論理的思考とは、事実を正しく認知し、そこから正しく演繹すること。
ところがそれは意外と難しい。
※事実と意見は混同されやすいし、判断は感情の影響を受けやすい。
#◆経験主義
経験主義とは実験・行動することによって不確実性を減らす考え方。
つまり「未来のことは分からない」ので、行動することで未来を現在にする。
これは具体的な事象の観察から結論を導き出すという意味で、帰納法的である。
スクラムは経験主義に基づいている。
経験主義の対極は理性主義で、理性的に考えれば正しい結論に到れるという考え方。
ウォーターフォール型開発プロセスは理性主義を前提にしていると言える。
経験主義で重要なのは、行動によって新たな知識を獲得すること。
そのためには
1.コントロールできるものとできないものを区別し、
2.コントロールできるものを操作すると同時に、
3.その結果を観測する
必要がある。
#◆仮説思考
仮説思考とは、演繹的(理性主義)でもなく、帰納的(経験主義)でもない考え方。
少ない情報で大胆な仮説を立て、それを検証していくアプローチ。
つまり、必ずしも事実・データに立脚しない。
仮説思考では、何をどのように検証するのかが重要となる。
仮説思考をうまく利用すると、意思決定を遅延することができる(リアルオプション戦略)。
つまり、まずは小さな投資で仮説の検証を行い、その結果を元に最終的な判断を行うことで、期待値を最大化する。
プロダクト開発におけるMVP (Minimum Viable Product) はその具体例
#『不確実性』で不安にならないためには??
いずれにせよ不確実性に対処するには、
「行動を通じて新たな情報を生み出す」という、
経験主義と仮説思考に共通する考え方が重要となる。
理想に向けて、事業を最速かつ生産性高く成長させるには、
「未来」と「他人」という2つの不確実性をマネジメントすることで、成し遂げられる
※プロジェクトは初め不確実性の大きなものであり、
徐々に不確実性が下がっていく(想定納期は実際の2倍〜1/4と大きな幅がある)
#スケジュール不安と方法不確実性への対処
目的の機能・プロダクトが「いつリリースされるのか」という問いになるべく早期に答えるために行うのがスケジュールマネジメントで、3つの要素から成る。
個別タスクの見積り
制約スラック
プロジェクトバッファ
制約スラックとはタスク同士の依存関係に起因する無駄のこと。
属人化したタスクがあると、特定の人の生産性が全体のボトルネックになる(リソース制約)。
タスク間に前後関係があると、それらのタスクを並行処理することができない(依存制約)。
属人性を減らし、作業を分解して並行実施できるようにすることで、制約スラックを減らすことができる。
プロジェクトバッファは見積りの不確実性を吸収するために設ける時間的余裕。
バッファはタスクごとに設けるのではなく、プロジェクト全体で設ける。
不確実性を吸収するのに十分なバッファが残っているかどうかは、プロジェクト全体の「不安量」から判断する。
不安量は各タスクの多点見積りから算出する。
不安量が大きいタスクから先に着手すること。
これによりスケジュール後半になってリスクの大きなタスクが残っている状況を避けることができる。
また、不安量の大きなタスクを分解し、不安量を小さくすることも重要。
そもそもタスクに要する時間を見積もることは難しい。
相対見積りを行い、小さなスプリントをいくつか実施してベロシティを計測すると、実績ベースでバッファの過不足を判断できるようになる。