今流行の分散型SNS 「Threads」
今回はなぜThreadsが分散型SNSの一員になろうとしているのか、歴史をもとに調べてみました
巷で話題のThreadsは現在twitterの代替物として、Metaがリリースしているアプリである。その急速な伸びもさることながら、そこにはさまざまな思いや工夫が込められている。
「優しさが集まる空間にしたい」とMetaはいう。そのために、政治の話や時事ニュースがアルゴリズムでおすすめされにくくされている。そしてより注目しているのが分散型SNSに参加しようという動向である。分散型SNSとは、中央集権的なTwitter、Instagramのような一つの企業のサービス、サーバーで運用され情報をすべて支配している形態とは違い、脱中央集権を目的としたSNSである。
「activityPub」という通信プロトコルを利用することで、サーバー間で相互に通信できる。そのため、ユーザーに応じたサーバーが多数存在し、ユーザーの自由をより体現しようと試みが行われている。
もちろんデメリットもあり、OSS(オープンソースソフトウェア)ということもあり、マネタイズやサーバー維持、セキュリティなど難しい点である。そのため、この分散型SNSを維持することは難しい。
分散型SNSとはよりユーザーの自由度を高めるために生まれたものだ。そういった中にThreadsを運用するGAFAの一角、Metaが分散型SNSに参加するというのは非常に心強くより自由を促進すると期待する声もあるが、僕はそうはとらえていない。
歴史を辿るとこのようなオープンスタンダードな技術を大手企業が採用し、独自に改良した後に中央集権的な形に変え、オープンスタンダードの技術を本来の思想と目的の意に反することをすることがある。
例えば、GoogleとXMPP(Extensible Messaging and Presence Protocol)の関係がそうである。Googleが2005年にGoogle Talkをリリースし、XMPPというプロトコルを用いて開発を進めていたが、ある日、Google はXMPPとは別のプロトコルを独自に作り、新たなサービスを提供し、XMPPのサポートを段階的に打ち切った。最初は大手企業の参入によりオープンスタンダードな技術が広く使われていたが、大手企業がそこに改良を加えて新たなプロトコルをもとにサービスを提供したことで、XMPPは急速に落ちてしまい、XMPPの思想を踏襲せず利用した形となった。
そのように大手企業がオープンスタンダードなものに同調していたにも関わらず、独自に拡張しより差別化したサービスを提供するという本来の目的とは異なることをすることは今回のThreadsがactivityPubプロトコルを利用することにも同様の現象が起こるように考えられる。そのため我々は、Metaの動向を注視する必要があり、オープンスタンダードの使用方法に公正かつ透明な行動をとることを求める必要がある。