ITPの歴史について
2017年9月頃から開始したAppleが唱える「ITP」
これまでブラウザを利用した広告(トラッキング)業界と熾烈の争いが繰り広げられてきました。
歴史については「別記事まとめております」ので興味がある方はどうぞ。
「ITP2.3」と「CNAME対策」
すみません。ほんの少しだけ話を戻させてください。
ITP2.3の対策において広告業界のエンジニアは素晴らしい対策を打ち出しました。
それが**「DNSのCNAMEレコードを利用したCNAME計測方式」**です。
計測を行いたいサイトのドメインとトラッキングシステムのドメインとを紐づける手法です。
それにより継続して 1st Party Cookie を利用した計測が行えるという素晴らしい知恵です。😄👈
しかし、これには少し難点があります。
計測を行いたいサイトが保持するドメインに対してCNAME設定を行うという事は**「計測サイトのドメインの管理者にCNAME設定をお願いしなければいけない」**というポイントです。例えば以下のようなパターンの時が難点かと思われます。
- そもそもDNS設定を変えたくない。
- サイトのソースコードは修正できるが、DNS設定の変更とかはちょっとわからない。
このように「CNAME対策」は少し難点がありそうです。
しかし、一度設定してしまえば、しっかりと計測が行えるという安心感が素晴らしく数多くのトラッキング企業が提供しております。
CNAME対策提供企業の一部紹介
- CNAMEを利用したトラッキング方式のご提供 | AD EBiS
- ITP2.3に対するKARTEの対応や影響について | KARTE
- DNS-TrackingGuide-latest-ja | A8.net EC
- データ収集 CNAME およびクロスドメイントラッキング | Adobe
そして(iOS14.2)リリースがやってきた。
素晴らしいと感激していた上記のCNAME対策も思いのほか早く次のリリースにてターゲットとされてしまいました。実質的には計測できなくなるわけではなく「Cookieの有効期限が7日間に制限される」という結果です。
世はまさに「トラッキング企業とAppleのいたちごっこ時代」
どうなる
筆者もこのいたちごっこ戦争は大好きでしたので毎日のようにTwitterを眺めながら、日本問わず世界のアドテク業界の手法に目を凝らしておりました。そしてやってくれました。やっぱり広告業界を引っ張るあの企業が提供してくれました。
出ました新対策!その名も「NS方式」
日本の計測(広告)業界を牽引する「アドエビス様」がやってくれました。
**「NS方式」**という名前です。NS...2文字でかなりシンプルな対策名ですね!
前回はCNAME...今回はNS...
そうです!ネームサーバーなんです!
すごい。なるほど。なんかもうここまでやるか!?すごいです!もうお分かりですね。計測サイトのドメインの一部をトラッキングシステム企業に委任・委譲するのです!🎉🎉🎉🎉🎉
*「信頼しているからこのサブドメインの権限をあ〜げるっ!🎁」*これにより、CNAME対策の「サイトドメインと計測ドメインが一致しない」という問題とか関係なく、広告会社が計測サイトのドメイン管理者※1になれる!というわけです。
※1計測する用ののサブドメインの切ってもらいそのサブドメインのNSレコードを委譲してもらう仕組み
もちろん懸念点も
本記事のCNAME対策でも触れましたが、「計測サイトのドメインの管理者にDNS設定を変更してもらう」という点は引き続き変わりません。それに加えて今回はNSレコードの委譲・委任となりますからトラッキングシステム企業に絶大なる信頼を置いた上で設定を行うことになるのではないかと思われます。もちろん「さすがにNSレコードの変更はできません」というような話がでても全く変ではありません。
このあたりの懸念点についてはさすがにポリシーを設けないとマズイのではないか?と思っていたところやっぱり説明ページ下部にありました。
そうですよね。DNSの委譲ですから権限を貰った側はなんでもできちゃいますからね...
総括
さてとうとうここまで来たか感がありますが、引き続き今後もこの戦いを注視しながら見守っていきたいと思います。しかしもうこの今回のNS手法をAppleが制限するのは難しいかと思われます。だってDNSの委譲ですもん。笑
だが、Cookieを利用した計測自体がもう隅に追いやられているような状態ですのでどうなるかはわかりません。
もちろん業界においてはCookieを利用しない計測方法についても議論されているはずですので、こういった熾烈な争いなどせずに爽やかな計測が行えることが一番かなと思っております。
最後に一言「NSレコード方式」おったまげた〜。