ディープラーニングG検定2022#3に合格したのでその学習方法などをまとめてみる
受験のきっかけ
会社の定期面談で上司に受験を勧められたのがきっかけ。
私自身は普段は金融系のSIerでアプリケーションエンジニア兼PMとして働いていて、
これまでとくに機械学習に触れる機会もなかったので前提知識ゼロからのスタートになった。
ただ専門外とはいえエンジニアなのにジェネラリスト向けの試験に落ちるわけにもいかず、
絶対に不合格にならないようオーバーキル気味に攻略できる程度に頑張ることにした。
想定読者
ある程度余裕を持って合格したい人向け。
最低限の努力で効率よく合格したい人向けの記事ではないので注意願いたい。
大学1年生で習う程度の線形代数・微分積分・統計学を理解しているのが望ましい。
着手時点
合格体験記を読み漁る。
(私が資格試験を受ける時は初動として最重要視しているプロセス)
合格者がどのような教材をどのような位置付けで使って、
どの程度の時間をかけて勉強した結果合格したのかを把握するのが目的。
前提知識がなければ40時間ぐらいが標準らしい。
1日1時間ペースで学習するとして、1ヶ月半ぐらいでひとまず合格水準に達しそうなものの、
確実に合格することを目指すならもう少し継続する必要があるかなと捉える。
学習プロセス
実際に学習した順で時系列に記載していく。
猪狩他(2021). ディープラーニングG検定公式テキスト第2版 翔泳社
いわずと知れた公式テキスト(白本)。
まずはどこに何が書いてあるか把握する程度のレベルでひたすら読み流していく。
学習の初期段階ではあくまでも試験範囲を把握することに徹してここに時間はかけない。
後で他の問題集を解きながらこの本に戻ってきて解説を読むことを繰り返した。
スマートフォンアプリ
「G検定対策アプリ」Skillup AI
通勤時間やお昼休みなどの隙間時間を有効活用できないかと
あまり期待せずインストールしたアプリだったが、これが非常に有用だった。
赤本・黒本よりもさらに一歩踏み込んだマニアックな用語まで出題範囲に含まれており、
G検定で出題される用語をこのスマホアプリ一本でかなり網羅できたと思う。
惜しい点は1問1問の解説がなんとも簡素なこと。
初見では解説を読んでも理解しきれない問題もあってGoogle先生に聞きつつ補完した。
学習したポイントポイントがいまひとつ自分の中で体系化しきれない感触が残ったが、
後述の赤本、黒本、その他書籍を読むことで体系化できた。
...とはいえ特性を理解して使えば良いアプリには違いなく、
私自身も何周解いたかわからないほどやり込んだ。
問題と答えを完全に覚えてしまって過学習になってきた時点でこのアプリでの学習をやめた。
高橋・落合(2020). ディープラーニングG検定問題集 技術評論者
茶本または赤本として有名な問題集。
黒本とどちらを優先するか迷ったが、黒本の制作元が「G検定対策アプリ」と一緒だったので、
制作元にバリエーションを持たせた方が過学習にならずに済むかと思い茶本を選択した。
(結局後で黒本も買った)
ざっと2周、「ディープラーニングの手法」だけは3,4周解いた。
問題文も含めて説明が丁寧でわかりやすい。
「G検定対策アプリ」で得た点と点の知識を線に繋げていくうえで役立った。
惜しむらくはすでに第2版が出回っていたことに気づかず第1版を買ってしまっていたこと。
私は受験の前日にこの事実に気づいて愕然とした。
(もちろんこれは私のミスである)
しかし知識の体系化という意味では大いに役立ったし「G検定対策アプリ」1本では
網羅できていなかった用語なども学習できたので特に後悔はしていない。
梅田(2019). エンジニアなら知っておきたいAIのキホン インプレス
白本を通読した時点ではいまひとつ腑に落ちない点が多すぎる感覚が残っていたので、AIの知識領域の全体像をすっきりと見通せるようになりたいと思い購読してみた。
