はじめに
この記事はHoudiniApprenticeAdventCalender2018 24日目の記事です。
はじめまして。竜太(仮名)です。Houdini初心者です。テクニカルアーティストしてます。
本記事では「私がこの1年間Houdiniスキル習得のため試行錯誤した日々」を振り返りたいと思います。Houdiniの画面は一切出てこないのでご容赦ください。Houdini勉強会に興味ある人やHoudiniをこれから始める人の参考になれば幸いです。
経緯
1年前の自分はHoudiniに対してぼんやり以下の3つに興味を持っていました。
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①プロシージャルコンテンツ生成(Procedural Contents Generation: PCG)
- プロシージャルモデリング、プロシージャルレベルデザイン
- ②リッチなゲームエフェクト作成
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③Houdini Engine
- Unity, UE4, Mayaとの連携
また、下図のように「HoudiniEngine活用すればHoudiniマスターは最小限で回せれる」とも思っていました。
Tokyo Houdini Meetup Vol.1開催!
ただ、当時自分の周りにHoudini興味持ってる人がほとんどいませんでした…。そんな中**「そうだ!社外の詳しい人を招待したイベントを社内開催したら興味持ってくれる人が出てくるかもしれない」**と帰りの満員電車🚃で思いつき、昨年12月末にTokyo Houdini Meetup Vol.1を行いました。
無償にもかかわらず以下の豪華なメンバーに講演していただきました。すごい。
- a_saitoさん(プロシージャルモデリング系)
- ijiVFXさん(VAT系)
- yuya_toriiさん(HoudiniEngine系)
また、当時ぼんやりと**「Houdini✖︎AI組み合わせたら面白いことできるのかな」と思ってダメ元でAIゲーム開発者のmiyayouさん**にAIトークセッション依頼したら快くOKをいただきました。これもすごい。(ちなみにご本人の講演資料はイベント開催中に完成していましたw)
参加者も100名を超え各講演者が尽く時間オーバーしたものの3時間半を超えるイベントは大盛況でした。内容も盛りだくさん(プロシージャルモデリング、VAT、HoudiniEngine、AIxHoudini可能性、Houdini座談会)でした。 自分が聞きたい内容を勝手にチョイスして依頼したのである意味当然なのですが最高でした。評判もかなり良かったと記憶しているのですがアンケートを取らなかったのが反省でした。
特に**miyayouさんとのAIトークはその後AI(ディープラーニング)に興味持ったきっかけとなった**のでとても良い経験となりました。そういえば後にCEDEC2018で共同登壇することになるtakavfxさんがハプニングでトーク中に乱入してくれたのも良き思い出です。
また、Houdini座談会でyuya_toriiさんの**「Houdiniは一人で学ぶのではなくチームで学んだ方が、学習効率が高い」**という発言は、「同志を作ってHoudini勉強会を開催したい!」と強く思うようになりました。こちらのイベントの詳細はCGWORLD.jpさんが詳細レポートを書いてくださってるのでよければご覧ください。
Houdini社内勉強会開始!
早速イベントの効果が出ました。なんとイベント翌日に社内の参加メンバーから**「社内でHoudini勉強会開催したいので推進委委員会作りましょう!」**と提案してくれる人が出てきました。早速どのように進めるか検討し、年明け2月から毎週木曜日定時後に開催することにしました。初期メンバーは私含めて3名でした。
色々と試行錯誤しました。最初はもくもく会(自習)形式を行いましたが、会話もなく初心者ばかりで集まってる意味がないという事で、徐々に**「興味持ってるチュートリアルやサンプルをピックアップして一人が講師になり他のメンバーがそれを写経する形式」**に固まっていきました。(メンバーに英語強い人がいたのが大きかった)。これにより週1で嫌でもHoudiniに触れて手を動かすことができたのは個人的に良い仕組みでした。
勉強会で取り上げたネタは色々ありますが一例を挙げておきます。
- Entagmaチュートリアル
- 各種Houdiniイベントの動画視聴会
- 各種Houdiniセミナー(インディゾーンさん, ボーンデジタルさん)の資料、サンプル
- sugiggyさんのHoudiniオンラインワークショップのサンプル
- 各Houdni書籍のサンプル等...
数か月はこの調子が続いて楽しかったのですが、チュートリアルやサンプルは無限にあるので写経ばかりしててもキリがなく徐々に**「皆で何か映像作品を作ってアウトプットしないか」**という話になりました。コアメンバーの1人がSimon Holmedalさんの作品がカッコいいので刺激を受けたというのもあります。ただ、皆初心者なのでいきなりこんな動画を作れるわけもなくまたいつもの形式に戻りました。
また、この期間中に勉強会に興味持ってくれる人は延べ10名ほどいましたが、大体1,2回したら来なくなるという感じが続いていました。(「参加者がおじさんばかりなので女性が入りにくい」という声もいただきました。これはどうしようもないのですが。)
CEDEC2018でプログラマ向けHoudiniトークセッション講演!
