$
\newcommand{\Z}{\mathbb{Z}}
\newcommand{\Q}{\mathbb{Q}}
\newcommand{\R}{\mathbb{R}}
\newcommand{\C}{\mathbb{C}}
\newcommand{\A}{\mathbb{A}}
\newcommand{\X}{\mathrm{X}}
\DeclareMathOperator{\Ga}{G_a}
\DeclareMathOperator{\Gm}{G_m}
\DeclareMathOperator{\ord}{ord}
\DeclareMathOperator{\sgn}{sgn}
\DeclareMathOperator{\abs}{abs}
$
アデール
有理数体 $\Q = \varinjlim \Z/s$
有理整数環の副有限完備化 $\widehat{\Z} = \varprojlim n \backslash \Z = \prod_p \Z_p$
$p$進体 $\Q_p = \Z_p \otimes \Q$
実数体 $\R = \Q_\infty$
アデール環 $\A_\Q = \widehat{\Z} \otimes \Q \times \R$
有限アデールの表現 $n \backslash r / s$
ここで$n$は法,$s$は分母,$r$は分子であり,アデールの有限部分$\widehat{\Z}\otimes\Q$の元の近似表示とみなす.
$0 \backslash r / s = r/s$
$n \backslash r / 1= n \backslash r$
と書く.$s$の逆元が$1/s$で$s \times 1/s = 1$,$r$の反元が$-r$で$r + -r = 0$,$n$の法が$n\backslash 0$で$n + n\backslash 0 = n\backslash 0$となる.
非アルキメディアンな場合
$p$進数はリトルエンディアンで表示する.つまり,$p$を$p$進で表示すると$p = 0 + 1 \times p = 0.1$となる.
また,非零な$x$に対して
$x = p^{\ord x}(\sgn x)(\exp \log x)$
となるようにタイヒミュラー指標$\sgn$と対数$\log$を拡張しておく.
もちろん,常識的な定義域の範囲では
$\sgn x = \lim_{n\to\infty} x^{p^n}$
$\log x = \sum_{n=1}^\infty (1 - x^{-1})^n/n$
である.
$\ord : \Gm(\Q_p) \to \Ga(\Z)$
$\sgn : \Gm(\Q_p) \to \Gm(\Q_p)$
$\exp : \Ga(\Q_p) \to p\Z_p \stackrel{\sim}{\to} 1 + p\Z_p \to \Gm(\Q_p)$
$\log : \Gm(\Q_p) \to 1 + p\Z_p \stackrel{\sim}{\to} p\Z_p \to \Ga(\Q_p)$
ここで,レトラクション(準同型ではない)$\Ga(\Q_p) \to p\Z_p$をどう選ぶのが妥当かよくわからないが,
$a.b \mapsto 0.b$ つまり,$\sum c_n p^n \mapsto \sum_{n>0} c_n p^n$に選んでおく.
$p=2$の場合は,さらに修正が必要なのはそのとおり.
もちろん,常識的なところでは
$\exp x = \sum_{n=0}^\infty x^n/n!$
である.
アルキメディアンな場合
実数や複素数はもちろんビッグエンディアンで表示する.
つまり,$p$を$p$進で表示すると$p = 1 \times p + 0 = 10$となる.
が,さらにその続きがある.
$\tau = 2 \pi i$とする.
$0, 1, e, \tau$が複素数体における特別な元となっている.
$\abs : \Gm(\C) \to \Gm(\C)$
$\sgn : \Gm(\C) \to \Gm(\C)$
$\exp : \Ga(\C) \to \tau \backslash \Ga(\C) \stackrel{\sim}{\to} \Gm(\C)$
$\log : \Gm(\C) \stackrel{\sim}{\to} \tau \backslash \Ga(\C) \to \Ga(\C)$
ここで,セクション(準同型ではない)$\tau \backslash \Ga(\C) \to \Ga(\C)$は$\tau\backslash(\tau/2)\mapsto -\tau/2$に選んでおく.
$\tau \backslash \Ga(\C)$の元$x$を
$x = a.b.c = a.b + \tau \times 0.c$
のように書く.また,それが$\exp$で移った先を
$x\ \X = \exp x$
と書く.このように対数表示すれば,乗法・逆元・反元で誤差が発生せず,
$e = 1\ \X$
$-\tau/2 = 0.0.5$
$i = 0.0.25\ \X$
などとなる.また,ダイナミックレンジの大きな量も
$$ a.b.c \ \X $$
としてコンパクトに表現される.ここで$a$がオーダー,$b$が精度,$c$が次元を表していると思える.ちなみに$\log$は
$$\log x = \int_1^x \frac{ds}{s}$$
と定義されているものとする.
余談ながら,慣用の指数表示は,例えば基数を$r$として
$x =
(\sgn x)\exp\left((\log r) \left\{\frac{\log |x|}{\log r}\right\}\right) \times
\exp\left((\log r) \left\lfloor\frac{\log |x|}{\log r}\right\rfloor\right) =
(\sgn x)\ \alpha.\beta \times 10^\nu$
としているわけで,これに比べれば
$x = \exp \log x = a.b.c\ \X$
が単純だと思う.例えば,$2$進表記されたものを$2\times 5$進表記に変換する手間を考えてみて欲しい.