これは、私が Proxmox の“ZFS over iSCSI”機能 を使ってみようとした際に抱いた誤解や、実際に試して分かったことをまとめた記事です。
結論から言うと、ネーミング的に「iSCSI 上に ZFS ファイルシステムを作れるもの」と思いきや、実際は特定の ZFS アプライアンスと SSH 連携する仕組みで、一般的なストレージ製品には使えないだろう というオチでした。
時間があるときに、実際の設定を試してみようと思いますが、今回は調査・確認結果のみ共有させていただきます。
背景
- Proxmox には “ZFS over iSCSI” というストレージプラグインがあり、名称だけ見ると「iSCSI 経由で ZFS を使える便利機能なのかな?」と思いがち。
- 「TrueNAS であれば iSCSI を ZFS で管理してるし、これでバッチリだろう!」と期待していた。
- しかし、調べてみると ZFS over iSCSI = SSH でストレージアプライアンスに root ログインして、zfs コマンドを実行しながら LUN を操作 する仕組みだった。
- そのため、TrueNAS を含め一般的なアプライアンスでは使えそうもない と判断し、検証を中止した。
どんな誤解があったのか?
誤解1: 「iSCSI 上に ZFS ファイルシステムを作れる」と思っていた
- 以前 iSCSI + LVM や NFS + ZFS はやったことがあったので、「ZFS over iSCSI」という名前から、まず iSCSI のブロックデバイスを ZFS で管理できるのでは? と予想していた。
- 実際には、Proxmox がストレージ側(=ZFSが動いているNASやアプライアンス)にリモートから root SSH で入り、zfs コマンドを叩いてプールやボリュームを管理する という仕組みだった。
誤解2: どんな iSCSI 製品でも使える?
- 「ZFS over iSCSI」という名前だけ見ると、あたかも どんな iSCSI 製品でも ZFS をかませる かと勘違いした。
- ところが実際は ストレージ側が ZFS をネイティブで動かしており、かつ Proxmox が root SSH ログインできる 必要がある。
- 例えば DELL UnityXT や QNAP などのハードウェアアプライアンスでは、ベースOSの root シェルが提供されておらず、かつ、内部的にもzfsコマンドに対応していないため、利用は不可能。
まとめ
- ZFS over iSCSI は、名前だけ見ると「iSCSI 上に ZFS ファイルシステムを構築できる機能」と誤解しがち。
- 実際には、ストレージサーバに root SSH ログインして直接 ZFS コマンドを操作し、iSCSI でエクスポートする 仕組み。
- TrueNAS のようなアプライアンスなら一応使える可能性はあるが、GUI による管理と競合したりサポート外である可能性が高く、実運用が難しい。
- QNAP のようなハードウェアアプライアンスにはまず適用不可と思われる。
- 私は結局、「名前の印象と実際の挙動が違いすぎてヤバそう」ということで検証を中止 しました。
以上、ZFS over iSCSI でクラスタ共有ストレージを期待したけれど、思っていたのと違って挫折した話 でした。
同様に混乱している方がいれば、最初からこの仕組みを勘違いしないようにご注意ください。