概要
本記事では、Proxmox VE 上で稼働している TrueNAS に対して、Proxmox上の仮想ディスク(Virtual Disk)」を追加してプールを拡張する手順を紹介します。
前提条件・注意点
- Proxmox VE 環境が稼働していること。
- 既に TrueNAS 仮想マシン(以下 VM) が正常に動作していること。
- Proxmox 側に十分な空きストレージ領域(LVM / ZFS / Directory など)があること。
- この記事では 「既存の TrueNAS プールに新しい VDEV として仮想ディスクを追加し、容量を拡張する」 例を想定しています。
- 重要データがある場合は必ずバックアップを取得 しておいてください。プール拡張やストレージ構成の変更はデータを失うリスクがある操作です。
手順概要
- Proxmox で TrueNAS VM に割り当てる仮想ディスクを作成
- TrueNAS 上で仮想ディスクを認識させる
- 既存プールにディスク(新VDEV)を追加する
では、順を追って解説します。
1. Proxmox で仮想ディスクを作成し、TrueNAS VM に割り当てる
1-1. TrueNAS VM の「ハードウェア」タブを開く
- Proxmox の Web UI にログインし、左のツリーから TrueNAS VM (例: VM ID が100) を選択。
- 上部または右側のメニューから「ハードウェア」タブを開きます。
[写真 1] TrueNAS VM の「ハードウェア」タブ画面
1-2. 新規ディスクを追加する
- 画面上部の「追加」→「ハードディスク」をクリックします。
- 表示されるダイアログで以下を設定します:
-
Bus/Device:
SCSI
(またはVirtIO
) を選択 -
Storage: 仮想ディスクを作成するストレージを選ぶ (例:
local-lvm
) -
Disk size(GB): 割り当てたい容量を指定 (例:
100GB
) - そのほかのオプション(キャッシュ、ディスクタイプなど)は環境に合わせて適宜変更
-
Bus/Device:
[写真 2] 「追加: ハードディスク」ダイアログの設定画面
- 「追加」を押すと、指定したストレージ上に仮想ディスクイメージが作成され、TrueNAS VM に割り当てられます。
1-3. ディスクが追加されていることを確認
「ハードウェア」タブに戻り、先ほど追加したディスクが表示されていることを確認します。
2. TrueNAS 上で仮想ディスクを認識させる
2-1. TrueNAS VM を起動(または再起動)
TrueNAS VM が起動していない場合は起動し、GUI にアクセスします。
既に起動中の場合でも、仮想ディスクを追加すると再検出のために再起動が必要なケースもあるため、状況に応じて再起動してください。
2-2. TrueNAS の Web GUI でディスクを確認
- TrueNAS にログインし、左メニューから
Storage
→Disks
を開きます。 - 新規に追加された仮想ディスクが一覧に表示されていれば成功です。
3. 既存プールにディスクを追加する
3-1. プールの追加操作
- TrueNAS の Web GUI で
Storage
に移動します。 - 「
Unused Disks
」の「Add To Pool
」をクリックします。
3-2. 新ディスクを選択・VDEV タイプを指定
ポップアップ画面で新たに検出されたディスクを選択し、「Add Disk to
」で「Existing pool
」を選択、「Existing pool
」で追加対象のプールを選択し、「Add Disks
」をクリックします。
Stripe を選ぶとディスクをそのままストライプに組み込むので容量は増えやすいですが、1 台でも障害があるとプール全体が壊れるリスクが高まります。実運用ではミラーや RAIDZ の冗長構成を検討してみてください。
選択が終わったら「Update pool」を実行します。
4. プール容量の拡張を確認
操作が完了すると、ZFS プールが拡張され、TrueNAS の Web GUI 上で容量が増えていることが確認できます。
Storage
→ Pools
の画面や、SSH でログインして zpool list
コマンドを打つと、新しい合計容量が反映されているはずです。
zpool list
まとめ
今回の手順では、物理ディスクをパススルーするのではなく、Proxmox 上のストレージ領域から仮想ディスクを新規作成し、それを TrueNAS に認識させてプールを拡張する方法を紹介しました。手順を振り返ると、以下の流れです。
- Proxmox の管理画面で TrueNAS VM に新しい仮想ディスクを追加 (ストレージとサイズを指定)
- TrueNAS を起動して新ディスクを確認
- 既存 ZFS プールに新ディスク(VDEV)として追加 し、容量を拡張
以上が、Proxmox VE 上で稼働する TrueNAS に仮想ディスクを追加してプールを拡張する手順です。ご参考になれば幸いです。ぜひ安全なストレージ運用をお楽しみください。