こんにちは、株式会社i-plug CTOの青木です。
i-plug Advent Calendar 2019 の【25日目】の記事です
兵庫で、妻と息子と犬二匹で暮らしてます。
ベンチャー企業 i-plug のCTOとして、役職を持って働いていますが、今回は<ひとりのエンジニアから始まり、挫折を経験し、ここに至るまでのお話>を書こうと思います。
天狗と挫折の過去
20代の頃。いちエンジニアとして働いていた私ですが、当時の上司が全面的に任せてくれて、好き勝手やらせてもらっていました。
周りのメンバーの事は考えず、作りたいものを作り、怒られたことはない。エンジニアとしての技術と自信を前に、当時は見えていないことがあったんだと思います。
それだけに、人並み以上の挫折も経験しました。i-plugに入る1年半ほど前のことです。アメリカで起業を試みたり、帰国しベンチャーで働いてみたのですが、思うようにいきませんでした。
自分なりにもがき苦しんだ挙句、決めたことがあります。
i-plug入社〜 変わりたくても変われない
2015年、まだ立ち上がって間もないi-plugに入社します。
創業メンバーの実現したい世界に共感し、技術的な側面から支えたいと思いました。
それまでのテクノロジーオリエンテッドの考えから、自分に蓄積された技術力でサービスに寄与できるのでないかと思うようになりました。
ただ直前に2つ大きな挫折もあったことから入社から1ヶ月は守ろうと決めたことがありました。
- 人の名前には必ず「さん」をつける ハタチの人でもつける
- 会社の方針に従う まずは従ってみる
とりあえず下手でもやれることは全部やりました。
LPのデザイン、マークアップ、フォーム、CV計測、機能開発、インフラ整備、ルーター修理、採用等など、20人目のメンバーである自分が一番できるであろうと事はとりあえずやってみるの精神でした。
徐々に社員が増えるに従って、開発に集中できる事がある一方で心が穏やかでない時が増えてきました。
何故でしょうか。自分ができてるのに人ができないことにイラついていたのです。変わりたい。変わろうとしても、その視点に叶わないことは認めない。少しずつ以前の片鱗が出てしまったのです。
部長就任〜 人を信じ抜く事を教わる
事業も成長し、OfferBoxを開発するサービス開発部の部長となりました。当時、パフォーマンスが上がらないメンバーについての相談を経営メンバーに相談した事があります。
だけど、同調してくれると思った社長や当時のCTOは同調してくれなかった。「社員を疑ったら終わりだよ」「信じ抜こうよ」と。
しばらくしても状況は変わらず。モヤモヤを抱えながら、幹部の言葉に反芻します。「社員を疑ったら終わり」「信じ抜こう」
すると、しばらくし環境を少し変えたそのメンバーは大活躍しはじめたんですね。当時ユーザー急増によりサーバーの負荷も大きくなりSREチームの組成を考えてた時でした。そのSREチームの要としてサービスの成長を後ろ側から支えてくれたのです。
会社としては、最後まで彼を信じ抜いた。
数年後彼は転職しましたが、彼は最大手のインフラベンダーに行ったんです。誇りに思うとともに、信じぬくことの意味を考えさせられました。
会社としては痛手でしたが、本人のキャリアやi-plug卒業生としては最高の結果になったのかと思います。
2年後〜現在 経営とエンジニアリング
i-plugは “やってみなはれの精神” を大切にしています。成長した現在も数多あるベンチャー企業と同じく、成功を見据えたたくさんの試行が必要だと考えています。
当然ながら試行にはリソース(人的、資金的)が必要です。やりたいこととできることの間で右往左往しながら仕事をしてきました。ところで、皆さんの会社のお金は、誰が管理していますか?社内エンジニアだと、なかなか感覚として掴みづらいかもしれません。
創業から7期目、私が入社して2年が経ったときでも、プロダクトの開発も試行錯誤の連続、ユーザー数、ユーザーからの要望、メディアへの露出も急増。比例して出ていく資金も大きく、開発においてもリファクタリングなぞもってのほか、技術的負債の返済は後回しでした。
経営者をはじめ、技術者と非技術者では話す言葉や文化、大切にしている価値観が違い、技術的な必要性やフィジビリティ、優先度、その影響を伝えることは難しいものです。合理的な説明だけで腑に落ちることはありません。
営業の業務経験がない若いエンジニアが、売上や折衝について理解することは難しい。自分も若い頃そうだったと思います。全然理解できてなかった。 この状況を若かった頃の自分に言い伝えるにはどうしたらいいかを考えながら伝えるように心がけています。
同じように技術的な課題や開発のロードマップを非エンジニアでも理解できるように経営メンバーや社内に伝えていくのも私の大事な役割ですね。
犬と散歩して変われた?
