残り人生、何して過ごす?
2021年、還暦を過ぎて、ふと思った。残り人生、どうやって過ごしていこう。人生100年とか煽られて、だとしたらまだ40年近くある。それって、大学生から今までと同じだけの長さじゃないの?
iPadが好きで、いろんなアプリを使ってきたけれど、アプリ開発って、おもしろいのかな。一攫千金とか、あるのかな。でも、アプリってどうやってつくるのかも知らない。一攫千金はともかく、私は若宮正子さんとティム・クックのツーショットを見て、へぇ、と思った世代だ。あの時、彼女はすでに80だった。60の私が「遅すぎる」ということはないだろう。ともかく、やってみよう。
まず最初から、分かれ道があった。一つは、地道に勉強して、他人様の仕事を受けられるプログラマになること。そして、わずかでも老後の収入を得つつ、いつか孫ができたら、お小遣いを上げられるフリーランスおばあちゃんになる。
もう一つは、自分のつくりたいアプリを、自分でつくること。収入になるようなものができるのかどうかわからない。でも、「とりあえず勉強」より「とりあえずなんかつくる」ほうが、性に合っていると思う。何かつくりながら、他人様に雇っていただけるようなレベルになったら、フリーランスおばあちゃんになろう。とりあえずまだ、孫もいないことだしね。
言語を選択するってなに
iPadユーザーなので、iPadのアプリをつくるなら、Swiftらしい・・・が、独学1週間にして、なかなかな挫折感を味わった。うーん、やっていける気がしない。そんな中、プログラミング関係のリコメンドがいろいろ上がってくるようになっていた私の前を、蝶々がひらりと通りすぎた。『Flutter Apprentice』というText(今はデザインが変わってもう蝶々の表紙ではない)。Flutterってなに? iPadのアプリを作れるし、ついでにandroidもできちゃう? いずれはWebもPCも対象? そういうお得な話には裏がある? でも、とりあえず、そのTextは私に分かりやすかった。ほらほらっ、ていう感じで、動くものができたじゃないの。 Buttonをポチッとすると、違う画面になる! とか、それぐらいのことで、わぁっとうれしくなって、よし、Flutterに決めた! 我ながら、行き当たりばったりだなあ笑 っていうか、今振り返ると、よく一人で環境構築できたな、と思う。実はFlutterはプラットフォームで、言語というならDartでしょ、ということも、ずっと後まで知らなかった。
Flutter大学に入る
当時、Flutterはたぶん、まだめずらしかった。検索して上がってくる筆頭がFlutter大学 。ちょうどYouTubeのLiveで、「共同開発発表会」なるものをやっていた。高校生の女の子が「プログラミング始めたばっかりだけど、大学の人たちに手伝ってもらいながらつくりました」って。この発表が私のアクセルをぐっと踏みこんだ。80歳の若宮さんの背中を追ってプログラミングを始めた私は、17歳の「ののちゃん」をまるっと真似て、Flutter大学に入り、速攻で「共同開発」に名乗りを上げ、我が子ほど若い先輩たちに助けられながら、最初のアプリのリリースを果たした。
どんどん遠ざかる
最初のアプリは練習、フリーランスになるための「ポートナントカ」に載せるヤツ、ぐらいの気持ちだった。さて、次は何をつくるか。もちろん、ポートナントカに一つだけ、は寂しいから、いろいろつくりたい。でも、何をつくる? また、分かれ道だ。
プランA。できるだけ「ふつう」のものをつくる。シンプルなものをたくさんつくる。それぞれ違う技術を使って、「いろいろできるおばあちゃん」を目指す。あの時、この道を選択していたら、今の私はどうなっていたのかな。ちょっとは稼げていたかな?
人生100年時代。残り40年近くあるとはいえ、それが全部使える、という保証はどこにもない。脳か心臓の血管が詰まって、はい、お終い、になるリスクは常に身近にある。ポートフォリオを携えてエージェントに会い、孫にお小遣いを上げるための収入を得る、ということを目指して、ほんとにそれで悔いはないのか? まだ孫もいないのに?
私が取ったのは、プランB。どうしてもつくりたいものをつくる。自分がほしいものをつくる。たとえユーザーが私一人でも、ひたすら、それを、つくる。ちょっとイタい系の夢だ。それはわかっている。でも、昭和の専業主婦であれ、令和の働く女であれ、自分の都合で生きるわけにはいかない毎日を歩いている。どこかでそれを振り切って、「100%自分のためだけにするなにか」を手に入れても、もう、いいんじゃないか、還暦も過ぎたんだし。
ということで、私の選択は初期目標からどんどん遠ざかる。それもまた、よし。
Flutter女子
Flutter大学にはいろんなサークルがあるのだけれど、その一つがFlutter女子。バリバリのFlutterエンジニアから、本職は別の言語だけど趣味で個人開発、とか、様々な立ち位置の女子が集う。オンラインで女子会したり、オフラインでもくもく会やグルメ会したり、共同開発したり。いちいち「女子」っていわなくていい時代が来ても、やっぱりガールズトークは必要よね。
大学に帰る
Flutter大学で若き同好の士にかこまれているとはいえ、なんの基礎知識もないまま独学で突っ走る毎日。そんなときに、母校に「共創工学部」ができるという知らせ。と同時に、「母校でもう一度学びませんか、入学金免除のお知らせ」も届く。今更、単位とか、学位とか要らないけど、そういう「環境」には身を置いてみたい。なんといっても、「若い女性エンジニアの卵」たちがわしゃわしゃ集う空間だもの、おもしろくないわけがない。講座によっては、高大連携講座として、附属高校3年のリケジョたちもいる。まるっきり、ここからもう一度人生が始まるような気分になる。自分の開発に直接役に立つというわけではないけれど、電車に揺られて、キャンパスについて、講義を受けて、図書館で本を漁って、講義を受けて、学食で夕飯を食べて、また図書館でレポート書いて、という日が1週間に1日挟まっているだけで、すっかり若返る。
そして、周りの彼女たちが、光も影もある人生を60歳まで過ごし、そこからまた、私のように、次の40年を企画できる平和で豊かな未来があるように、祈らずにいられない。
ポートナントカ
フロントエンドFlutter、バックエンドServerpod、データベースPostgreSQL、サーバーAWSで以下のアプリを運用中、まだまだ先は長い
四次元年表
四次元年表forMobile
四次元年表inSpace
四次元年表inMaritime
一番最初につくったのはこちら Flutter×GoogleMap
はじめてのえにっき