■ はじめに
DNSはインターネットでWebサイトにアクセスしたりメールを送受信したりする時に使われます。
意識していなうちに大きな役割を持つこのDNSですが、どのようなモノや仕組みかはぱっと分かりにくいものだと思います。
この記事ではDNSの基礎知識から具体的な動作、DNSレコードの種類やキャッシュの仕組みまでを解説します。
■ 目次
1. DNSとは?
DNS(Domain Name System)は簡単に言うと
人間が覚えやすいドメイン名とコンピュータが理解できるIPアドレスを対応させるシステムです。
例えばWebブラウザに「www.test.com」と入力した場合にはDNSがこのドメイン名を解析し、対応するIPアドレス(「192.0.2.1」の形式)を返します。
これによりユーザーはIPアドレスを特段意識せずにドメイン名でWEBサイトへアクセスできるようになっています。
-
ドメイン名とIPアドレスの対応付け
もしDNSがなければインターネット上の各サービスにアクセスするためにIPアドレスを直接入力する必要がありました。
このDNSがあることでドメイン名がIPアドレスに変換され、インターネットの利用が非常に便利なものになっています。
2. DNSの基本的な仕組み
DNSは階層構造をもつ複数のDNSサーバーによってドメイン名の解決が行われます。
1 リクエスト送信
ユーザーがブラウザにドメイン名を入力すると、その情報がまずDNSリゾルバ1に送られます。
2 DNSリゾルバからルートDNSサーバーへ
DNSリゾルバはドメイン名のIPアドレスを直接持っているわけではないため、まずはルートDNSサーバーに問い合わせを行います。
ドメインはtest.co.jpであればtestとcoとjpに分かれており、
- jpをトップレベルドメイン(TLD)
- coをセカンドレベルドメイン(2LD)
- testをサードレベルドメイン(3LD)
と呼びます。
このルートDNSサーバーは全てのトップレベルドメイン(TLD)の情報を管理しています。
3 階層的なサーバー検索
ルートサーバーは対象ドメインのTLDサーバーを案内します。
次にTLDサーバーは該当する権威DNSサーバー2にリクエストを転送します。
4 権威DNSサーバーの応答
最終的に権威DNSサーバーがドメイン名と対応するIPアドレスをDNSリゾルバに返します。
このIPアドレス情報を受け取ったリゾルバはブラウザに結果を返し、ユーザーがドメイン名でアクセス可能となるのです。
3. DNSサーバーの役割と種類
DNSにはいくつかの種類があり、それぞれ異なる役割を果たしています。
-
ルートDNSサーバー
インターネット全体のDNSのトップに位置し、TLDサーバー(例:.comや.jp)の情報を提供します。
-
TLDサーバー
特定のトップレベルドメイン(TLD)のDNS情報を管理しています。
.comドメイン全体を管理するTLDサーバーは、各ドメイン名の次の権威DNSサーバーを案内します。
-
権威DNSサーバー
ドメイン名に関する最終的な情報(IPアドレスやDNSレコード)を持っており、最終的にIPアドレスを返します。
-
キャッシュDNSサーバー(リゾルバ)
各ISPや企業が設置しているキャッシュDNSサーバーは、IPアドレスの問い合わせを効率化するためにキャッシュを行い、過去にアクセスされた情報を保存しておきます。
4. 代表的なDNSレコードの種類
DNSでは各ドメイン名に異なる役割をもつレコードが設定されており以下のようなものがあります。
-
Aレコード
ドメイン名に対応するIPv4アドレスを指定するレコード
最も基本的なレコードで、WebサイトのIPアドレスが含まれている
-
AAAAレコード
IPv6アドレスを指定するレコードで、IPv6対応のインフラに用いられる
-
CNAMEレコード
別のドメイン名にエイリアスを設定するためのレコードで、別名でのアクセスを可能にする
例えば「www.example.com」を「example.com」にリダイレクトするような設定ができる
-
MXレコード
メールの送受信サーバーを指定するレコード
メールを適切なサーバーに配送するために利用される
5. DNSキャッシュとTTL
DNSは効率的なアクセスのためにキャッシュを利用します。
このキャッシュにはTTL(Time To Live)という有効期限が設定されており、期限が切れると再度問い合わせが行われます。
-
DNSキャッシュ
過去の問い合わせ結果を保存することで、再アクセス時にスピーディーにIPアドレスを取得する
-
TTL
キャッシュの有効期限を指定する数値で、TTLが切れると再問い合わせを行い最新の情報に更新される
TTLの値が短いとIP変更が速やかに反映される代わりに、頻繁な問い合わせが発生するためトラフィック3が増加する
6. まとめ
-
DNSの役割
- ドメイン名とIPアドレスを対応付け、利便性を向上
-
DNSの仕組み
- リゾルバがルート、TLD、権威DNSサーバーを通じてIPアドレスを取得
-
DNSサーバーの種類
- ルートサーバー、TLDサーバー、権威DNSサーバー、キャッシュDNSサーバーが協力してドメイン名解決を実現
-
DNSレコードの種類
- A、AAAA、CNAME、MXなど用途に応じた多様なレコードが存在
-
DNSキャッシュとTTLの役割
- キャッシュにより高速なアクセスを実現し、TTLでキャッシュの更新頻度を管理