期待通りの本だったかと思う。
ちらほらと「麻里ちゃんのAI奮闘記」という寸劇が埋め込まれていて、
主人公が順当に麻里ちゃんに嫌われていく様子が地味に面白い。
明松・田原(2021). 徹底攻略ディープラーニングG検定問題集 第2版 インプレス
言わずと知れた黒本。
問題集としては茶本を一旦優先する判断をしたものの、試験対策期間の終盤で結局黒本も買った。
これも説明が丁寧でわかりやすい良書。
「G検定対策アプリ」で得た点の知識を線にしていくうえで役立った。
ざっと1周だけ解いておしまい。
総仕上げ問題を解いてみたところ、初見での正答率が85%ぐらいだった。
一応は合格水準には達しているのかなとは思いつつも、
「黒本の総仕上げ問題よりも本試験の方が難易度が高くて玉砕した」といった声も
多々漏れ聞こえていて、まだ油断できる段階ではないと考える。
Study AIの模擬試験
前述の通り黒本の総仕上げ問題のスコアでは安心しきれないかと思い、
自分が本当に合格水準に達しているのか実力を測定したくなって受験してみた。
・旧シラバスβ版
初見で85%ぐらいの正答率
・新シラバスα版
初見で70%ぐらいの正答率
合格体験記を読んでみると初見で模擬試験を30%ぐらいしか解けなかったと言っていた人も
普通に合格しているようだったので、これでまあ私は大丈夫かなという見通しを持てた。
チートシート
G検定は持ち込みOKの試験なので作らない手はない。
「G検定対策アプリ」、赤本、黒本、模擬試験に登場してきた用語をひたすらメモしていった。
(今なんとなくWordに貼り付けてみたら45ページ分になっていた。
結構書いたな...)
私はテキストエディタのatomを使ったがCommand+Fなどで検索できれば何でも良いと思う。
図や数式を埋め込めた方が良かったかなと後から思ったがまあいいやと書き進めた。
試験当日
12:50を回って試験を開始できるようになったので開始した。
全191問で制限時間は120分。
事前に各種模擬試験を解いた感触では、だいたい制限時間の半分で一応最後まで解ききれたので、
それを踏まえて、本試験1周目は極力チートシートは見ずにほぼ即答レベルで全191問を何かの形で埋め、
2周目で見直したい問題を解き直し、さらに余った時間でできるところまで先頭から解き直す作戦をとることにした。
見直したい問題は計算もの、ゆっくり考えたいもの、調べたいものの3つに分類しながら
手元のメモ(紙媒体)に問題番号を控えていった。
1周目
蓋を開けてみると拍子抜けするほど簡単な問題が多く安堵。
昔は「適切でない選択肢を選べ」などの文は特に問題文の中で強調されておらず、
問題文を慎重に読んでいく必要があったらしいが、運営側が改善してくださっていたようで
「適切でない...」系は太字で強調されていた。
本質的に重要でないことに集中力を割かなくてよいので助かる。
おおむね即答しながら34問を見直し対象に回しつつ、191問を埋めきった時点で残り50分ぐらい。
ちなみに、受験用の画面の最上段に結構大きな字で受験料の金額が常時表示されていた。
要るのか、この仕様...?
2周目
見直したい34問をゆっくり計算したり調べたり考えたりしながら解き直した。
2周目を終えた時点で残り15分ぐらい。
3周目
先頭からざっと見直しをかけていく。
最初の40問ぐらい見直した時点でタイムアップ。
合格発表
JDLAからの公式アナウンスによる合格発表期間は11/21〜11/25で、
私の場合は11/21の10時すぎぐらいに合否がメール通知されてきた。
おわりに
学習を始めるまで正直なところAIに関してはそれほど関心が高かったわけではなかったが
G検定を通してAIへの知見が増えるにつれてだんだんと面白みを感じるようになった。
何事も食わず嫌いは良くないなという感想を得る(小並感)。
総じて受験してみて良かったと思う。