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Kubernetes 1.23: SIG Scheduling の変更内容

Last updated at Posted at 2022-01-05

はじめに

Kubernetes 1.23がリリースされましたね :tada:

今回もKubernetes v1.23のCHANGELOGをベースにSIG Schedulingに関する機能について紹介していきます。

過去の変更内容:

所感

v1.23では設定周りの変更が入った程度で、それ以外はバグ修正,メトリクス周りの修正程度で目立ったものはありませんでした。

  • __kubescheduler.config.k8s.io/v1beta3が追加__されました。
    • multiPoint fieldの登場によってscheduler pluginが簡単・安全に有効化/無効化できるようになります。
    • TaintTolerations, NodeAffinity, InterPodAffinityPluginのデフォルト重みの増えます。これによってPreferNoScheduleなEffectを持つTaintへのTolerationや、preferredDuringSchedulingIgnoredDuringExecutionなaffinityがこれまでよりも効きやすくなります。
  • __kubescheduler.config.k8s.io/v1beta1が削除__されました。
  • __legacyなscheduler policy configが削除__されました。

下記 :pencil: がついた文章は、CHANGELOGの公式内容ではなく筆者の補足です。

What's New (新情報)

Simplified Multi-point plugin configuration for scheduler

kube-schedulerは複数の拡張点(extension point)を持つPluginの設定を単純化できるmultiPoint設定フィールドを追加しました。このフィールドは、管理者がschedulerをシンプルに設定できるようにすることを目的としています。

multiPointフィールドで有効化されたpluginは、自動的に実装されているすべて拡張点をschedulerに登録します。たとえば、ScoreとFilterという拡張点を実装しているpluginは、双方同時にenabledできるようになります。これによって、拡張点を個別のenables/disabledを手動で編集せずに、全てのpluginをenabled/disbledすることができるようになります。これらの拡張点を個別に設定する方式は、ほとんどのユーザーにとって無関係であるため、抽象化されました。

:pencil: kube-schedulerはScheduling Frameworkに基づいて動作していて、各機能はPluginという形で実装されています。それらのPluginはKubeSchedulerConfiguration を通して、有効化/無効化できるようになっています。各PluginはScheduling Frameworkの拡張点(extension point)を実装するのですが、これまではユーザの意図とはあまり関係のない拡張点の単位で設定を有効化/無効化する必要があり設定が煩雑でした。また設定を誤って一部の拡張点でしか設定しないと、Pluginが意図しない動作をする可能性すらありました。multiPointフィールドを使うと拡張点単位ではなくPluginごとに有効化/無効化の設定ができるため、単純かつ安全になりました。

:pencil:`multiPoint` を使わない場合 → ユーザはPluginをenabled/disabledしたいのであって拡張点にあまり興味はないはずなのに、拡張点ごとにenabled/disabledしなきゃいけなくて、すごく面倒くさい。間違うと誤動作する可能性すらある。
# v1beta2(multiPoint使えない)場合
# 例えば、デフォルトで有効になっているPodTopologySpreadを外す場合
# 実装している拡張点すべてでenabled/disabledする必要がある
# (しかも間違うと意図しない動作する可能性すらある)
apiVersion: kubescheduler.config.k8s.io/v1beta2
kind: KubeSchedulerConfiguration
profiles:
  - plugins:
      prescore:
        disabled:
          - name: PodTopologySpread
      score:
        disabled:
          - name: PodTopologySpread
      prefilter:
        disabled:
          - name: PodTopologySpread
      filter:
        disabled:
          - name: PodTopologySpread
---
#自作のPluginを利用する際にも、
# 実装している拡張点毎にenabledする必要がある
apiVersion: kubescheduler.config.k8s.io/v1beta2
kind: KubeSchedulerConfiguration
profiles:
  - plugins:
      score:
        enabled:
          - name: MyPlugin
      filter:
        enabled:
          - name: MyPlugin
:pencil:`multiPoint`を使う場合 → Pluginごとに簡単かつ安全にenabled/disabledできて便利!
# v1beta3のmultiPointを使う場合
# すべての拡張点を適切にenabled/disabledしてくれる
apiVersion: kubescheduler.config.k8s.io/v1beta3
kind: KubeSchedulerConfiguration
profiles:
  - plugins:
      multiPoint:
        enabled:
          - name: MyPlugin

:pencil: "KubeSchedulerConfigrationのv1beta3(Kubernetes v1.23)で追加されるMulti-point plugin configurationについて"でも詳細に解説されているので参照してください。

Structured logging graduate to Beta

構造化ロギングがBetaマイルストーンに到達しました。kubeletとkube-schedulerの多くのログメッセージが構造化ロギングに変換されました。ユーザはJSON出力を試したり、構造化テキストフォーマットをパースしたりして、multi-line文字列の処理といったopen issueについてのフィードバックを行うことが推奨されています。

