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製品哲学のない製品と「緩やかに死んでいくシステム」を考える

Last updated at Posted at 2022-05-10

製品哲学、なにそれおいしいの

「あなたが、あなたの製品をつくる際、最も大切にしているものは、何ですか」

品質?
機能?
リリースすること?
締切を守ること?
オカネ?
チケットの仕様を満たすこと?
承認欲求を満たすこと?

どれも正解かもしれません。正解だと思います。というか個人開発なら大正解だと思います。さてもう一つの質問です。

「我々製品開発が自社の製品をつくる際、最も大切にしているものは、何ですか」

。。。

答えられる方はいますか。

。。。それはシャチョーが決めることでは。

そうですね。正解だと思います。というか私もそう思います。しかしあなたがシャチョーだったら、あるいは、シャチョーがあなたに

「ウチの製品開発がウチの製品の『最も大切にしないといけないもの』を決めるんや!期限は1ヶ月や!」

などと言い出したらどうしますか。

via GIPHY

――この記事はフィクションです。が、そんな状況を想像しながら読んで頂ければ、そしてこの答えに興味がある方に読んで頂けたらさいわいです。良かったら。

「緩やかに死んでいくシステム」

緩やかに死んでいくシステム / You won't be in the team forever - Speaker Deck
私の心にぶっ刺さっているこんなスライドがあります (Tori Hara さんのスライドです)。いくつか引用します。

「なぜシステムを改善していくのか」

実装当時に最適解と考えられたものが、時間の経過とともに最適とは評価され得なくなるから

「最適」は変化する。だから継続的改善が必要である。です。

「主体的思考の欠如と緩慢なオーナーシップ」
「そうなっている理由」を説明できない
e.g. 事情もサイズも能力も違うキラキラ他社事例を鵜呑みにしたコピー

「個人で開発しているつもりになってはいませんか」
「長老だけが知るシステム全体概要と退職・異動済みの長老たち」

「個人で開発しているつもりになってはいませんか」です。冒頭の伏線回収です。
あるいはこんな記事があります。知らずにググったら出てきた同僚の記事です。
非マネジメントのパッケージエンジニアが考える製品の設計思想について - Qiita

たびたび「このサブシステムのXXXという機能なのですが、YYYのように動きます。なぜですか?ZZZという理由により不要な仕様に見えます」のような質問をされることがある。
しかし、現在担当しているエンジニアは即答できない場合が多い。

その理由

  • 1つ目は、今現在、そのサブシステムは問題なく運用されているので、YYYという動きの存在意義(なぜこういう設計になっているか)がわからないこと
  • 2つ目は、実装された当時の「判断」と「根拠」がどこにも残っていないこと
  • 3つ目は、そのプロダクトのその機能の仕様がわかりにくく複雑であること

「XXXXという業務で、YYYYのように使われているという想定なので、こうなっていると思われます」という回答で終わる。

全編共感するが、以下です。

プロダクトの成長と、当時の最適解は必ずしも一致しない

「最適」は変化するのです。時代が変化するからです。説明は割愛します。

なくても (私は) 困らないが、製品は緩やかに死んでいく

変化する中で、時代とともに何が起こるか考えてみます。ソースコードは設計書であると言われます。仕様は頑張ってソースコードから読み解けます。その日その場のレビューを通過させるために必要な資料は作ります。

製品は出荷されます。仕様が満たされて顧客は満足です。また次のチケットが登録されます。次に取り組みます。次々テーマは変わります。周りの状況も変わります。コロナ、在宅ワーク。バズワードを取り入れて売れる製品。会社の利益は出ているようです。ステークホルダーも喜んでいるようです。

しかし、製品出荷を経て作られた資料も、作っただけで見返されることがなかったら。自分が何もしなければ、自分がいずれ「長老」になったときに同じ質問を将来の誰かから受けることになります。言い換えるなら、

「あなたの乗った豪華客船(に見える製品)は、あなたが乗った瞬間から非常に緩やかに沈んでいっている」

のです。

緩やかな死にどう向き合うか

もちろん製品もいつか死ぬ、沈むものかもしれないと考えます。とはいえ長く続くものに理由はあるとも思います。取り上げている企業、製品に他意はありません。単に思いついたものの列挙です。

愛される製品をつくる会社には「哲学」がありそうです。異論は認めますがそう見えます。

ほか参考資料

そんなものなくてもお給料は貰えているし、それってシャチョーの仕事だし

そんなもの = 製品哲学 なんてなくても、お給料は貰えているし、この会社なんてどうせ踏み台だし。沈む前に逃げるし。

それも答えだと思います。もしかしたら大正解です。が、まあせっかくシャチョーが 「ウチの製品開発がウチの製品の『最も大切にしないといけないもの』を決めるんや!期限は1ヶ月や!」 などというなら。シャチョーシャチョー書いてましたがそれってプロダクトオーナーだかプロダクトマネージャーのようなものかもしれないし、あるいはもう少しプロダクトオーナーの言葉を抽象化して憲法のようにまとめてもいいのかもしれない。

  • 自分なりに考えてみる
  • 周りにぶつけてみる
  • それでめでたく「明文化」できるか
  • あるいは笑止千万ならそれもそれで面白かったねということで芸人冥利かも

ということで...

「我々製品開発が自社の製品をつくる際、最も大切にしているものは、何ですか」

果たして答えはどうなるのか、どうするべきなのか、ここまで読んでくださった方の中でこの問いに答えるのが難しい気持ちになる方がいたら。システムの緩やかな死を少しでも食い止めて世界を救うつもりで一緒に考えてみませんかというポエムです。答えそのものはこれから少しづつ公開していきます!!!

まあそんなことしなくても長老たちは退職、異動してったわけなので、沈みゆく船の上でも自分だけはどうにかなると考えるならそれで良いわけですけれども。

冒頭から繰り返しますがこの記事はフィクションです。シャチョーなどという人はいません。一言で言うなら製品哲学大事よな?ということを長たらしく書いてしまいました――

via GIPHY

お楽しみ頂けたら、さいわいです。つづく。

愛される製品の、製品哲学をまなぶ - Qiita
製品哲学の言語化にいどむ。「カタログ」概論 - Qiita

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