そんなマンネリ化が続く中、関西ゲーム開発者イベントGCC2018の懇親会で「描画プログラマーなのにHoudiniにすごくハマってる方」とお話をして**「こんな人もいるんだ…。そうか、社内のプログラマーも巻き込んだら化学反応起きるんじゃないか?」と帰りの新幹線🚅の中で思い立ち、CEDEC公募締め切り当日に勢いで「プログラマー向けトークセッション」を応募したら運よく採択されました。すごい。プログラマー向けHoudiniセッションおよびプログラマによるHoudini品評会**がおそらく業界初だったので響いたのかなと考えています。そのセッションがこちらになります。
採択された時点では自分以外誰一人講演者は確定してませんでしたが、ikatnetkさんのご協力や人脈を駆使して以下のHoudiniに詳しいプログラマー/TAのメンバーに協力していただけることになりました。Houdini Advent Calnderでもお馴染みのすごいメンバーです。
ご存知のようにCEDECはTokyo Houdini Meetupと違って何が何でも60分間に収まる必要があり、時間内に丸め込むのが非常に大変でした(アンケートも賛否両論でした…。)。
ですが、講演前にメンバーと延べ約10時間ウェブ会議でプログラマ視点からHoudiniに関して熱く語り合い大変勉強になりました。メンバー同士でも「この話し合いを流すのが一番面白いのではないか」と言ってたぐらいで。反省点として、K240さんが「振り返り会をしましょう!」と提案してくださったのに結局しなかったことが悔やまれます。
こちらのセッションもCGWORLD.jpさんが詳細レポートを書いてくださってるのでよければご覧ください。
CEDEC2018講演の副産物
CEDEC講演資料の最後で紹介したHoudini勉強会コミュニティ"Tokyo Houdini Meetup"(Facebookグループ)を立ち上げたところ100名以上のメンバーが集まったのは良い副産物となりました。関東中心のHoudini勉強会コミュニティを今後活用していきたいと考えています。こちらのコミュニティにはTokyo Houdini Meetupの動画もいくつか挙がっているので興味ある方はメンバー登録を宜しくお願いします(実名の方のみにさせていただいています)。
Houdini社内勉強会再び
CEDEC講演後にHoudini興味ありそうなプログラマーに何人か声をかけましたが、残念ながら勉強会に定着される方はまだいません。今後も継続して啓蒙活動していこうと思います。ただこの頃から2名ほどコアメンバーに次ぐ非プログラマーの準レギュラーも定着してきたのは幸いでした。
定時後ではなくランチタイム開催はどうかという話もあったのですが、こちらは実現できずなので来年は試してみたいと思います。また社内メンバーだけだと限界があるので**「月1ぐらいに社外の人も巻き込んだ勉強会も開催したい」**と考えていましたが、こちらも実現できませんでした。
この頃からまたマンネリ化してきたので、皆で共同作品を作るのでなく、皆興味が以下のようにバラバラなので
- A氏:VATを活用してゲームエフェクトに応用したい(エフェクトアーティスト)
- B氏:かっこいいプロシージャル映像を作りたい(映像アーティスト)
- C氏:音とCGを同期させたVJ映像を作りたい(サウンドクリエイター)
- 自分:AIxプロシージャルモデリングを絡めたい(テクニカルアーティスト)
各人興味ある事を突き詰めて、社外向け勉強会でHoudini事例として各人発表すなわち**「地に足を付けたアウトプット」**をできるようにスキルを磨いていこうという方針変更にして現在模索中です。
大反省会
良かった点
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Tokyo Houdini Meetup Vol.1を開催した
- 社内外のHoudini興味あるメンバーを巻き込むことができた
- 週1回の勉強会開催し、ほぼ1年続けられた
- Houdiniを手を動かす機会を無理やり作れた
- 情報INPUT過多になりがちなので実践する時間確保できたのは良かった
- 特にノードベースフローやVEXに触れられた
- プログラマー向けHoudiniトークセッションをCEDEC2018で講演できた
- 講演準備過程でHoudiniマスターと延べ10時間話して大きな財産となった
- 結果100人越えの関東Houdini勉強会コミュニティを構築できた
反省点
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Tokyo Houdini Meetup Vol.1関連
- アンケートを集計しなかった
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Houdini勉強会関連
- もくもく会(自習)形式→チュートリアル実践形式に変更後は改善できなかった
- 具体的な目標設定をしないまま、後半まで継続してしまった
- 途中から目標設定して地に足を付けたアウトプットを試みたが実践できなかった
- コアメンバーを増やせなかった(多ければいいものではないがもう少し増やしたい)
- 超初心者が参加した際はHoudini入門講座をする必要があり、非初心者にとって退屈な時間になった
- 社外巻き込んだ勉強会を実現できなかった
- 夜参加できない方向けに、ランチ勉強会を試みようとするも実現できなかった
- せっかく1年継続してきた勉強会の内容をほぼ録画しなかった
- 毎週当日参加者や発表者を募集して中止になることが後半増えた
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- 100名以上のメンバーを集めたにもかかわらず有効活用できなかった
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CEDEC2018講演関連
- CEDEC後の勢いに乗れなかった、CEDECセッションの振り返り会をしなかった
- プログラマーを巻き込めなかった
さいごに
こんな感じで試行錯誤の1年でした。残念ながら**「地に足の着いたオリジナル成果物」**は出せないまま1年が終わりましたが、色々な意味で仕込みはできた1年ではないのかと考えています。
来年は具体的にアウトプットするべく引き続き模索していきたいと思います。そして社外を巻き込んだ勉強会あわよくばTokyo Houdini Meetup Vol.2を開催できるよう動いていきたいと思います。