代入演算子は*thisへの参照を戻すようにしよう - Effective C++ 第3版 10項-

　はじめに

Effective C++ 第3版の10項 48ページから勉強していきます。
今回は、「代入演算子は*thisへの参照を戻すようにしよう」についです。

Effective C++ 第3版 - 10項　代入演算子は*thisへの参照を戻すようにしよう -

前置き

今回は、「自分で作成したクラスにコピー代入演算子を実装する場合のルール」について学んでいきます。

今回の勉強

コピー代入演算子

コピー代入演算子は、以下のようにつなげて使用することができます。

int x, y, z;
x = y = z = 15; // 代入をつなげる

コピー代入演算子は、右結合である。
　→右から左へ結合していく
そのため、上のような連続代入は、以下のように解釈されます。
まず、15がzに代入され、
次に、その結果(更新されたz)がyに代入され、
最後に、その結果（更新されたy)がxに代入される。

x = (y = (z = 15));

これは、コピー代入演算子が「左辺への参照」を戻すことで実現されています。

自分で作成したクラスにコピー代入演算子を実装する場合は、以下のようになります。

class Widget {
 public:
  /* コンストラクタ */
  Widget(int x, int y) : x_(x), y_(y) {}

  /* コピー代入演算子 */
  Widget& operator=(const Widget& rhs) { // 戻り値の方は、自身のクラスの参照型
    x_ = rhs.x_;
    y_ = rhs.y_;
    return *this; // 左辺への参照を返す(自分自身を返す)
  }

  int getX() { return x_; }
  int getY() { return y_; }

 private:
  int x_;
  int y_;
};

また、通常の代入(=)に限らず、全ての代入演算子(+=, -= など)に上のように書く必要があります。
また、仮引数の型が違っても、同様に *this を返す必要があります。

class Widget {
 public:
  ...

  Widget& operator+=(const Widget& rhs) { // +=, -=, *= でも*thisを返す。
    std::cout << __func__ << std::endl;
    x_ += rhs.x_;
    y_ += rhs.y_;
    return *this;
  }
  
  /* 引数がint型 */
  Widget& operator*=(int rhs) { // 引数の型が違う場合でも *thisを返す。
    std::cout << __func__ << std::endl;
    x_ *= rhs;
    y_ *= rhs;
    return *this;
  }

 private:
  ...

};

これらのように、「コピー代入演算子は、*thisへの参照を戻す」というのは、
すべての組み込み型とすべての標準ライブラリの型(string, vector, など）が従っているそうです。

サンプルコード

以下に、勉強で使用したコードを示します。

# include <iostream>

class Widget {
 public:
  Widget(int x = 0, int y = 0) : x_(x), y_(y) {}
  Widget& operator=(const Widget& rhs) {
    std::cout << __func__ << std::endl;
    x_ = rhs.x_;
    y_ = rhs.y_;
    return *this;
  }
  Widget& operator+=(const Widget& rhs) {
    std::cout << __func__ << std::endl;
    x_ += rhs.x_;
    y_ += rhs.y_;
    return *this;
  }

  Widget& operator*=(int rhs) {
    std::cout << __func__ << std::endl;
    x_ *= rhs;
    y_ *= rhs;
    return *this;
  }

  int getX() { return x_; }
  int getY() { return y_; }

 private:
  int x_;
  int y_;
};

int main() {
  std::cout << "10_first.cpp" << std::endl;
  int x, y, z;
  x = y = z = 15;

  Widget b;
  b = Widget(1, 1);
  std::cout << "\noperator= Widget(1, 1)" << std::endl;
  std::cout << "b.x : " << b.getX() << std::endl;
  std::cout << "b.y : " << b.getY() << std::endl;

  b += Widget(2, 2);
  std::cout << "\noperator+= Widget(2, 2)" << std::endl;
  std::cout << "b.x : " << b.getX() << std::endl;
  std::cout << "b.y : " << b.getY() << std::endl;

  b *= 4;
  std::cout << "\noperator*= 4" << std::endl;
  std::cout << "b.x : " << b.getX() << std::endl;
  std::cout << "b.y : " << b.getY() << std::endl;
}

実行結果

実行結果

10_qiita.cpp

operator= Widget(1, 1)
b.x : 1
b.y : 1

operator+= Widget(2, 2)
b.x : 3
b.y : 3

operator*= 4
b.x : 12
b.y : 12

まとめ

今回は、自分で作成したクラスにコピー代入演算子を実装する場合のルールについて学びました。

覚えておくこと

• 代入演算子は*thisへの参照を戻すようにしよう。

参考文献

[1] https://www.amazon.co.jp/gp/product/4621066099/ref=dbs_a_def_rwt_hsch_vapi_taft_p1_i0