ゲーム
QA
ソフトウェアテスト


はじめに

はじめまして。某ゲームアプリ会社のQA部署でマネージャをやっている者です。

わたくしはマネージャという仕事をやっているのですが、

「QA部署のマネージャって、いつも忙しそう(or 暇そう)にしてるけど、どんな仕事をしているの?」

「マネージャを目指したいけど、どんなことを意識したら良いの?」

そういった声を、ちょくちょく耳にするので、当エントリでは、QAマネージャのお仕事を「内政」と「外交」というキーワードを使って、お話してみようと思います。

※マネージャの仕事は現場によって千差万別なので、あくまでイチマネージャのお仕事として、ご認識いただければと!


内政

マネージャはチームの責任者として、チームのパフォーマンスを最大限に高めることが求められます。

人が集まっただけでは、単なる「グループ」でしかありません。集団の強みを発揮するには「チーム」としてまとめ上げる必要がありますが、そのために必要なことが「内政」になります。具体的には、下記のようなお仕事があります。


  • チームポリシーの作成

  • 育成

  • 評価

  • スタッフとのコミュニケーション

  • 採用

  • 作業環境の整備

  • 勤怠管理


チームポリシーの作成

ポリシーは「どういうチームにしたいのか」を表現したもので、なるべく短くわかりやすいものが良いでしょう。ポリシーのないチームもそれなりにありますが(なくてもなんとかなるので)、チームの規模が大きくなったら、作っておいたほうが良いと感じています。

ポリシーとは、たとえばスポーツの世界だと、「RUN&GUN!」だとか「機動力破壊」だとか「巨人軍は紳士たれ」だとか、そういったものです。そのようなポリシーがあるだけで、チーム運営にピンと一本の筋が通り、様々なコミュニケーションが取りやすくなりますし(「スキルは高いけど、業務態度がいまいち…」、という人にも指導がしやすくなる)、評価や採用の基準にも使えます。


育成、評価、スタッフとのコミュニケーション

この3つは連動していて、評価のときは、点数やABC付けるだけでなく、「あなたは、次、どうするべきか」というフィードバックをセットにして、育成につなげると良いでしょう。

また、スタッフとのコミュニケーションに関しては、評価時だけでなく、定期的に実施するのをおすすめします。

理想は1on1です。業務の進捗状況だけでなく、スタッフ自身の悩みや志向、また現場の課題などを吸い上げることができます。


採用

採用はマネージャの大事な仕事のひとつです。チームの命運を握る業務と言っても過言ではないかもしれません。自分自身の面接のスキルを高めることも大事なのですが、ネットワークを広げて、応募者の人となりを第三者から集められるようにしておくことも大切です。


作業環境の整備

作業環境の整備とは、スタッフが仕事に集中できるように、PCやツールや端末などを手配したりすることです。お金を扱えるのはマネージャだけだったりするので、この仕事は換えがききません。地味ですがきっちりやりましょう。


勤怠管理

遅刻が多い人を罰する風紀委員的な意味合いもありますが、病欠の回数や残業時間を把握して、スタッフの健康状態に影響がないかどうかもチェックします。


「内政」のまとめ

内政スキルを向上させるためには、ソフトウェアテストのスキルというよりは、より一般的なビジネススキルやヒューマンスキルが必要になるでしょう。そのためには、いわゆるビジネス書の類を読むと良いと思います。

個人的には、アスリートやスポーツチームのコーチが書いた本を読むのをおすすめしています。セルフマネジメントやチームマネジメントの参考になることが多いです。また、一般的なビジネス書よりは読みやすく、共感しやすいというのもポイントです。


外交

内政を頑張っても、残念ながらチームのパフォーマンスはいずれ上限を迎えます(マンネリ化する、と言い換えてもいいかもしれません)。常にチームを向上させていくために、マネージャは外交をおこない、外部からの刺激を持ち込む必要があります。

具体的には以下のようなお仕事があります。


  • 関連部署とのコミュニケーション

  • テストベンダーとの交流

  • 他社のQA部署との交流

  • PR活動

  • セミナー参加


関連部署とのコミュニケーション

企画や開発やカスタマーサポートといった、QAと業務上関わりのある部署と、定期的に腹を割って話し合いましょう、ということです。できれば、相手方のマネージャクラスやリーダクラスと少人数でやるのが良いでしょう。相手部署に改善して欲しいことを伝えたり(ただし、礼儀正しく冷静に…)、感謝の気持ちを伝えることで、業務の効率化や関係性の向上に繋がります。また、自チームの足りないところや、企画や開発が真にQAに望むことなどを吸い上げることもでき、自チームの改善のきっかけにもなります。

また、副産物としては、スタッフの異動を推進する効果もあります(「実は、○○さんが、企画(or QA)に興味があるみたいなんですが、ポジションあります?」みたいな)。


テストベンダーとの交流

これもマネージャの大切な仕事です。我々のような、パブリッシャー側のQA部署は、テストベンダー(第三者検証専門会社)の協力なくしてはQA業務が成り立たないところがほとんどです。そのため、付き合いのある会社とは、有効的な関係を保てるようなコミュニケーションを心がけつつ、駄目なときはしっかりダメ出しできる関係性を保ちましょう。

そして、特定のベンダーとだけ付き合うのではなく、新規のベンダーを開拓することも忘れてはいけません。特定のベンダーだけを利用していると、そのうちベンダー側が業務のイニシアティブを取ることになり、コントロールが効かなくることもあります。新規のベンダーを開拓しておくことで、すでに付き合いのあるベンダーには「手を抜いたら、次はないかもしれないぞ」という(いい意味での)緊張感を出すことができます。


他社のQA部署との交流

QAは専門書やWeb上の記事が少ないため(特にゲームQAはほとんど無い)、他社の事例がとても参考になります。セミナー等に参加して名刺交換したら、その場での立ち話でも良いのですが、できれば別日にアポをとって情報交換するとよいでしょう。他社のQA部がどんな体制で、どんなベンダーを使い、どんなデバッグツールを使っているのかを聞くことは、自チームを改善する良いキッカケとなります。


PR活動

イベントで登壇したり、ネット記事を書いたり、会社の採用ページにインタビュー記事を載せたり、といったようなことです。不特定多数の人にアピールすることで、採用活動に良い影響があるかもしれません。


セミナー参加

ゲームQAに関連するところだと、有名なところではJasstやCEDECがありますし、大手インターネット企業が有志で実施しているイベントもあります。最初は興味のあるものを見ればいいと思いますが、ある程度なれてきたら、あえて興味が沸かないテーマやジャンルを見ることもおすすめです。経験上、専門領域のセミナーからは即効性のあるノウハウが得られやすく、専門領域外のセミナーからは、新たな着想や発見が得られやすいです。


「外交」のまとめ

これらの外交業務は、ビジネスマナーだけでなく、行動力や発信力やといったことが必要になるので、身もふたもないですが、個人の素養が大きなウェイトを占めてる気がします。外交タイプの人が居たら、優先的に外交業務をやってもらうのが良いかもしれません。


おわりに

内政と外交をキーワードにマネージャの仕事をお話してみましたが、今回挙げたお仕事のほとんどは、実はマネージャという肩書がなくても可能です。テスト作業者やテスト管理者をしていると、なかなか自由な時間が取れないかもしれませんが、隙間を見つけて、内政や外交の業務に手を出してみてはいかがでしょうか。

マネージャというお仕事は、大変な面もたくさんあるのですが、最大の魅力は、その自由さにあります。「チームのパフォーマンスを上げるためには、何をやってもいいよ」と言われて、ワクワクする人はマネージャに向いてると思います。