#1. 命題
実数列$\{a_n \}$の極限が$\lim_{n \to \infty} a_n=\alpha$、かつ、$\alpha \neq 0$ならば、
\begin{align}
\lim_{n \to \infty} \frac{1}{a_n}= \frac{1}{\alpha}
\end{align}
である。
#2. 証明
仮定と補題1により、以下が成り立つ。
\begin{align}
\lim_{n \to \infty} \frac{a_n}{\alpha} &= \frac{\alpha}{\alpha}\\
\lim_{n \to \infty} A_n &= 1\\
\end{align}
ただし、$A_n = a_n/\alpha$としている。
ここで、$x_n = A_n - 1$とおくと、$\{x_n\}$の極限は0となる。よって以下が成り立つ。
{}^\exists N \in \mathbb{N}, {}^\forall n > N, |x_n| < 1/2
ここで、$y_n = 1/(1+x_n)$とおく。すると以下の関係があることがわかる。
|x_n| < 1/2 \Leftrightarrow 3/2< y_n <2
したがって、$\{y_n\}$は有界である。
また、以下の関係があることがもわかる。
\begin{align}
1/a_n - 1/\alpha &= 1/(\alpha(x_n + 1)) + 1/\alpha\\
&= -x_n/(\alpha(1+x_n))\\
&= -x_ny_n/\alpha
\end{align}
$\{x_n\}$の極限が0であり、$\{y_n\}$が有界であるので、補題2より以下が成り立つ。
\begin{align}
\lim_{n \to \infty} x_n y_n= 0
\end{align}
このことと補題1により$\{-x_ny_n/\alpha\}$の極限は0である。すなわち、$\{1/a_n - 1/\alpha\}$の極限が0ということである。これより、命題は真である。$\Box$
#補題1
$c$を定数とする。このとき、実数列$\{a_n \}$の極限が$\lim_{n \to \infty} a_n=\alpha$ならば、
\begin{align}
\lim_{n \to \infty} ca_n = c\alpha
\end{align}
である。
####証明
仮定より、以下が成り立つ。
{}^\forall \epsilon > 0, {}^\exists N \in \mathbb{N}, {}^\forall n > N, |a_n - \alpha| < \epsilon
したがって、$\epsilon/(|c|+1) > 0$について以下が成り立つ。
{}^\exists N \in \mathbb{N}, {}^\forall n > N, |a_n - \alpha| < \epsilon/(|c|+1)
これが成り立つので、以下のような関係があることがわかる。
|ca_n - c\alpha| = |c| |a_n - \alpha| < |c|\epsilon/(|c|+1) < \epsilon
これより、補題1は示された。$\Box$
#補題2
実数列$\{a_n \}$の極限が$\lim_{n \to \infty} a_n=0$であり、$\{b_n\}が有界ならば、
\begin{align}
\lim_{n \to \infty} a_n b_n = 0
\end{align}
である。
####証明
$\{b_n\}$が有界なので、以下が成り立つ。
{}^\exists M \in \mathbb{R}, {}^\forall n \in \mathbb{N}, |b_n| \leq M
これより、以下の関係あることがわかる。
|a_n b_n| = |a_n||b_n| \leq M|a_n|
このことと補題1より、$\{M|a_n|\}$の極限は0である。この事実と補題3より、$\{a_n b_n\}$の極限は0である。これより、補題2は真である。$\Box$
#補題3
実数列を$\{a_n \}, \{b_n \}$とし、${}^\forall n \in \mathbb{N}, |a_n| \leq b_n$であり、$\lim_{n \to \infty} b_n=0$であれば、$\lim_{n \to \infty} a_n=0$である。
####証明
下記URLの補題5の証明を参照。
https://qiita.com/elephant_raion/items/2c0630e5f42264015620