■ はじめに
アジャイル開発手法 をご存じでしょうか。
これはソフトウェア開発において柔軟性を高め、チームの効率性を向上させるために生まれた開発手法です。
従来のウォーターフォール開発との違いを理解し、なぜ多くの開発でこのアジャイルを採用しているのか、その理由を紐解いていきましょう。
また、ウォーターフォール開発については以下の記事で解説しておりますので合わせてご覧ください。
■ 目次
1. アジャイル開発とは?
アジャイル開発1は、チームが迅速に変化に対応できるよう設計された反復型の開発手法です。
アジャイルマニフェスト2に基づいており、以下の4つの価値観に重点を置いています。
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対話の重視
- プロセスやツールよりも、チームメンバー同士のコミュニケーションを重視
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動くものを優先
- ドキュメントよりも、実際に動作するソフトウェアを優先
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顧客との協力
- 契約交渉よりも、顧客と協力しながらプロジェクトを進行
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変化への対応
- 計画に固執せず、変更に柔軟に対応を行う
上記の価値観を元にしているアジャイル開発は、要件が変わりやすいプロジェクトに適しています。
2. アジャイルを用いるメリット
アジャイル開発手法には、多くのメリットがあります。
一つ目は「早期かつ継続的な価値提供を可能にすること」です。
これは短期間で動作するプロダクトをリリースするため、顧客側は短いスパンで成果を確認することができます。
二つ目は「顧客満足度の向上」です。
要件変更に柔軟に対応できるため、顧客の要望を反映しやすく、従来のウォーターフォールに比べて戻りも最小限に抑えられます。
三つめは「リスクの軽減」です。
これは短いスプリント3で進行するため、大きな問題が発生する前に対処が可能になります。
最後に「チームの協力の向上」です。
チーム内で頻繁にコミュニケーションを取り合うことになるため、課題解決に向けて迅速に対応できます。
3. アジャイルを用いた際のデメリット
勿論このアジャイル開発にも様々なデメリットは存在します。
一つ目は「スコープの不確実性」です。
アジャイル開発は柔軟性を重視しているので、ウォーターフォールと異なり要件やスコープがプロジェクトの進行中に変わることも多いです。
そのため最終的な成果物の内容が当初の予定と異なるといったことも少なくはなく、スコープが膨らみすぎてしまう可能性があります。
二つ目には上記に伴う「スケジュール管理の困難さ」も挙げられます。
スプリントごとに新しい要件に変更要望が発生した場合、全体的なスケジュールを正確に予測することが困難になります。
その結果、プロジェクトが期限内に完了しないといったリスクにも繋がってしまいます。
また、三つめとして「継続的な顧客の関与が必要」ということも挙げられます。
アジャイル開発ではクライアント(顧客やエンドユーザ)からのフィードバックは欠かせません。
これが欠けてしまうとクライアントとの開発の方向性がずれてしまい、最終的にクライアントが期待するものと異なる結果になってしまう可能性が挙げられます。
4. ウォーターフォールとの比較
従来のウォーターフォール開発は各フェーズを順番に進め、全ての計画(設計)を最初に行い、
その後開発~テストと進行する開発手法であり、一度決定した要件を変更するは手戻りが発生し、非常に困難です。
一方でアジャイル開発は短いサイクルで開発を行い、毎回フィードバックを受けながら次のステップへ進むことができる開発手法となるので、仕様の変更があった際にも柔軟に対応することができます。
5. スクラムの概要
アジャイルの実践にはいくつかのフレームワークが存在しますが、その中でもスクラム4は最もよく使われています。
スクラムは以下の要素で構成されます。
用語 | 意味 / 役割 |
---|---|
スプリント | 通常1〜4週間 |
プロダクトオーナー | 顧客要件を反映させる役割 |
スクラムマスター | チームがスムーズに開発を進めるための調整役 |
デイリースクラム | 毎日短時間の進捗報告会 |
スクラムの導入は、まずこれらの役割を明確にし、チーム全体で協力して進行することが重要となります。
6. まとめ
- アジャイル開発は開発手法の一つ
- 柔軟で顧客の要求に応じた開発手法で、変化の多いプロジェクトに向き
- メリット
- 「早期の価値提供」、「リスク軽減」、「チーム協力」など
- デメリット
- 要件やスコープが変わりやすく、最終的な成果物が当初の計画と異なることがある
- スコープが膨らみ、プロジェクトが拡大するリスク
- スプリントごとに新しい要件が加わることがあるため、スケジュールを正確に予測するのが困難