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Proxmox VE から Proxmox Backup Server へのバックアップ・リストア手順

Last updated at Posted at 2025-02-08

Proxmox VE から Proxmox Backup Server へのバックアップ・リストア手順

1. 概要

  • 本記事は Proxmox Backup Server (PBS) が既に稼働していることを前提とします。
  • Proxmox VE (PVE) 上の仮想マシンやコンテナを PBS にバックアップし、必要に応じてリストアするまでの流れを解説します。
  • 特に、バックアップの 全体リストアファイル単位リストア(ファイルレベルリストア)の手順も紹介しています。
  • 記事の最後に、バックアップ実行時によく見られる 「trying to get global lock waiting..」エラー について解説しています。

2. PBS を Proxmox VE にストレージとして追加

2.1 PBS 側の情報を確認

  • PBS のホスト名 or IPアドレス
    • 例: 192.168.11.46
  • PBS Web UI にログインして Fingerprint を確認
    • PBS の Web UI で [Configuration] -> [Certificates] を開くと Fingerprint が表示されます
    • または PBS CLI で proxmox-backup-manager cert info を実行

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  • PBS のユーザ名とパスワード
    • root@pam / インストール時に設定したパスワード
  • Datastore 名
    • PBS Web UI の左ペイン Datastore 一覧で名前を確認 (例: pbs-nfs, local, etc.)

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2.2 Proxmox VE にストレージ追加

  1. Proxmox VE Web UI に管理者権限でログイン
  2. 左ペインで データセンター → 右画面上部 Storage タブ
  3. AddProxmox Backup Server を選択
  4. 以下の情報を入力
    • ID: 任意の名前 (例: pbs-backup)
    • Server: PBS ホスト名 or IP (例: 192.168.11.46)
    • Fingerprint: PBS 証明書のフィンガープリント (そのままコピペ)
    • Username / Password: PBS の認証情報 (例: root@pam / ********)
    • データストア: PBS 側に設定されているデータストア (例: nfs-datastore)
  5. 追加 ボタンで保存

登録が成功すると、左ペインに pbs-backup(例)が表示されます。

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3. バックアップ手順

3.1 バックアップジョブの作成

  1. Proxmox VE 左ペイン データセンター → 右ペイン バックアップ タブ
  2. 追加 ボタンでジョブを追加
  3. 各項目を設定
    • ストレージ: 先ほど登録した PBS (pbs-backup)
    • 選択モード: バックアップ対象の VM や CT を選択
    • Schedule: バックアップ実行スケジュール (CRON形式/日次/週次など)
    • Compression (圧縮方式), Retention (保持ポリシー) などを必要に応じて設定
  4. 作成 で保存

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3.2 バックアップの実行

  • 設定したスケジュールになれば自動バックアップが走ります。
  • すぐにテストしたい場合は、該当ジョブを選択 → 直ちに実行 で手動実行できます。
  • 実行ログは Proxmox VE の下ペイン タスク をダブルクリックすることで確認できます。
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4. リストア手順

ここでは、(A) 仮想マシン/コンテナ全体のリストア と、(B) ファイル単位のリストア (ファイルレベルリストア) を解説します。

4.1 (A) 全体リストア (VM/CT 復元)

  1. Proxmox VE 左ペインで 対象ノード を選択
  2. 右ペイン バックアップ タブ → ストレージ: pbs-backup → を選択
  3. リストアしたいバックアップをクリック → 上部の リストア をクリック
  4. リストア を押して実行

リストアが完了すると、新しい VM (または CT) として復元されます。
問題なく起動・動作するか確認しましょう。

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リストアを行うと、最初に元のディスクが全て削除されます。
バックアップが正常に行えていない場合、元のディスクが削除され、かつ、リストアが行えないため、完全にデータを失う事となります。
このため、万が一の救済のためにも、予め元の仮想マシンのクローンを取っておくことをお勧めします。

