世紀をまたいでしまったくらい過去のお話です。
そのむかし、今から20年以上前の話です。
甲信越地方のいち大学の学生で学祭委員であった私が周りの協力を得ながら大学祭を生中継したことを思い出しながら書いていきます。
元の資料は大学の総合情報処理センターの研究報告に記載しているのですが、これがまたShiftJISで記述してしまったが為にかなり見るのに苦労してしまったので、その内容を思い出しながらつらつらと書いていきますです。
スマホなんて無かった時代に実現した「大学祭の中継」
当時、まだPHSもお元気な時代で今のガラホに近いいわゆる「iモード」携帯が普及し始めるかどうかと言う時代に「大学祭を中継したい」という奇妙奇天烈摩訶不思議なウルトラCを実現しようと言う話が学祭委員OBから持ち上がりました。私は当時国立大学の情報教育一期校の学部3年生で、面白く感じたのでやってみようと言うことを心に誓ったのです。当時のことですから無理だろうという人もたくさんいました。止めたほうが良いという人までいましたが、その制止をふりきって私は突き進みました。
困ったのは機材の調達とネットワークの拝借そしてシステム周り
当然、学祭委員の協力は微々たるもので当時の予算で機材を買うお金なんてありません。そこで私は大学という大きな教育機関の力を借りて、この難題に挑むことを考えました。
私の通っていた大学には総合情報処理センターなるものがありましたので、学生課を通じてその機材を借りられないか伺ったところ、センターのかたは快く引き受けてくださいまして、機材の調達は何とかなりました。
借りた機材は
- ビデオカメラ(勿論テープ式)+三脚
- ノートPC
- キャプチャカード
でした。後の細々したもの(LANケーブルなど)は自腹を切りました。
次に、困ったのはネットワークをどうするかと言うことでした。当時無線LANなど皆無でありそのほかに考えられるのは学内PHS環境を使って流すと言うことでした。でも、これでは遅すぎてお話になりません。さらにいうと当時の機材では中継に耐えられる処理速度を持つPCは大きなデスクトップもしくはノートPCでした。あんなデカいのを持って歩いていたのを考えると今ではぞっとします。
そして、もう一つ困ったのは配信システムです。
当時、総合情報処理センターにはMOD(Multimedia On Demand)なるシステムがあり、それを借りる事をまず考えましたが、これは一旦録画したものを流すことはできても、即配信というわけには行きませんでした。そこでセンター付の担当教官と協議した結果、RealMediaのRealServerを借りることとしました。しかしこれには制限があり、無料枠では25人同時接続しかできませんでした。これだと少ないと思っていたのは私だけかと思いますが、当時はこれが性能限界でした。
いざ実践
いろいろと調整もつきはじめて、いよいよ翌日本番と言うときに問題が発生しました。学祭委員の詰め所にネットワークがきていないことがわかったのです。今では考えられないでしょうが、ネットワークがきておらず、その建物のネットワーク管理をしている教官に頭を下げに下げて、なんとか一本回線を回して頂けることになりました。今考えるとここらへんの甘さが露呈しているなぁ、と思います。
なんとか中継にこぎ着けたのですが、問題はまだあり、外部から本当に見えていてるか確認しておく必要があったのです。
同じ学祭委員のご兄弟に頼んで(確か愛知だった気がしますが)そのPCから接続できるかを試験しました。こちらからRealServerを介してそのご兄弟に話しかけ、その兄妹からはチャットか何かで返事をもらったような気がしました。
当時はコンプライアンスも何もかもが希薄だった
さて、中継できていることも確認できたので、あとは実際に中継をしました。なんと言っても、一番の目玉は芸能人ステージの中継です。
名前はあえて言いませんが、お笑い芸人さんと双子デュオのステージだったと思います。いまでは絶対に無理だと思いますが、あのころはコンプライアンスというかそういう規範がまだどこにもない時代だったので、「中継させてください」のお願いに、なんだかわけがわからずにOKして頂いた、そんな気がします。
針よ振れろ、そして振り切れ
RealServerにはモニタ機能がありまして、何人接続しているかがわかっていました、芸能人ステージではたしか半分くらいのキャパしか埋まらなかった気がしています。そんなもんですよ、だって宣伝も何もしていない、あったのはWebページの予告だけだったのですから。今は検索でリアルタイムに情報が手に入る時代ですが、当時はyahoo!くらいしか検索エンジンはなく、また私もPRの方法がよくわかっていたわけではないので、実験は微妙に失敗の匂いがしました。
今振り返って
TikTokなどの最先端の配信システムなどと比べれば吹いて飛ぶような存在でしたが、それでも多少見てくれる人もいたので自分で気には満足な半年間の試みでした。この場を借りて色々お力添えしてくださった方には感謝します。
大事だと思うこと
- 大人の力を借りよう
- 無理だと思っても、とりあえずやってみる事が大事
- コンテンツは大事、でも宣伝はもーーーっと大事
以上です。お楽しみ頂けましたかな?