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単射であることと同値な命題

例題 1.1.5

$f: A \to B$を写像とするとき、次の(1)、(2)が同値であることを証明せよ。
(1) $f$は単射である。
(2) 任意の部分集合$S\subset A$に対し、$f^{-1}(f(S)) = S$である。

証明

次の2命題が成り立つとき、(1)と(2)は同値である。

  • (1) $\Rightarrow$ (2)
  • (2) $\Rightarrow$ (1)

(1)⇒(2)を示す。

次の2命題が成り立つとき、(2)も成り立つ。

  • $\forall S \subset A, \; S \subset f^{-1}(f(S))$ ・・・ ①
  • $\forall S \subset A, \; f^{-1}(f(S)) \subset S$ ・・・ ②

①が成り立つことを示す。

$A$の任意の部分集合を$S$とする。
このとき、$S$の像は$f(S) = \{f(a) \mid a \in S\}$となる。
また、$f(S)$の逆像は$f^{-1}(f(S)) = \{ a \in A \mid f(a) \in f(S)\}$である。
$f(S)$の定義より、$f^{-1}(f(S))$は$S$の元$a$を含む。
したがって、次が成り立つ。つまり、①が成り立つ。

 a \in S \Rightarrow a \in f^{-1}(f(S))

②が成り立つことを示す。

$A$の任意の部分集合を$S$とする。
逆像$f^{-1}(f(S))$の元を$a$とすると、$f^{-1}(f(S))$の定義より、$a$の像$f(a)$は像$f(S)$に属する。すなわち、次が成り立つ。

 a \in f^{-1}(f(S)) \Rightarrow f(a) \in f(S)

f(S)の定義より、$f(a) = f(a')$となる元$a'$が$S$に属する。
(1)より$f$は単射なので、$a=a'$である。したがって、$a \in S$である。
すなわち、次が成り立つ。つまり、②が成り立つ。

 a \in f^{-1}(f(S)) \Rightarrow a \in S

①、②が成り立つため、(1)⇒(2)も成り立つ。

(2)⇒(1)を示す。

$A$の2元を$a,a'$とし、$f(a)=f(a')$が成り立つとする。
集合$\{a\}, \{a'\}$を(2)の$S$としてみれば、次が成り立つ。

f^{-1}(f(\{a\})) = \{a\}, \; f^{-1}(f(\{a'\})) = \{a'\}

$f(a) = f(a')$より、$f(\{a\})= \{ f(a) \} = \{f(a')\} = f(\{a'\})$である。
したがって、$f^{-1}(f(\{a\})) = \{a\} = \{a'\}$である。
すなわち、$a=a'$である。
以上より、次が成り立つ。

f(a) = f(a') \Rightarrow a = a'

つまり、(2)⇒(1)が成り立つ。

(1)⇒(2)、(2)⇒(1)が成り立つため、(1)と(2)は同値である。

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