Urgent Upgrade Notes(必ず一読してからアップグレードしなければならない事項)

:pencil: ありません。とはいえ、action requiredな変更がいくつかあるので注意です。

Deprecation (非推奨)

  • [ACTION REQUIRED] Kube-scheduler: --port,--addressフラグは何の効果もなくなり、v1.24で削除されます。insecure portフラグである--portは0しか指定できなくなります。また、 kubescheduler.config.k8s.io/v1beta1metricsBindAddress, healthzBindAddress fieldsは指定しても効果がなく、空であることが期待されます。そして、kubescheduler.config.k8s.io/v1beta2では完全に削除されます。加えて、下記に注意してください:
    • kube-schedulerは--authorization-kubeconfig and --authentication-kubeconfigが正しく設定された状態でスタートしなければなりません。
    • kube-schedulerのliveness/readiness probesはHTTPSを使わなければなりません。デフォルトポートが10259に変更になります。
    • kube-schedulerのメトリクスにアクセスするApplicationは /metrics nonResourceURLsへのアクセスが許可されたservice accountを使う必要があります。(#96345, @ingvagabund) [SIG Cloud Provider, Scheduling and Testing]
  • deprecatedなscheduler_volume_scheduling_duration_secondsメトリクスが削除されました。(#104518, @dntosas) [sig/scheduling,sig/storage,sig/instrumentation]

API Change (API の変更)

  • kube-apiserver: rbac.authorization.k8s.io/v1alpha1API が削除されます。v1.8以降利用可能な rbac.authorization.k8s.io/v1APIを使ってください。 scheduling.k8s.io/v1alpha1APIが削除されます。v1.14以降利用可能なscheduling.k8s.io/v1APIを使ってください。(#104248, @liggitt) 
  • v1beta3 APIが追加されました。このバージョンでは
    • ユーザが指定できるnode priorityのweightが増えます。TaintTolerationsが3に、NodeAffinityが2に、InterPodAffinityが2になります。
    • HealthzBindAddress, MetricsBindAddress fieldsが削除されます。
    • :pencil: v1beta2まではすべてこれらのScore pluginのweightは1でした。v1beta3からこれらのNodeScoreがより強く影響するようになります。PreferNoSchedule effectなTaintや、preferredDuringSchedulingIgnoredDuringExecutionなaffinityを使っている際に影響を受けます。
    • :pencil: v1beta3では設定項目の変更は殆どなく、上記の重み変更によるデフォルト設定でのbreaking changeに伴うversion bumpとなっています。
  • Action Required: kube-scheduler: 設定ファイルバージョンv1beta1が削除されます。v1.23に更新する前にv1beta2(xref: https://github.com/kubernetes/enhancements/issues/2901) もしくはv1beta3に更新してください。(#104782, @kerthcet)
  • KubeSchedulerConfigurationは新しくMultiPointフィールドを提供します。このフィールドによって各プラグインが対応しているextension pointを適切に登録することができるようになります。(#105611, @damemi) [SIG Scheduling and Testing]
  • Action Required: legacyなscheduler policy configはv1.23で削除されます。関連するpolicy-config-file, policy-configmap, policy-configmap-namespace and use-legacy-policy-configフラグも削除されます。Component Config に移行してください。詳細は https://kubernetes.io/docs/reference/scheduling/config/ を参照してください。(#105424, @kerthcet)

Feature (機能)

  • VolumeBinding pluginで、ClaimLostフェーズのPVCをUnschedulableAndUnresolvableとして処理するように改善しました。(#105245, @yibozhuang)
  • pending_pods, preemption_attempts_total, preemption_victims and schedule_attempts_totalメトリクスがstableにgraduateしました。 また、e2e_scheduling_duration_secondsscheduling_attempt_duration_secondsにリネームされ、stableにgraduateしました。(#105941, @rezakrimi) [SIG Instrumentation, Scheduling and Testing]
  • Jobが未スタートかつsuspendな場合にのみ、Node affinity, Node selectors, and tolerationsがmutableになりました。(#105479, @ahg-g)
  • RequestedToCapacityRatio ScoringStrategyを利用する際、空のshapeはエラーになります。(#106169, @kerthcet) [SIG Scheduling]
  • kube-schedulerは--v<10でも nodeのscoreをログ出力するようになります。--v=4,5ではtop 3 nodeのtop 3 pluginのスコアを、--v=6,7,8,9ではtop 6 nodeのすべてのpluginのスコアを出力します。(#103515, @muma378)

Documentation

  • pod_scheduling_duration_seconds, pod_scheduling_attempts, framework_extension_point_duration_seconds, plugin_execution_duration_seconds and queue_incoming_pods_totalメトリクスがstableにGraduateしました。(#106266, @ahg-g) [SIG Instrumentation, Scheduling and Testing]