参考までに、バックアップが正常に行えていない場合、リストアを試みると以下のようなエラーが出ました。

ERROR: Backup of VM 105 failed - backup write data failed: command error: write_data upload error: pipelined request failed: detected chunk with wrong digest. INFO: Failed at 2025-02-08 13:35:42

4.2 (B) ファイル単位のリストア (ファイルレベルリストア)

  1. Proxmox VE 左ペイン対象ノード
  2. 右ペイン ストレージpbs-backupバックアップ タブ
  3. 対象バックアップをクリック → 上部の ファイルのリストア をクリック
  4. ファイルブラウザが表示されるので、該当ディレクトリやファイルを探して ダウンロード をクリック

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Proxmox Backup Serverを使わず、Proxmox VEでバックアップを行った場合、以下のように、ファイルからリストアメニューが表示されず、ファイル単位のリストアを行うことは出来ません。
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5. よくあるエラー:「trying to get global lock waiting..」

5.1 エラー内容・現象

PBS でバックアップジョブやガーベジコレクション (GC)、Verify 処理が同時に発生すると、trying to get global lock waiting.. というエラー(またはメッセージ)がログに出ることがあります。
これは 「PBS がデータ整合性を保つためにグローバルロックを取得しており、別の処理が待たされている」 状況を意味します。

5.2 原因

  1. バックアップジョブが多数同時に走っている
    • PBS へのバックアップ要求が一斉に集中すると、内部で排他が必要な操作がロック待ちになる。
  2. ガーベジコレクション (GC) や Verify と衝突
    • 古いスナップショットをクリーンアップする GC や、バックアップデータの整合性をチェックする Verify 処理も、同じロックを必要とする。
    • これらが同じデータストアで同時タイミングに実行されると競合が起こる。
  3. PBS のリソース不足
    • CPU やメモリ、ディスク I/O、ネットワーク帯域が足りないと処理が長引き、ロックを占有する時間が増える。

5.3 対策

  1. ジョブスケジュールの分散
    • バックアップ時間をずらす
    • GC や Verify をバックアップと重ならない時間帯に実行
    • タイミングが重ならないように CRON 設定を工夫する
  2. Proxmox VE 側で運用調整
    • バックアップジョブの開始時間を少しずつずらす(直接「同時実行数」を設定する仕組みはない)
    • 大量の VM/CT を一度にバックアップしないよう、複数のジョブに分割するなど工夫する
  3. PBS のハードウェア増強
    • ディスク I/O (SSD / NVMe)、メモリ、ネットワークを改善すると、ジョブが迅速に完了しロック占有時間も短くなる。
  4. 必要に応じて GC / Verify の頻度を見直す
    • 毎日 GC/Verify を走らせるのではなく、週1や月1にする (ただしバックアップ容量が膨大にならないよう注意)

5.4 まとめ

「trying to get global lock waiting..」は PBS のロック機構による待機メッセージであり、深刻なエラーというよりは 複数のジョブが同時に走りすぎている ことを示唆しています。
運用上は スケジュール分散PBS リソースの増強 を行い、エラーや待機時間を最小化しましょう。


6. まとめ

本記事では、Proxmox VE から Proxmox Backup Server (PBS) にバックアップを設定し、全体リストア・ファイル単位リストア を行う方法について解説しました。
最後に、バックアップ実行時に発生しやすい 「trying to get global lock waiting..」 のエラー原因や対策を詳述しています。

  • バックアップの流れ
    • PVE で PBS ストレージを追加 → バックアップジョブ作成 → 手動またはスケジュール実行
  • リストアの流れ
    • 全体リストア:Backups タブから該当スナップショットを選び、Restore
    • ファイルリストア:File Restore で一時マウントし、個別ファイルを取得
  • よくあるエラー「trying to get global lock waiting..」
    • PBS のロック機構が原因 → スケジュール分散やリソース増強で対処

定期的なバックアップとテストリストアを行い、万一の障害にも迅速に対応できるよう備えてください。

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