株式会社Progateで広報を担当している益本です。
広報は黒子であるべきと思っているので気が引けたのですが、、、
当社のエンジニアに励まされたので書かせていただくことにしました。
#自己紹介:
37歳、夫と5歳と3歳の子供の四人暮らしです。
新卒で入社した会社で10年以上OL生活した後、退職して子連れでイギリスに留学、帰国後は広報代理店で働いたり、また新卒で働いた会社に出戻り入社したりと紆余曲折を経て、今年10月にProgateにジョインしました。
三十路、二人の子持ち、時短というスタートアップ界隈では激レアな広報三重苦の私ですが、柔軟な働き方を許してくれる会社と、超優秀な若き同僚たちのおかげで、なんとかやっています。
もともとザ・日の丸製造業って感じの大企業でちょっと窮屈な思いをしていたので、なんと言いますか、遅れて来た青春みたいな感じで仕事に夢中な日々です。
今回は「スタートアップがプレスリリースを超速で書く10のコツ」をまとめてみました。
スタートアップは広報担当者がいないことが多いので、エンジニアやセールス(もしくは社長自ら?!)が片手間で書くことが多いと思います。
プレスリリースはコツさえつかめば誰でも書けるものなのですが、経験が無いと何を書けば良いのか悩んでしまい、時間を浪費してしまう方も多いかと。
私は新卒で働いた会社で広報4年、ブランド1年、マーケとして商品企画6年、そのあと広報代理店で働いた経験もあるので、とにかく数はこなしています。特に代理店勤務時代は量産してました。あまりに書きすぎて、友人の結婚式でのお祝いの言葉も、ついリリース風にしてしまったこともあります(〇〇家と〇〇家が合併、両者の強みを活かし5年で新生児をリリース、10年でマンション購入を目指す、みたいな感じです。友達も広報が多いので、社会部記者ばりの厳しい質問を受けましたが。)
今日は、そんな経験を活かして、超基本的なことをまとめます。
しばらく広報専任を雇う余裕はないから自分でやるしかない!でも広報について勉強する暇もない!というスタートアップの方向けです。
広報経験者はスルーしてください(笑)
#スタートアップがプレスリリースを超速で書く10のコツ
##1、プレスリリースはテンプレで書け!
プレスリリースには、ある程度、決まった型があります。あれもこれもと悩まず、この型に必要な情報を入れ込んでいけば、1〜3時間で初稿はあげられるででしょう。
よくある発表案件の型を以下の通り:
<新製品・サービス>
①タイトル
②サブタイトル
③リード文
④製品・サービス概要(製品・サービスの名称、発売日、価格、販売目標)
⑤背景(市場動向、開発の背景など)
⑥主な特長(3つがベスト、MAX5つまで)
⑦その他の特長(⑥に入りきらない細かなものがあれば)
⑧会社説明(創業ストーリー、企業理念など)
⑨会社概要(社名、代表者名、住所、設立年月日、資本金、事業内容、URLを箇条書きで)
⑩問い合わせ先(顧客向けと報道関係者向けの両方)
<他社との提携>
①タイトル
②サブタイトル
③リード文
④提携内容(両社がどういう形で協力するのか)
⑤提携に至った背景(市場背景、目的など)
⑥今後の展望(提携による事業拡大や新規事業開発など)
⑦両社の説明
⑧両社の問い合わせ先(各社それぞれ必要)
<協賛、イベント開催>
①タイトル
②サブタイトル
③リード文
④イベント概要(主旨・開催日程・場所・対象者・内容など)
⑤協賛、イベント開催目的
⑥会社説明(創業ストーリー、企業理念など)
⑦会社概要(社名、代表者名、住所、設立年月日、資本金、事業内容、URLを箇条書きで)
⑧問い合わせ先(報道関係者向け)
いかがですか?情報さえまとまっていれば、簡単ですよね。
他にもキャンペーンとかアンケート結果の発表とか色々ありますが、ほとんどの案件は上記を理解していれば、応用が利きます。
#2、タイトルとリード文に命をかけろ!
記者は一日に数百通のプレスリリースを受け取ると言われています。そのため、プレスリリースを最初から最後まで読むということはまずあり得ません。
多くのスタートアップが使っているPR TIMESというプレスリリース配信サイト(Progateも利用しています)には、配信したリリースのPVはもちろん、リリースのどの部分が読まれたかわかるヒートマップ分析ができます。
弊社リリースのヒートマップ、見事にタイトルとリード文〜写真上部までが真っ赤で、その下の市場背景、会社説明までで75%の人が離脱しています。
なので、タイトルとリード文で、5W1Hを全て正確に簡潔に伝える、プレスリリースの仕事はこれに尽きます。
タイトルで訴求ポイントが明確にわかるように。
無名のスタートアップであれば、タイトルに会社名も入れた方が良いです。
#3、プレスリリースは広告コピーじゃない!
タイトルとリード文に命をかける上で気をつけたいのが、プレスリリースは広告とは違うということです。
もっとキャッチーに!とか、エモくしたい!とか、その製品やサービスを作った当事者であるエンジニアやセールスとしての気持ちはわかりますが、広報が作るプレスリリースは会社の公式文書であり、あくまで誤解なく簡潔に伝えることが大事です。
例えば「〇〇がXXをやってみた結果」とか「なぜ〇〇はXXなのか」とかいうネット記事によくある思わせぶりなタイトル、「全力で応援します!」みたいなエモい表現、泥臭い開発苦労話みたいなストーリーは、オウンドメディアのコンテンツやSNSでやればいいのです。もちろん、記者に企画を売り込んで取材誘致できれば最高です。その際はある程度、キャッチーなタイトルまでご提案するのがベターです。その上で、プロ(記者)にクリックさせるためのタイトル記事を考えてもらいましょうね。なんせ記者はやっぱり文章のプロですから。
#4、”新規性”を打ち出せ!
