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なぜ DDD(ドメイン駆動設計) を採用するのか

Last updated at Posted at 2023-08-05

この記事の背景

現職では DDD を採用しており、色々な方と DDD についてお話しする機会があります。

その中で、特に初学者の方はアーキテクチャに対して「なぜこんなに面倒な事をするのか?」という印象を持たれているようでした。

そこで、DDDを採用する目的について言語化してみました。
(個人の見解なので、誤りがあればぜひご指摘をmm)

対象読者

  • 基本的な用語は覚えた方
  • 見よう見まねで、ある程度コードも書いた方
  • 初心に立ち返って Why を理解したい方

DDDで実現したいこと

前提として、以下の要素を分けて考えます。

  • ビジネスルール
  • ビジネスルール以外の要素(例えばGUIやデータの保存など)

DDDでは ビジネスルールを反映したプログラムを重要なものと位置付けています。
なぜ重要なのでしょうか?

  • システムは何らかの課題を解決するために存在しています
  • 顧客のニーズの変化など、様々な要因で課題は変わっていきます
  • 課題の変化に合わせて、解決手段であるビジネスルールも変わっていきます
  • 課題の変更に対して素早く正確に対応できると、ビジネス(商売)としての競争力が高まります
  • ビジネスルールを反映したプログラムは、課題解決のための手段を最も直接的に表現している箇所です
  • 故に、これらのプログラムの品質を高めることが重要です

DDDで実現したい事を簡潔に言うと「ビジネスルールを反映したプログラムの品質を上げたい」となります。品質の上げ方としては、ビジネスルールを過不足なく反映することや、素早く安全に変更できる状態(保守性が高い状態)を維持すること等が挙げられます。

GUI=使い勝手もアプリケーションとしては勿論大事なのですが、相対的に見るとビジネスルールの方が大事という整理です。

DDDでは「ドメインエキスパート」「ユビキタス言語」「境界づけられたコンテキスト」など様々なワードが登場します。また、ソフトウェアアーキテクチャにおけるテクニックも色々と出てきます。これらはいずれも「目的達成のための手段の1つ」でしかないため、個別の手段に囚われて、目的を見失わないようにしましょう。

目的達成のための手段

メリットを感じるためには、手段についても理解を深める必要があります。
いくつか軽めに紹介します。

レイヤードアーキテクチャ

保守性を高めるための手段です。

プログラムの構造として、ビジネスルール以外の要素(=重要でないもの)を変更した際に、ビジネスルール(=重要なもの)への影響が出てしまう状態はよろしくありません。
例えば、ドメインモデル が DBにアクセスしてデータを取得するような構造の場合、テーブルのスキーマ変更を行うと、ドメインモデルまで修正する必要が出てしまいます。

依存性逆転の法則に沿って設計し、ビジネスルールに対してビジネスルール以外の要素が依存する構造にしましょう。

境界づけられたコンテキスト(Boundary Context)

保守性を高めるための手段です。

同じ言葉や物であっても、場面が異なる場合は別のものとして扱いましょう。
例えば、同じ「商品」であっても「注文する」時と「在庫管理する」時では、アクターも扱うデータも異なります。注文のアクターは顧客ですが、在庫管理のアクターは社員になります。商品の金額についても、注文する時は売値で在庫管理する時は原価、といった具合に関心事が異なります。これらを1つのモデルにまとめてしまうと、顧客向けの変更が社内業務に影響を与えてしまいます。

領域の区切り方は諸説ありますが、言葉に対する認識が揃う範囲で区切るのがよいかなと思います(アクターやチームなど)。

まとめ

  • DDDを採用する目的は「ビジネスルールを反映したプログラムの品質を上げたい」から
  • 手段を学ぶ際も、目的に立ち返ることが大事

参考文献

  • エリック・エヴァンスのドメイン駆動設計
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