数年前初めてBlockChainを見たときは、単なる分散型合意形成アルゴリズムであって分散型合意形成なんてそんなに需要ないだろう程度の認識でいました。
しかし今さらになって調べていくうちに、BlockChainを使った分散型アプリケーション(DApps)は確かに既存のサービスを駆逐しうる技術なんじゃないかと感じ始めました。
まだまだ調べ始めたばかりではありますが、今の考えについてまとめて行きます。
分散型アプリケーションのモデル
一側面のみを切り出してものすごく簡単に説明すると、まずPublicなサービスを不特定多数の有志でネットワークを築き運用(コンセンサス)します。
そして運用する見返りとしてサービス内通貨(トークン)を得たりサービスを利用することができる、という仕組みが分散型アプリケーションのモデルとなります。
つまり見返りにサービス内通貨あげるから有志で運用しよう!っていうことですね。
そしてソシャゲのカードが金銭で売買されていたように、サービス内通貨の価値が上がると自然と現金と変えてでも欲しいという人が生まれてきます。
そうして初期から抱えたサービス内通貨に価値を持たせることが実装者としての利益となります。
逆に言えばサービス内通貨の価値が生まれないことには実装者としても運用者としても利益はないため、あくまでサービス先行の仕組みとなります。
したがって現在は投資対象として暴走していますが、本質的にはあくまでサービスありきで価値が生まれ、その価値をもとに成り立つサービスとなります。
分散型アプリケーションは何が優れているの?
中央集権型サービスはサーバ代がかかる以上運用費用をペイするためにサービス上のどこかで利益をあげる必要があります。したがって、どこかで法定通貨を得る必要性があります。
しかし分散型アプリケーションはサービス内通貨の価値を担保に成り立っているため、それで法定通貨を得る必要はありません。
たとえば分散型フリマサービスOpenBazaarはサービス利用料がかかりません。
一方Amazonやメルカリなどは企業としてサービスを運用している限りどこかで法定通貨を得る必要があります。Facebookなどの無料サービスも結局のところ広告や個人情報売買などでサービスが歪められています。
もちろんサービスとしてのUI/UXや認知度含めての優劣ですが、この差は仕組み上覆すことのできない壁として立ちはだかってくるのではないでしょうか。
つまり利益を度外視した純粋なサービスを作れることが分散型アプリケーションの強みになります。
報酬設定による行動の規定
何をするのにサービス内通貨が必要で、何をすればサービス内通貨を得ることができるのかを適切に設定できれば自然とユーザの行動も促すことができます。
例えば分散型レビューサイトを作りレビューを乗せ「参考になった」が押されるたびに報酬を得られるようにしたとします。
そうすれば良いレビューをすれば報酬が得られるようになり、自然と良いレビューが集まるようになるでしょう。
そして良いレビューを書いて報酬を得るために集まってくる人も出てきて、それで生計を立てるYoutuberのような人も生まれるかもしれません。
実際にCryptoKittiesという猫育成ゲームが話題になりましたが、ゲーム性というよりは猫を売って金を儲けるられるから流行った側面もあると思います。
一方で繰り返しますがサービス内通貨に価値があることが全ての根底にあるため、価値が崩れてしまったら全てが成り立たなくなってしまいます。
サクラを使うなどで無限にお金が得られるといったようなイカサマが行われないようにしないといけないし、純粋にお金を擦りすぎてインフレしてしまってもいけません。
またサービスの運用者に通貨を供給しているため、通貨の価値を維持するためにはどこかで通貨を消費させる必要があります。
そのためサービス内通貨の価値が変化することで適切なFeeにならなくなってしまいサービスが成り立たなくなってしまうケースもあります。
例えばBitCoinは送金に手数料が取られるわけですが、今はBitCoinの価値が上がりすぎて銀行振込手数料の方が安いじゃんってなっており、送金手段としては優位性が失われてしまいました。
同じようにフリマサービスを作っても実質メルカリより手数料高ければ使う理由はなくなってしまいます。
このように適切に通貨の価値を維持した上でユーザの行動を規定し、サービスとしての優位性も保ち続けるルール作りが根幹であり、一番難しいところになるかと思います。
既存のサービスは勝てるのか
では仮に最適な分散型フリマサービスが生まれたらメルカリは勝てないのでしょうか?
その場合でもサービスでお金を取っているからこそサービスの成長にお金を投資することができる面もあるため、結局サービスの質が覆せない可能性もあります。
特にサービスに価値が生まれない限りサービス内通貨の価値も生まれないため、結果としてサービス拡充やマーケティングに投資する資金を得ることはできません。
結局分散型アプリケーションはダメだったよねって話も十分にあるとは思います。
とはいえ中抜きを多く取っているサービスほど覆せない明確な差が生まれてくるため、そういったサービスを今後分散型アプリケーションがReplaceしていく可能性は高いでしょう。
まとめ
BlockChainは単なる分散型合意形成の仕組みではなく、利益を度外視したサービスを作ることを可能にする技術とも言えます。
一方でサービス内通貨の価値がそれを成り立たせており、価値を作り、それを上手くコントロールすることが課題となります。
それを適切に設計できたサービスが生まれたとき、Uberがタクシー会社をぶち壊したような変革が生まれる可能性を持ったものなのではないでしょうか。