こんにちは、寺尾です。
コンデンサマイクで音を取ってiPhoneに入れて配信したいと、最近何度かライバーさんから聞かれました。インターネット上の記事を探してみると、Yahoo質問箱とかで「まず基礎から学んで出直せ」みたいなレスが付いててそれは無いんじゃ無いかと思うので記事を書いてみたいと思います。
最近はライバーさんや自宅での会議用などにもコンデンサマイクを使っている人が増えていますね。少しでも参考になれば幸いです。
まず結論から言うとこんな感じで構成すると上手く繋がります。
使用機材
種類 | 機材名 | 説明 | 入手場所 |
---|---|---|---|
マイク | AKG C214 | AKG製のコンデンサマイ | Amazon |
ミキサー | Yamaha MG06X | Yamahaのアナログミキサー。MG06に6種類のFXを追加した機種 | Amazon |
4極端子変換ケーブル | 3.5mmアダプタケーブル MillSO ヘッドホン+マイク用変換アダプタケーブル | CITA規格の物 | Amazon |
ライトニング-4極ケーブル変換 | Apple Lightning - 3.5 mmヘッドフォンジャックアダプタ | Amazon |
ミキサーは別にこれじゃ無くても良いですし(ホントはAG06が欲しかった)、オーディオインタフェースでもOKです。ミキサーの方が利用の幅は広いと思いますが、オーディオインタフェースの方が場所を取らないと思います。
最近は在宅や配信ブームのせいでミキサーをはじめ低価格帯の音響機材が入手困難になってきています。ご注意下さい。
1 マイクの種類
まずマイクの種類を話します。
- ダイナミックマイク
- コンデンサマイク
比較的身近なところで言うと、アーティストがライブなどで持って歌ったり、カラオケなどで手に持って口にかなり近づけって持つマイクがダイナミックマイクという種類の物です。ダイナミックマイクはマイク周辺の音のみを拾うため口をかなり近づけて喋らないと行けませんが、逆にノイズを拾いにくい特性や、大音量にも比較的対応しやすい物になっています。
コンデンサマイクは、漫才などで真ん中に立っていることもありますね。ダイナミックマイクより離れている音も拾える特性があります。繊細な音を拾えるためボーカル収録などでもよく使われます。その反面、大音量にも弱く、湿気や衝撃などに弱いため保管や取扱には注意が必要です。また、コンデンサマイクはファンタム電源というマイクを接続するケーブルから微弱の電流を供給されて動作します。そのため、コンデンサマイクを接続する先の機器は対応する電圧のファンタム電源を供給出来る物にする必要があります。
今回の構成では、Yamaha MG06Xはファンタム電源(+48V)に対応しているのでコンデンサマイクを利用出来ます。コンデンサマイクを使う場合はMG06Xのファンタム電源のスイッチをONにする必要があります。
私の環境では AKG C214 というコンデンサマイクを購入しました。
さらに詳しいマイク選びについてはサウンドハウスさんの以下のページが参考になります。
また、マイクとミキサーなどを繋ぐケーブルはキヤノンケーブル または、XLRケーブルという物を使います。音響を初めてやる人は初めて買うケーブルかも知れません。
マイクはオス端子、ミキサー側はメス端子が一般的なので、ケーブルはメス-オスのケーブルを買うのが一般的かと思います。環境に合わせて購入してください。
最近はUSBでパソコンに直接接続出来るコンデンサマイクも出てきていて便利ですが、今回の記事の対象では無いのでふれません。PC以外には接続出来ないので、PC以外では使わないと割り切る場合はとても良い選択肢でしょう。
コンデンサマイク(参考)
- AKG C214 (私が購入したマイク)
- audio-technica コンデンサーマイク AT2020 (1万くらいで手に入れやすいマイクですが最近どこにも売ってません)
- AKG Lyra-Y3 コンデンサーマイク USB接続
2 マイクレベル / ラインレベル
コンデンサマイクの場合はファンタム電源が必要なのでミキサーが必要なのは理解しやすいですが、ダイナミックマイクの場合は、3.5mmのミニフォンプラグに変換すれば、右側にあるピンクの端子に接続することは出来そうに思います。しかし、ここが初めて繋ぐ人が間違いやすいポイントです。オーディオは端子の形が合って、繋がればOKと言うわけではありません。流れている信号について理解する必要があります。
オーディオの信号は大きく4つの信号に分類出来ると言われています。「マイク」「ライン」「楽器」「スピーカー」の4種類です。ここではマイクとラインの違いを解説します。
大きな違いのポイントは信号の強さです。ラインの信号は約1ボルトでマイクの信号に比べて約1000倍あります。つまり、ラインの入力端子にマイクを直接入れても信号が低すぎて使えないんです。
信号 | 強さ | 補足 |
---|---|---|
マイクレベル | -60〜-40 dBu | |
ライン(一般向け機器) | -10 dBV | MP3やDVDプレーヤーなど |
ライン(プロ向け機器) | +4 dBu | ミキサー卓やシグナルプロセッサーなど |
※おぼえなくても良い豆知識:dBuとdBV は音響機器の入出力レベルを示すための単位で、dBVは民生機器用、業務用機器ではdBuが用いられるのが一般的。
そこで、マイクの信号をラインのレベルまで増幅する機械を使わなければいけないのですがそれが、ミキサーやオーディオインタフェースという機械になります。
