■ はじめに
Javaフレームワークの中でも、Spring
と Spring Boot
はよく使われています。
しかし、SpringとSpring Bootの違いをきちんと理解している人は意外と少ないかもしれません。
この記事では Spring
と Spring Boot
の違いを簡潔に解説し、どのような場面でどちらを使うべきかについても紹介します。
そもそものフレームワークとは何か?については以下の記事を作成していますので
こちらをご確認ください。
■ 目次
1. Spring Frameworkとは?
Spring Frameworkは、エンタープライズJavaアプリケーションの開発を支援するフレームワークです。
特に依存性注入1やAOP2などの機能を提供し、
柔軟で保守性の高いアプリケーションを構築できるように設計されています。
そのようにSpringは非常に多機能にはなりますが、その分設定が多く複雑な部分があります。
また設定ファイルをXMLやJavaで作成する必要があり、難しいと思われることもあります。
2. Spring Bootとは?
Spring Bootは、Spring Frameworkの拡張版であり、Springの複雑な設定を簡略化するために作られたものです。
Spring Bootの大きな特徴は、コンフィギュレーション3の自動化です。
これにより設定ファイルをほとんど個人で作成することなく利用することができます。
主な特徴
-
自動設定
- 依存関係に基づいて、自動的に適切な設定が可能
-
組み込みサーバー
- Tomcatなどのサーバーが組み込まれており、アプリケーションを簡単に起動可能
-
シンプルなプロジェクト構成
- 最小限の設定で、すぐにプロジェクトを開始可能
3. SpringとSpring Bootの違い
Spring と Spring Boot の違いをもう少し詳しく見ていきましょう。
項目 | Spring | Spring Boot |
---|---|---|
設定方法 | 複雑な設定が必要(XML/Javaベースの設定) | 自動設定が中心 |
アプリケーション起動 | 別途サーバーをセットアップする必要あり | 組み込みサーバーで、すぐに起動可能 |
開発スピード | 設定に時間がかかる | すぐに開発を開始可能 |
使用ケース | 複雑なエンタープライズシステムや大規模なアプリ | 小〜中規模のアプリ開発に最適 |
依存関係管理 | 手動で追加 | 自動で追加・設定 |
設定の違い
Springでは、XMLやJavaベースの設定を手動で行う必要がありますが、Spring Bootではほとんどの設定が自動化されています。
以下は、Spring Bootを使った場合のapplication.properties
4ファイルの例です。
server.port=8080
spring.datasource.url=jdbc:mysql://localhost:3306/mydb
spring.datasource.username=root
spring.datasource.password=password
このように、プロパティを設定するだけでデータベース接続やサーバーポートの設定が簡単に行えます。
4. どちらを使うべきか?
-
Springを使うべきケース
エンタープライズ向けの大規模で複雑なシステムを開発する場合、Springが適しています。
特に設定を細かくカスタマイズしたい場合や、複数のシステムが連携するような複雑なプロジェクトではSpringの柔軟性が役立ちます。
-
Spring Bootを使うべきケース
小〜中規模のWebアプリケーションを作成したい場合にはSpring Bootが最適です。
設定の手間が少ないため、すぐに開発に着手することが可能です。
5. まとめ
- Spring Frameworkは柔軟で多機能ですが、設定が複雑/エンタープライズ向けの大規模システムに適している。
- Spring BootはSpringの設定を簡略化した拡張版で、素早く開発を始めたい場合に適している。
- プロジェクトの規模や必要性に応じて、どちらを導入するかを検討する必要がある。