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C++で作成したDLLでAPIではなくクラスを提供する方法

Last updated at Posted at 2020-10-22

はじめに

2020年現在、Windowsのアプリ開発をC++でする人はほとんどいないと思いますが、
C++で作成したクラスをdllで提供する方法を調べる機会がありましたので、備忘録を兼ねて記事に残します。

このエントリで身につくこと

  • C++で作成したクラスをdllで提供する方法

活用事例について

この記事でC++で作成したdllをC#で使う方法を記載しました。
他社製のSDKを扱うクラスをC++で作成した場合などに、それをC#側から扱うというシーンを想定しています。

環境

このエントリを書いている私の環境は以下です。

  • OS : Windows10 Pro x64 20H1(2004)
  • Visual Studio Pro: 2019

コード一式

ここに置きました。

ざっくりポイント

  • Aという抽象クラスを定義
    クラスのメンバ関数は純粋仮想関数とする。
  • Aという抽象クラスを継承したBというクラスを定義&実装
    このBが実際に提供するクラスとなる。
  • Aという抽象クラスのインスタンスを取得するAPIを定義&実装
    取得するインスタンスはAを継承したBとする。

説明追記(2020.10.26追記)

@SaitoAtsushi さんにコメントいただき、私の理解と記載が不足していた部分について記載します。
ざっくりポイントでAという抽象クラスを定義している理由ですが、
dllが提供するクラスのサイズ変更に対応するためです。

抽象クラスを経由しない場合は、dllのクラスに変更を加えた場合にクラスのサイズが変更になります。
そうすると、dllを使う側も再ビルドが必要になります。
これを防ぐために抽象クラスを経由します。
ここに詳しい説明がありますので気になる人はご確認ください。

相手に提供するもの

  • dll本体
  • ヘッダファイル

dll作成手順

  1. 外部に提供するヘッダファイル(.h)の作成
    このヘッダには以下を定義する。
  • 提供したいクラス
    ここで定義するクラスのメンバ関数は純粋仮想関数とする。
  • 提供したいクラスを取得させるAPI
  1. 提供するクラスを継承したクラスを定義&実装
      1.のヘッダファイルに定義したクラスを継承して実装する。

  2. クラスを取得させるAPIを実装
      1.のヘッダファイルに定義したAPIを実装する。

外部に提供するヘッダの作成

dll_export_def.h
#ifdef DLL_EXPORT
#define DLL __declspec(dllexport)
#else
#define DLL __declspec(dllimport)
#endif

// 提供したいクラス
class  dll_class
{
public:
    // 提供するメンバ関数
    virtual void print(void) = 0;
};

// 提供したいクラスの実態を取得させるAPI
extern "C" DLL dll_class* CreateInstance(void);

提供するクラスを継承したクラスを定義&実装

継承したクラスの定義は以下となります。

dll_class_impl.h
#include "dll_export_def.h"

class dll_class_impl : public dll_class
{
public:
	dll_class_impl();
	~dll_class_impl();
	void print(void);
};

継承したクラスの実装は以下となります。

dll_class_impl.cpp
#include <stdio.h>
#define DLL_EXPORT
#include "dll_class_impl.h"

dll_class_impl::dll_class_impl()
{
	printf("コンストラクタ\n");
}

dll_class_impl::~dll_class_impl()
{
	printf("デストラクタ\n");
}

void dll_class_impl::print(void)
{
	printf("print()\n");
}

クラスを取得させるAPIを実装

今回は面倒だったので、dll_class_impl.cppの末尾に記載しました。

dll_class_impl.cpp
#include <stdio.h>
#define DLL_EXPORT
#include "dll_class_impl.h"

dll_class_impl::dll_class_impl()
{
	printf("コンストラクタ\n");
}

dll_class_impl::~dll_class_impl()
{
	printf("デストラクタ\n");
}

void dll_class_impl::print(void)
{
	printf("print()\n");
}

// クラスの実態を取得するAPI
DLL dll_class* CreateInstance(void)
{
	return new dll_class_impl;
}

dllを使う

dllの作成ができたので、サクッとdllを使っていきましょう。
今回の目的はdllでクラスを提供する部分なので、dllを使う側はUIなしのコンソールプログラムにします。
ヘッダファイルは提供されているので、作成するのは以下のみです。

#include <Windows.h>
#include "dll_export_def.h"

typedef dll_class* (*FUNC)(void);

int main()
{
    // dll名は"ClassInDLL.dll"
	HMODULE hHandle =  LoadLibrary(L"ClassInDLL.dll");;
	FUNC func = (FUNC)GetProcAddress(hHandle, "CreateInstance");

	dll_class * instance = func();
	instance->print();

    return 0;
}

実行すると以下が表示されるはずです。

コンストラクタ
print()

終わりに

サクっと作成したクラスをdllで提供する方法を記載しました。
コードも置きましたので、拙い説明よりはコードを見たほうが早いかも。

やり方としては単純なのですが、意外に調べるのに時間がかかりましたので、私以外の誰かの助けになれば幸いです。

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