3 ミキサー/オーディオインタフェース
マイクを接続する先として一般的なのはミキサーです。ミキサーだと複数の音源をミックスして出力することが出来ます。また、イコライザー(EQ)を搭載していれば高音域、低音域などのレベルを調整したり、エフェクター(FX)を搭載していれば、リバーブ(エコー)やディレイ(やまびこみたいな感じ)をかけることができます。せっかくミキサーを買うならリバーブがかけられる物を選ぶとよいでしょう。また、コンデンサマイクを使う場合はファンタム電源対応の物を選びましょう。
MG06Xではマイクが2本まで刺さり、それぞれにエフェクターをON/OFF出来るスイッチが付いています。また、エフェクターは6種類(リバーブ3種類、ディレイ3種類)対応して、どのくらい強くエフェクターをかけるかを選択する事が出来ます。
ミキサーの難点としては、場所を取ることです。殆どの機種が、上の面に制御用のパネルがあるので上に物が置けないと言った制約があります。家庭で使う方が増えているので、空間の有効活用は大事ですよね。
その点、オーディオインタフェースだと前面に制御端子が有る物が多いため重ねることも出来場所を有効活用することが出来ると思います。状況に応じて選んでみてください。
- Yamaha AG06 デジタルミキサー (最近どこにも売ってません)
- Yamaha MG06X アナログミキサー
- BEHRINGER ( ベリンガー ) XENYX QX1002USB アナログミキサー
- BEHRINGER ( ベリンガー ) UMC22 オーディオインターフェイス
4 フォン変換ケーブル
そもそもこのケーブルってなんて言うでしょう。オーディオケーブルとかLINEケーブルとかいろいろといろいろと言ってきましたが、正式には「フォンコネクタ(フォン端子)」(Wikipediaはフォーンコネクタ) と呼ぶらしいです。
今回はフォンコネクタのモノラルプラグx2を、ステレオミニフォンプラグ(直径3.5mmの端子。一般的にはステレオミニプラグと呼ばれるので本記事でもそう呼びます)に変換する物を利用します。これを、4極端子変換ケーブルのピンクのマイクジャックの方に挿します。
※ ただし、ここは正しい配線とは言えません。なぜならiPhoneのマイク端子はモノラルなので、ステレオミニプラグを挿すのは正しくありません。モノラルなので右か左をモノラルミニフォンプラグにするケーブルを使う方が適切だと思います。
話はそれますが、コネクタ、プラグ、ジャック、ピンプラグなど、これらの用語を正しく使えていますか?
- コネクタは、端子のことで端子の形状などをさします。
- プラグは、コネクタのオス(挿す)側
- ジャックは、コネクタのメス(プラグを受ける)側
- フォン端子とピン(RCA)端子は下の図の通り
オーディオで良く出てくるケーブルを表にしてみました。
5 4極端子変換ケーブル
4極端子とはなにか、右側のミニフォンプラグを見ると黒い線が3本入っているのが分かると思います。黒い線は信号を分離しているところなので、金色のところを数えると4つ有ると思います。これが4極あるということです。この4極にはステレオ音声 2チャンネル、グランド(接地)、マイクの4チャンネルをとおします。
この端子に先ほどのステレオミニプラグ(3極)を挿しても音声出力の部分に信号が行くだけでマイクに信号がいきません。そのため、変換プラグで音声とマイクを分離してあげる必要があります
実は、この4極端子には実は2種類あって、種類を間違えると上手く繋がらないので注意が必要です。
4極には「CTIA」「OMTP」という2種類の規格があります。レコチョクさんが分かりやすい図を公開してくれているので引用します。この図にあるとおり、マイクを使う接点の場所が異なるため繋げても上手く繋がらないのです。CITAのほうがステレオ音声とマイクの間にGNDが入っているのでノイズが乗りにくそうですね。
現在の主流はiPhoneで採用されているCITAです。古いスマホなどを使う場合は注意しましょう。詳しくはレコチョクさんのサイトを見てください。
前置きが長くなりましたが、最近のスマホやiPhoneに繋げる場合は、CITAの変換ケーブルを買うことになりますが、ハッキリと書いて居ない場合が多くあります。iPhoneはずっとCITAなのでiPhone対応と書いてあればCITAと考えてよいでしょう。
私の購入したケーブルはこちらです。
6 ライトニング変換ケーブル
最後のケーブルです。このケーブルはライトニング端子をミニフォンジャック(4極)に変換してくれるケーブルです。
このケーブルは、iPhone8以降だと購入したときに標準で入ってきます。iPhone7以前だとイヤホンジャック(4極)が本体に付いているので、このケーブルは不要になります。
無くしている場合は、Amazonなどで購入可能です。
このケーブルの最大の難点は、挿している間充電が出来なくなることです。iPhone8以降は、Qiが対応しているので、無接点充電をiphoneの裏に貼って充電することも出来ると思いますので試してみてください。
サンコーのiPhoneの裏に吸盤で張り付くバッテリーが気になります。。。
まとめ
ここまで読んで頂けたら、無事にiPhoneにコンデンサマイクの音声を入力するための知識を付けて頂けたと思います。
予想以上に必要な機材が多かったかも知れませんが、これにめげずに是非チャレンジしてみてください。
よき配信ライフを!