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GRASS GIS で dem(tiff)データに対して測量を行う(富士山の体積を測ろう!)

Last updated at Posted at 2020-09-01

概要

SENSYN Robotics(センシンロボティクス)の衛です。

この投稿は、GRASS GISを使った測量の方法を説明することを目的とする。

最近、会社では、お客様の要望より、ドローンで撮った写真に基づいてDSM(tif)データを
作成し、地面にある物体の体積を測量するタスクがあった。

手順は大体以下の通り。
1.測量用、ドローンによるエリア撮影を実施
2.オルソ画像、DSM(tif)データ作成
3.DSMデータに対してGRASS GISを使って測量を行う
 *この投稿は3.のみを対象にする。
 *この投稿はターミナルのコマンドを対象にしているが、全てのコマンドは基本、GUIでも同じ目的達成できる。

使ったのはGRASS GISである。
GRASS GISインストールする必要がある。

測量原理

一枚写真からでは、被写体の立体的な表現(情報記録)ができませんが、
ドローンが一定的なオーバラップ率で撮った、同じ地面の場所の複数写真を、
立体視あるいはステレオマッチングの原理使って変換をかけると、その場所の地面高度が含まれたデータが作成できます。そのうちの一つはDSMデータです。

DSMデータには、2d(例:経度と緯度)の各セル(タイル)に、該当場所の高さが保存されている。
(それはGRASS GISのRasterデータに相当する。)

富士山を例としする。下記の図の0がある暗いセルは地面(あるいは海抜0m)としする。1~4のセルは高さが徐々に上昇する富士山の部分を示している。
Screen Shot 2020-06-05 at 16.03.54.png

シンプルに、測りたいエリア(ポリゴン)の高さの平均を算出して、
エリア(ポリゴン)の面積x高さの平均で、測量対象の体積がわかる。

また、各セルの体積が計算でき、それを加算すると全体の体積となる。

斜面においてある物体に対しては、「基準平面」を斜面にそって作れば良い。
また、基準平面を一律同じ高さ(例えばDEMの全体の最低点)を設定するなど、
いろいろ測量のニーズによって、工夫できるが、
今回はGRASS GISの使用方法を説明するため、海抜0mより上の部分を全部体積とカウントする。

GRASS GIS セットアップ

GRASS GISのデータ構造は、location=>mapset=>各種rastervectorデータとなる。それを見るmonitorや各種ツールもある。
基本GRASS GISをダウンロードしたら、インストールしてから開いたら、
ウィザードが開かれる。
Screen Shot 2020-09-01 at 16.47.31.png
「2. Select GRASS Location」では、Newを選んで、下記のように入力。
Screen Shot 2020-09-01 at 16.48.45.png
「Create a generic Cartesian system (xy)」を選んで次々とする。
Screen Shot 2020-09-01 at 16.49.34.png
「Start GRASS session」をクリックする。
Screen Shot 2020-09-01 at 16.52.14.png

GRASS GIS を使った測量の詳細

  • 日本のelevation tifをダウンロードする。
    https://www.gsi.go.jp/kankyochiri/gm_japan_e.html
    ダウンロードしたファイル名:gm-jpn-el_u_1_1.zip
    tifファイル名:el.tif

  • DEM/DSM(TIF)をGRASS GISにインポートする方法:
    単純に、下記でインポートできる。
    r.import input=/Users/d-wei/Downloads/gm-jpn-el_u_1_1/jpn/el11.tif output=japan_el -o --overwrite
    Screen Shot 2020-09-01 at 14.36.14.png

  • DEM/DSM(TIF)から作られた高さ含まれたデータがrasterにあるかどうかを確認:
    g.list raster | grep japan
    Screen Shot 2020-09-01 at 14.47.45.png
    r.info japan_el
    Screen Shot 2020-09-01 at 16.41.43.png

  • ハマったこと:regionの設定
    インポートしたrasterが、今のcalculate region外に存在する場合、そのrasterに対するクエリや計算ができなので、インポートしたrasterに合わせてregionを設定し直す必要がある。
    g.region raster=japan_el

  • モニターを一個起動する:
    d.mon wx0

Screen Shot 2020-06-05 at 17.06.04.png
  • japan_elをモニターに表示する:
    d.rast japan_el
    Screen Shot 2020-09-01 at 14.50.52.png
    表示しない場合、ズームの問題の可能性があるので、monitorの下記ボタンをクリックすること。
    Screen Shot 2020-09-01 at 16.55.04.png

  • 東京湾の高さを確認する:
    r.what map=japan_el coordinates=139.916382,35.561278
    見事に0.
    139.916382| 35.561278||0

  • 富士山の高さを確認する:
    r.what map=japan_el coordinates=138.729172,35.361616
    結果:あれ、低い。。。
    138.729172|35.361616||154
    大丈夫、標高3,776までに補正してあげる。
    r.mapcalc.simple --overwrite expression=A*3776/154 a=japan_el output=japan_el_full
    それから確認すると
    r.what map=japan_el_full coordinates=138.729172,35.361616
    もちろん、正しくなっている。
    138.729172|35.361616||3776

  • 下記ツールを使って、富士山周りを適当にgeojsonとして作る、vectorとしてインポート
    https://geoman.io/geojson-editor
    Screen Shot 2020-09-01 at 14.55.00.png
    ダウンロードしたgeoman.jsonをvectorとしてインポート
    v.import input=/Users/d-wei/Downloads/geoman.json output=mount_fj -o --overwrite
    完了後には確認できる。
    v.info mount_fj
    Screen Shot 2020-09-01 at 16.42.51.png
    説明:一つのポリゴンで囲んだものなので、boundariesが1, areasが1、
      centroidsはバウンダリーの内部か外部かを決める物で、もちろん富士山エリアの内部である。

  • mount_fjをモニターに表示する:
    d.mon wx1
    d.vect mount_fj
    Screen Shot 2020-09-01 at 16.57.14.png

  • 色を変えたり、レイアを重ねて表示させると
    Screen Shot 2020-09-01 at 19.25.14.png

  • maskを作る
    maskを作ると、マスク区域以外の部分は計算しないようになるので、今計算したいvectorであるmount_fjに対してmaskを作る。
    r.mask vector=mount_fj
    GUIを使って見ると、切り取られた様子は下記通り
    Screen Shot 2020-09-01 at 19.55.53.png

  • そのまま海抜から体積を計算する場合:
    r.volume input=japan_el_full
    Screen Shot 2020-09-01 at 19.57.34.png
    最終結果が40.03(この座標系は適当な度数なので)
    もちろん、海抜から上の部分を体積とするケースは、実運用中には少ないのだが、今回はあくまでも例として。

  • 実際測量する場合:
    下記の記事の通りに、経度緯度の座標系から、メーター単位の座標系に変換する必要が最初にある。
    https://qiita.com/ericofjp/items/8800eef383819c96ef53

  • ここからは適当な話
    富士山エリア、1経度1緯度の面積は1m^2ではなく、大体100km100km=10,000,000,000m^2
    なので最終的には40.03*10,000,000,000m^2=400,000,000,000m^2.
    400km^3

検証としては、測量したものが円錐と考えよう。
その半径は、v.info mount_fj表示したProjectionからおおよそ推測すると、
((35.41843-35.31008)/2 + (138.81397 -138.65948)/2)/2 = 0.06571
高さはもちろん3776m
なので体積は3.140.06571^23776/3=17。
170km^3
まあ結果の40.03と同じ桁なので、OKとしよう。

googleで富士山の体積を検索すると、大体そんなもんだと。

国土地理院(https://www.gsi.go.jp/top.html )

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