これまでの経験から、理想と現実を捉えながら、働き方や働く環境について考えてきました。
エンジニアを中心にするような目的では考えておらず、最近のDXという流れにはあまり興味を持っていません。職種によって強弱を付けるのでは意味がなく、どのように組織全体で戦略的に成果を出していけるか。 それには経営的な視点も大切ですが、一人ひとりを信じて事業にどう結びつけていくかを、個人と向き合い考え続ける必要があります。
このような考えを持ったのは、実は仕事とは直接関係なく、犬を飼ったことがきっかけだったかもしれません。
犬の散歩っていいんですよ。あの時間だけは一人になれて、パソコンを触らずにいられる。いつもルートは決まっていて、ただ歩くだけですが、そこでいろいろな思考を巡らせています。
スキルにはない視点の変化を確かめたのは適性検査でした。i-plugのグループ会社イー・ファルコンが適性検査を提供していて、人間との関わりについて8タイプの動物で診断されるんですが、この結果にも顕著に表れました。
もともと私は所謂オタクやエンジニアに多い “モグラ”タイプ でした。そこから “羊”タイプ に変わったんですね。“羊”には協調性があるようです。エンジニア→開発部長→CTOというポジションの変化が影響したのかもしれません。
ただ、今もコードを書くのは大好きです。今年前半に書くことも多かったので、測ってみたら、また“モグラ”タイプに戻り始めたみたい。どちらが、ということではなく、CTOとして、エンジニアとして、どちらの強みも大切にしたいですね。
多様なメンバーと一緒に作る
i-plugのメンバーも診断していて、自分のタイプを知ることができます。弊社のアプリケーションエンジニアはアジャイル開発のプロセスで切磋琢磨しているのですが、サルや羊が多い傾向で、コラボレーションや献身性のような強みが育まれていると感じます。
ただ先の通り、エンジニア以外に、経営者の視点もあれば営業の視点もある。さらに多くの視点で事業を考えたとき、偏った人物像が集まっても、かえって過去の失敗のような経験につながってしまうかもしれません。同じエンジニアの中でも、前述したメンバーのようなタイプが活躍できるSREチームもあり、全く違った強みを持った方々が働いています。
どんな仲間と働きたいか?と聞かれたら、こんな人がいいです。
- 献身性のある人
- スクラムを組んで、チームで何かを作っていける人
- 技術的が好きで突き詰めて責任をもって作っていける人
細かな要件をみたときに矛盾してるかもしれませんが、それでもいいんです。タイプによって最適な活躍の場をつくっていきたい。強みが活かせる場があるなら、モクモクコードを書くタイプだろうとぜんぜんOK!成長するチームにとって、事業に共感してその強みを活かせる。そして、組織ととも成長できる貴重な戦力を求めています。
私たちチームや組織が成長するために
今年はサービス開発部でアドベントカレンダーを実施してみました。普段から積極的にアウトプットしておらず、「よし、やろうぜ!」とはならない。でも、今回は違う。有志で「やろう!」と言えば、それにまた有志が乗っかってきた。そして、実際にやり続けられた。 過去にもいろいろ取り組んでみましたが続かなかったんです。これはすごい成長です。
エンジニアにしても何にしても、アウトプットして伝えあうことで身につくんですよね。まず、アウトプットする=膨大なインプットと言語化が必要になります。本人に自覚はなくても、何かしら得るものがあったんじゃないかと思います。
こんな機会を大切に、この先も続くようなおもしろいアイデアを考えてもらいたいですね。そんな取り組みが、結果的に、チームや組織の成長、新しい仲間との出会いにつながればいいな、と考えています。