プレスリリースのタイトルをどうしてもキャッチーにしたいなら、新規性を全面に押し出すのが一番です。当たり前ですが、プレスリリースはニュースの元となるものですので、「新しいこと」「初めてのこと」「珍しいこと」「みんながまだ知らないこと」に価値があります。すでに販売開始した製品は”新製品”では無いので、”ニュース”ではありません。昨日起きた出来事ももうニュースではありません。ですので、プレスリリースは製品やサービスのリリース前、あるいは同時に出しましょう。
競合他社と全く同じ”Me too”製品もニュースになるには厳しいです。逆に、「日本初(日本一)」「世界初(世界一)」という言葉が記者は大好物ですので、もしあなたのサービスがこの言葉を使えるのであれば、絶対にタイトルに入れてください。何よりもインパクトがあります。ただし、大抵の製品やサービスはこの言葉を使うのが難しい(本当にそれが世界中どこにも無いのか?学術的な発見でもない限り調べようもないし)ので、後から他社にクレームをつけられることを恐れてもっと丸めた表現(「業界初」とか「世界に類を見ない」とか「世界トップクラス」とか「国内最大級」とか)にしたり、アスタリスクで注釈を入れまくることになります(世界初*:〇〇という条件において、XX年XX月XX日現在、当社調べ、とか)。
「みんながまだ知らないこと」というのも大事です。重要な案件や製品ほど、温めておいて、発表の時にみんなをあっと言わせましょう。アップルやダイソンがものすごい秘密主義なのは有名ですよね。
#5、”社会性”を打ち出せ!
新規性と同じくらい重要なのが、その発表案件が社会的にどんなインパクトがあるか、ということです。製品やサービスの発表なら、それが人々のどんなニーズに応えたもので、その人々の暮らしをどう良くするのか。製品・サービスの特長は機能(feature)だけでなく、ユーザーベネフィットとセットで。さらに社会的背景やできれば数字(市場規模や政府公表のデータなど)と共に説明するのがベストです。
#6、”客観性”、これ大事。
プレスリリースに限らず、広報には客観性が強く求められます。記者は公平・中立であるという自負があるので、自社の従来製品・サービスや他社との比較、業界・政府の動き、世のトレンドなど踏まえた上でのあなたの立ち位置を知りたいのです。なので、「抜群の性能を誇る」とか「最高のユーザー体験」とか、何の根拠があるの?ということになります。やっぱりデータがあると強いですね。そして宣伝色は極力消しましょう。
#7、写真は必須!
タイトルやリード文と並んで、写真やイメージデータはとても大事です。1枚目に入れましょう。
#8、社長の顔と名前を売り込め!
スタートアップの場合、多くの会社がまだまだ無名だと思います。社名を覚えてもらうのと同じくらい大事なのが、社長の名前と顔を覚えてもらうこと。プレスリリースにも顔写真と名前を入れると良いですよ。名前の漢字が難しい場合はふりがなもふってください。
ちなみにProgateの社長は加藤將倫です。ちなみに私、この漢字がちょっと難しいのでふりがながあった方がいいと思い、入社して2日目で書いたリリースで「まさみち」って書いて役員から即ツッコミきましたよ
広報としてあるまじき失敗。。。正しくは**「まさのり」**です。みなさん、覚えていただけましたか?
####Progateの社長は加藤將倫(かとう まさのり)です。
ほら、ふりがなふったほうがいいでしょう?笑
#9、書きすぎない!
これは、、、!という気合いの入った案件でこの後、取材誘致を狙いたいような案件ほど、欲張らずに端的に書いた方が良いです。あまり書きすぎると記者が聞くことが無くなります(笑)
#10、必殺!”提携”
スタートアップにとって一番メディア掲載につながりやすいのが、提携案件です。理由は単純、一社だけでは社会的インパクトが少ないから。よほどの技術や画期的な製品・サービスでない限り、広告出稿なしで紹介記事を書いてもらえることはあまりありません。でも、例えば大手と業務提携したり、小さな会社同士でもコラボして何か面白い取り組みをすれば、取り上げてもらえる確率が大幅にアップします。
ポイントは、どんなにユルイ協力関係でも”提携”という言葉を使うことです。記者は提携が大好きですので。もっと好きなのがM&Aですが、まぁそれは最後の手ですよね。
また、当然提携先でもPRしますので、単純に広報ルートが増えますよね。
弊社の直近のプレスリリースで最も読まれたのがこちら。
オンラインプログラミング学習サービス「Progate」が三つのベンチャーキャピタルと提携し、スタートアップ企業のエンジニア養成を支援 〜日本のイノベーション創出に貢献〜
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000027.000015015.html
三つのVCのうち一つはもともと弊社に出資いただいているので、今さら提携も何も無いじゃんというツッコミはさておき、三つのVCがそれぞれ撒いてくださったおかげで6156PVが稼げました。PR TIMESさん曰く、PR TIMESでリリース配信を行なっている企業のリリース一本あたりの平均PVは400-450程度だそうですので、悪くない数字かと。
East Venturesさん、Skyland Venturesさん、F Venturesさん、ご協力本当にありがとうございました!
スタートアップは他者の広報と連携することで、とても面白くなりますよね。
以上です。どんなに素晴らしいサービスも、誰にも知られなければ意味がありません。
発信って大事ですよね。
何か面白いネタがあればぜひ広報同士で情報交換させてください。