はじめに
仕事などで所謂モバイルに携わっている人は多々いるとは思いますが、モバイルが繋がっているその先を理解できている人は多くはないのでしょうか。
私もその一人であり、実務上支障はないものも昨今5Gなどで界隈が盛り上がる前にせめて4Gまでの最低限の知識を持っておくために、『携帯電話はなぜつながるのか 第2版』を読んだ備忘を以下に残しておきます。
携帯電話の通信の流れ(概要)
それぞれのノードの詳細な役割は一旦置いておいて携帯電話は以下のように通信が行われています。
それぞれの簡単な役割も合わせて記載しておきます(詳細はいつか記載するときがくるはずです…)。
基地局
皆さんご存じの街中にいっぱいあるアンテナの事です(移動基地局等もあり)。1つの基地局のカバー範囲をセルと呼びますが、
基地局の乱立であったりで干渉が起こるのはこのセル間の干渉ですね。基地局はノードビル以降の中核的なネットワークであるコアネットワークと繋がっていきます。
ノードビル(小・大)
携帯電話ネットワークの中核をなすコアネットワークです。ノードビルの規模により構成は異なりますが、以下のような機器・機能を持っています。
- 単純に通信のみならず携帯端末が基地局間を移動しても通信を維持するハンドオーバー等を処理する無線ネットワーク制御装置(RNC:Radio Network Controller)。
- 発側の携帯電話から送られてきた着側の電話番号より、その人がどこにいるのかを探すなどの機能を司る加入者(パケット)交換機。
- 加入者交換機が通話相手がどこにいるのかを問い合わせるデータベースのようなホームメモリ。
通話がどのように実現されているのか
皆さんが通話ボタンを押したとき(発呼したとき)、携帯電話と基地局・ノードビルの間では以下のようなやりとりが行われています。
- 端末Aが発呼する事により、基地局に制御情報が送られる(通話元・通話先情報など。合わせて契約者認証も行われる)。
- 無線基地局が情報を受け取り、通話先と接続するためにさらに加入者交換機に渡す。
- 加入者交換機が通話相手(端末B)の加入者交換機・所属エリア(位置登録エリア)をホームメモリ(ユーザ情報データベースにようなもの)に問い合わせる。
- 3で見つけた相手のエリアの加入者交換機にAの発呼情報を送る。
- Bの加入者交換機が基地局を経由してBを呼び出す。
- 通話が確立する。
ホームメモリについて
ホームメモリは固定回線のようなどこにいるのかが常に分かっている回線にはない携帯電話ネットワークのための処理装置です。
それでは常に移動し続ける携帯電話を捕捉し続ける事を可能にしているホームメモリはどのように実現されているのでしょうか。
ホームメモリはユーザがどこにいるかを位置登録エリアと呼ばれる単位で登録しています。1つの位置登録エリアはピンポイントに特定の基地局がカバーするセルというわけではなくいくつかのセルを1つにまとめた結構広い範囲になっています(数十エリアで日本全国をカバーしています)。
そしてホームメモリの更新は携帯電話が電波を掴んだタイミングだけでなく、この位置登録エリア間を移動した場合にも行われています。
基地局は報知情報と呼ばれる自分がどの位置登録エリア内にいるのかを知らせるための情報を発信しており、携帯電話側では最寄りの基地局から受信した報知情報によって自分が属する位置登録エリアが変わったことに気付くことができます。移動したことに気付いた携帯電話は自分が新しい位置登録エリアに所属した事を基地局に対して伝えることで、コアネットワーク側のホームメモリの更新が行われます。
また、当たり前ですがホームメモリは電話番号などによって担当するノードを分割・複製するなどして、莫大な数の携帯電話を捌ききれるように負荷分散されています。
加入者交換機による端末の呼び出し(ページング)
ホームメモリから相手の電話がどの位置登録エリアにいるのかが分かりましたので、後は実際に呼び出しを行います。もちろん位置登録エリアはそれなりに広い範囲ですので、ピンポイントにセルを特定する事はできません。ですので、呼び出しの際は位置登録エリア内の全ての基地局から一斉に呼び出しが行われます。この方法をページングと呼び、ページング用の通信路であるページング・チャネルも整備されています。
最後に
今回は簡単になぜ携帯電話が繋がるのかの概要を書かせて頂きました。
参考にさせて頂いた【携帯電話はなぜつながるのか 第2版 知っておきたいモバイル音声&データ通信の基礎知識】は技術的な深い部分まで触れられており、今回の内容はまだまだ携帯電話についての表面をなぞっただけの内容です。
自分の中でかみ砕ければもう少し掘り下げて記載していこうと思いますので、期待せずにお待ち頂ければと思います。