Failing Test (失敗しているテスト)

:pencil: ありません。

Bug or Regression (バグまたはリグレッション)

  • 一時的な故障によってschedulerがPodの削除イベントを観測できなかった場合でもscheduelr cacheからPodが削除される様に修正しました。(#106102, @alculquicondor) [SIG Scheduling]
  • requestsを持たないようなpodが存在するnodeにおけるNodeResourcesBalancedAllocationscoring pluginsの挙動を修正しました。 (#105845, @ahmad-diaa)
    • :pencil: NodeResourcesBalancedAllocation scoring pluginでは、requestsが空のpodについては、scheduler defaultのepsilon量をrequestsとして計算していましたが、これだと、zero requestsのpodが大量にある場合にbalanceしないという問題を修正しています。(#105220)
  • nodeがzoneラベルを持たない場合のtopology spreadingのシステムデフォルトの設定を修正しました。この修正によってデフォルトでPodが分散されるようになります。 (#105046, @alculquicondor)
    • :pencil: Kubernetes 1.19以降、PodTopologySpreadのシステムデフォルト設定ではnodeがkubernetes.io/hostname, topology.kubernetes.io/zoneの両ラベルを持っていることを想定しており、オプレミスクラスタ等でzoneラベルがないnodeがあるとPodTopologySpreadが期待通り動作しなかった問題を修正しています。(#102136)
    • :pencil: v1.20, v1.21, v1.22にbackportされています。
  • 改行やエスケープを含むようなkube-schedulerの設定ファイルをログ出力する際の可読性を改善しました。(#106228, @sanchayanghosh) [SIG Scheduling]
  • schedulerのnode limitsとkubeletのhostpath checkでgeneric ephemeral volumesが適切に処理されていなかったのを修正しました。(#100482, @pohly)
  • kube-schedulerで未定義のフラグを指定した場合にusageメッセージを出力しないようになります。(#104503, @sanposhiho) [sig/scheduling]
  • メトリクスの変更: scheduler_volume_scheduling_duration_seconds_bucketメトリクスで公開されているBucketを修正しました。(#100720, @dntosas)
    • :pencil: このhisotogramメトリクスのバケットの最小値が1000秒になってしまっており、1000秒未満の値も1000秒として報告されていたのが修正されました。
  • Schedulerのリソースメトリクスにおいて2進接頭辞を使っている場合(2.5Gi, 1.1Ki)にリソース量が非常に小さな値として報告されていたのを修正しました。(#103751, @y-tag) [sig/scheduling,sig/api-machinery]
  • schedulerで--leader-elect*CLI argsが有効になるように修正しました。 (#105915, #105712, @Huang-Wei)
  • pods/bindingサブリソースがPodのmetadata.uidmetadata.resourceVersionを参照する用になります。(#105913, @aholic)

Other (その他の修正)

:pencil: ほとんどがstructured loggingに対応するPRです

  • Schedulerで、PersistentVolumeClaimをbindするPersistentVolumeが存在しないことが原因でnodeが選択されなかった場合のエラーメッセージを改善しました。(#105196, @yibozhuang)
  • pkg/scheduler/framework/plugins/interpodaffinity/filtering.go,pkg/scheduler/framework/plugins/podtopologyspread/filtering.go, pkg/scheduler/framework/plugins/volumezone/volume_zone.goをstructured loggingに移行しました。(#105931, @mengjiao-liu)
  • pkg/schedulerをstructured loggingに移行しました。 (#99273, [@yangjunmyfm192085(https://github.com/yangjunmyfm192085))
  • cmd/kube-scheduler/app/server.go, pkg/scheduler/framework/plugins/nodelabel/node_label.go, pkg/scheduler/framework/plugins/nodevolumelimits/csi.go, pkg/scheduler/framework/plugins/nodevolumelimits/non_csi.goをstructured loggingに移行しました。 (#105855, [@shivanshu1333]
  • pkg/scheduler/framework/plugins/volumebinding/assume_cache.goをstructured loggingに移行しました。 (#105904, @mengjiao-liu) [SIG Instrumentation, Scheduling and Storage]
  • pkg/scheduler/framework/preemption/preemption.go, pkg/scheduler/framework/plugins/examples/stateful/stateful.go,pkg/scheduler/framework/plugins/noderesources/resource_allocation.goをstructured loggingに移行しました。 (#105967, @shivanshu1333) [SIG Instrumentation, Node and Scheduling]
  • schedulerのファイル cache.goをstructured loggingに移行しました。 (#105969, @shivanshu1333) [SIG Instrumentation and Scheduling]
  • schedulerのファイルcomparer.go, dumper.go, node_tree.goをstructured loggingに移行しました。 (#105968, @shivanshu1333) [SIG Instrumentation and Scheduling]
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