
そして失敗したりうまくいかない間は、成功するベストのタイミングまでその失敗を経験にして自分をアップグレードし、本命が来た時に力を発揮するための準備だと考えて諦めずに続けてください。
最後に
今回記事を書くにあたって過去の活動資料などを見返したり、記憶を辿ったりしましたが、我ながら本当に良くやったなと思います。
今はわけあってこの話に出てきた会社は退職し、日本でフリーランスとして働いていますが、このときに得た経験は今でも心の支えになっています。フリーランスだと契約終了→新しいクライアント探しなんて日常のことなので「ま、なんとかなるでしょ」「死にゃしない」という気持ちになれます笑
就職活動は本当に大変な作業ですが、この私の話が就職活動中・これから活動予定の方の励みや何らかの気づきになれば幸いです。
ここまで読んでくださってありがとうございました。
せっかくですので、オーストラリアでの仕事や就職について何か気になることや書いて欲しいということがあったら教えて下さい。もし書けることであればまた別の記事で書くかもしれません。