はじめに
インティメート・マージャーでCTOをやらせて頂いてる木村です。
今年もあっという間に過ぎ去り、ブラウザの環境変化が激しさを増す2024年の幕開けが近づいています。
この機会に、今年の振り返りと来年の目標を共有することで自分にプレッシャーをかけるとともに、弊社に興味を持つ方々への情報源になってくれればと思っています。
2023年の振り返り
2023年は、開発本部にとって重要なマイルストーンであるGoogle Cloud Platform (GCP) への移行を達成した年でした。創業以来10年間、Amazon Web Services (AWS) を主要なインフラストラクチャとして利用してきましたが、ビジネスの成長とともに、BigQueryや各種AIソリューションのより効率的な利用に対するニーズが高まりました。数ヶ月にわたる一大プロジェクトでしたが(ダブルライトして検証するのは結構大変だった)無事に移行を完了しました!
GCP移行と並行して、DevOpsの領域でも新しい一歩を踏み出しました。ArgoCDの導入は、私たちの継続的デリバリーとオペレーションの自動化を大幅に改善しました。インフラストラクチャとアプリケーションのデプロイメントがより容易になり、リリースサイクルの高速化を実現しました。
また Google Kubernetes Engine (GKE) への移行は、限定公開クラスタを活用したセキュリティの向上とクラウドリソースの管理効率化を実現しました。
これらの施策により、ポストCookieソリューションの導入先が増えたにも関わらず、パフォーマンスの低下を避け、安定してサービスを提供することができました。
チャレンジと教訓
GCPへの移行は多くのメリットをもたらしましたが、同時にコスト増加のリスクも生じました。実際に取り組んでみないと正確には分からないためです。主要なシステムについては適切に対処できていたものの、予期せぬコストが発生したサブシステムが存在しました。
数値には目を通していたにも関わらず、重要な点を見逃してしまったのは悔しい経験でした。現在このような問題に対処するために、人の目だけに頼るのではなく、ジェネレーティブAIを用いた異常値検知を推進しています。こういった取り組みを増やすことで、運用の効率化と事業継続性の確保を目指しています。
チームカルチャーと働き方
この数年間に開発に参加してくれたチームメンバーには、次の10年のシステムを支えるコアメンバーとしての役割を担ってくれることを期待しています。そのため、特定の範囲に限定せず、各メンバーが発生する個々の課題を解決する形式を続けてきました。
チームの人数がさらに増加する(例えば、ピザ2枚分を超える規模になる)と、担当領域を明確にし集中しやすい環境にする方が全体としてパフォーマンスが高くなると思いますが、もうしばらくは育成の機会を増やすべく、今のスタイルを続けていく方針です。
正直なところ、担当者の多重化を完全に実現するにはまだ至っていませんが、各メンバーが自身の技術とスキルを磨き、深める機会を提供できたと思います。2024年はこれらの個々の強みを活かしつつ、より効果的なチームワークへの進化を目指します。
2024年の目標
私たちのシステムは、システムとビジネスの複雑化に対応するため、単一のシステムに依存するのではなく、複数のシステムを統合して最適化するアプローチを採用しています。
このアプローチにより、外部環境の変化にも柔軟に対応し、全体のパフォーマンスを維持することを目指しています。(アンサンブル学習的なアプローチが大好きです。)
まず、ポストCookieソリューションに関しては、ブラウザ環境の変化に備え、複数のアプローチを開発・検証し続けることが重要です。継続的なパフォーマンスの維持には、施策の数を増やしていくことが鍵となります。
また、2024年にはデータの活用領域を拡大することも重要な目標です。ジェネレーティブAIを利用した取り組みでは、インティメート・マージャーが保有するデータを掛け合わせることで、より効果的な結果を生む事例を蓄積してきました。今後はこれらの取り組みの範囲をさらに広げ、新しいチャレンジへの取り組みを増やしていきます。
まとめ
振り返ってみれば、2023年は多面的なリファクタリングを行った年でした。攻撃的なデフェンスを意識することでシステムの基盤を整えられました。
2024年はディフェンスをやりきる・最適化していくことも大切ですが、活躍の場を広げること、攻め(オフェンス)のアクションを増やすことに重点を置きたいと思います。
今年からアドベントカレンダーを開始しましたが、いかがだったでしょうか?
記事を読んで弊社に興味を持ってくれた方は、是非下記よりお気軽にお声がけいただけるとうれしいです!