三菱電機 MELSEC PLCで使用可能な制御ネットワークのまとめです。
MELSECNETシリーズ
A,QnA | Q | iQ-R | ||
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MELSECNET/H | 光ループシステム SI | × | ○ | ○ |
MELSECNET/H | 光ループシステム GI | × | ○ | × |
MELSECNET/H | 同軸バスシステム | × | ○ | ○ |
MELSECNET/H | ツイストバスシステム | × | ○ | × |
MELSECNET/10 | 光ループシステム SI | ○ | ○ | ○ |
MELSECNET/10 | 光ループシステム GI | ○ | ○ | × |
MELSECNET/10 | 同軸バスシステム | ○ | ○ | ○ |
MELSECNET(II) | 光ループシステム SI | ○ | × | × |
MELSECNET(II) | 光ループシステム GI | ○ | × | × |
MELSECNET(II) | 同軸バスシステム | ○ | × | × |
MELSECNET/B | ツイストバスシステム | ○ | × | × |
MELSECNET/H
MELSEC-Qシリーズで使用されるMELSECNET/10の改良版になります。
また、MELSECNET/H拡張モードを利用すると、一局あたりの送信点数を増やすことができます。(2000Byte→35840Byte)
ケーブルの種類
MELSECNET/Hでは以下の種類のケーブルが使用可能です。
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光ファイバー (GI, SI)
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同軸ケーブル (75Ω)
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ツイストペアケーブル
MELSEC iQ-RのMELSECNET/Hユニット
MELSEC iQ-Rシリーズが発売された2014年当時、iQ-R用のMELSECNET/H対応ユニットは存在せず、三菱電機は次世代のCC-Link IE Control への移行を推奨していましたが、その後以下のユニットが発売されております。
- RJ71LP21-25 光ファイバー(SI)仕様 (2020年)
- RJ71BR11 同軸ケーブル仕様 (2023年)
光ファイバーのSI仕様とGI仕様
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SI (標準品)
通常の用途で用いられる仕様。局間の距離が最大500m~1000m,通信速度は最大25Mbps -
GI (特殊品)
局間の距離が最大2000m,通信速度は最大10Mbps
注意 : SIとGIではユニットは別型式となります
光ファイバーのメリット
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ノイズ耐性 : 電磁ノイズの影響を受けません。
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長距離伝送 : 最大2km (GI仕様) の通信が可能です。
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ループ接続 : ネットワークをリング状に構築することで、一部が切断されてもループバックにより通信を継続できます。
光ファイバーのデメリット
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曲げに弱い : 光ファイバーは過度な曲げにより破損する可能性があります。
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端末処理の難易度 : 光ファイバーのコネクタ装着は専門業者に依頼が必要なため一般的には、長さ指定でコネクタ装着済みケーブルを購入します。
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電源断時の通信不可 : 局間ユニットの電源が切れると通信が停止します。
- 対策: QJ71LP21S-25 などの外部電源対応ユニットを使用することで、別系統から電力供給が可能です。
同軸ケーブル仕様
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5C-2V や、一般的な75Ωの同軸ケーブルが利用可能です。
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両端には終端抵抗が必要です。
メリット
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安価 : ケーブルの入手が容易でコストパフォーマンスに優れます。
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端末処理が容易 : 一般的なBNCコネクタの接続になります
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電源断時でも通信可能 : 局間ユニットの電源が切れても通信は維持されます。
デメリット
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通信距離が短い : 総延長距離が最大500m。
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局数制限 : 接続可能な局数が32台と少ない。
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低通信速度 : 最大通信速度は10Mbps。
ツイストバスシステム
ツイストバスシステムでは、CC-Link用のケーブルまたはシールド付きケーブルを利用してネットワーク構築が可能です。MELSECNET/Bの後継かと思われます。ただし、この方式が採用されている設備は少なく、使用状況については不明です。
MELSECNET/10
MELSECNET/Hの1世代前の通信方式ですが、MELSECNET/Hとは互換性はありません。同じ種類のケーブル(光ファイバー、同軸ケーブルなど)を使用しますが、MELSECNET/HとMELSECNET/10は共用することができません。
MELSECNET/H対応ユニットは、設定を変更することでMELSECNET/10モードにも切り替え可能です。この機能により、既存のMELSECNET/10ネットワークを継続利用しながら、将来的にMELSECNET/Hへの移行を計画することができます。
MELSECNET(II)
MELSECNET/Hの2世代前の通信方式ですが、同様に他のMELSECNETとは互換性はありません。同じ種類のケーブル(光ファイバー、同軸ケーブルなど)を使用します。
古い規格のためMELSEC-A,QnAしかユニットが対応していません。そのためQのデータをMELSECNET(II)に転送するには次のようなゲートウエイを作成する方法があります。
MELSECNET/B
シールド付ツイストペアケーブルを使った通信方式です
CC-Linkシリーズ
A,QnA | Q | iQ-R | F | L | iQ-F | |
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CC-Link | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
CC-Link/LT | × | ○ | × | ○ | ○ | × |
CC-Link
CC-Linkは、Control & Communication Linkの略でRS-485をベースにした安価で構築しやすいネットワークであり、特に日本国内での採用実績が非常に多いとされています。このため、現在でも新規の設備で多く採用されています。
CC-Linkのバージョンとケーブル仕様
CC-Linkには以下のバージョンが存在し、システム改造時にはバージョンとケーブルの型式を確認することが重要です。
- CC-Link Ver.1.00
- ケーブルのインピーダンスは100Ωまたは130Ω 。(FANC-SB,FANC-SBH等)
- CC-Link Ver.1.10
- ケーブルのインピーダンスは110Ω に統一され、以降のバージョンでも継承されています。(FANC-110SBH等)
- CC-Link Ver.2.00
- 拡張サイクリック設定 に対応し、従来のVer.1系と比較して転送量が最大8倍 まで設定可能。
CC-Linkネットワークの総延長距離は、通信速度によって異なります。例えば、通信速度を高速化するほど許容されるケーブルの長さが短くなります。このため、ネットワーク設計時には通信速度と距離のバランスを考慮する必要があります。
また古いシステムの改造時ネットワークのバージョンとケーブル型式を必ず確認してください。特にCC-Link Ver.1.00を使用している場合、ケーブルのインピーダンスが最新バージョンとは異なるため注意が必要です。
CC-Link/LT
CC-Linkには、簡易版として設計されたネットワークシステムが存在していました。このシステムは、専用のフラットケーブルを使用することで、配線の簡略化とネットワーク構築の手軽さを実現していました。しかし、採用実績が少なかったため、現在では販売が終了しています。
似たコンセプトを持つネットワークとして、AnyWireASLINK があります。こちらへの置き換えを現在では推奨されています。
AnyWireASLINK
Q | iQ-R | F | L | iQ-F | |
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AnyWireASLINK | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
株式会社エニイワイヤが開発したシステムですが後々三菱電機グループの会社になりCC-Link/LTの後継としてAnyWireASLINKが推奨されるようになりました。