大遅刻ですが、4/12にHDIFesに参加してきました。
hcdvalue、DevLOVE、IGDA日本という、3つの開発者コミュニティの合同企画なので、頭文字を取ってHDIとのこと。
概要
URL:https://hdifes.doorkeeper.jp/events/20712
日時:2015/04/12
会場:株式会社ヴァル研究所
当日は3つのセッション+ダイアログ+LT&ビアバッシュで構成されていました。
プロジェクトを成功に導く期待マネージメント
資料:http://www.slideshare.net/YohNakamura/hd-ifes04-yohhatu
GuildWorks社長、認定スクラムマスターの中村洋さんの講演。
スクラムをべースに、期待マネジメントという考え方についてのお話でした。
##1.期待マネジメント
期待マネジメントって?
正解が分からない世界になってる。変化のスピードが速い。
→ 経験豊かな一人が正解を持ってるわけではないので、試行錯誤する必要がある。
→ これを乗り切るために、目標や得意なことのすり合わせが必要
→ 目標やチームの得意なことをすり合わせるのが期待マネージメント
→ 特定の誰かだけではなく、全員がマネージメントに関わるという前提が必要。
で、
・外側の期待をまとめるインセプションデッキ。
・内側の期待をまとめるドラッカー風エクササイズ。
##2.インセプションデッキ
いわゆるインセプションデッキの説明でした。
インセプションデッキ自体は、アジャイルサムライとか http://blog.nextscape.net/ja-JP/research/agile/inceptiondeck とかを参照。
インセプションデッキのポイント
・ふわっとした言葉は危険信号
→ 厳しい質問をせずに分かった気になる(思い込みたい)
・開始前に作るのが理想.
→ 自分たちで作って話し合うだけでも効果がある。
→ 自分事になり、判断の基準になる。
・行きつ戻りつ確認する。
→ 至った過程が大事に。
##3.ドラッカー風エクササイズ
メンバー同士の期待をすり合わせるために、4つの質問を某野球部のマネージャーっぽくやってみること、です。
関係者全員と、定期的に行います。期待は変わるものなので、1回だけではダメ。
・何が得意?
プログラム、デザインなど・・・プロとして対価を払ってもらえるもの。
・どうやって(プロジェクトに)貢献するの?
ゴールを理解している必要がある。
本当に何も貢献できないのであればチームにいるべきではないのでは?
・大切に思う価値は何か
家族との時間、金銭的対価、キャリア、キレイなコードなど
・メンバは自分に何を期待しているのか?
お互いの期待を表明してすり合わせる
##まとめ
・いいチームとは?
→ 自分ごとと捕らえることがまず最初。
・自分ごとととらえるるための11個目の質問
→ 自分がお金を出してやるなら同じやり方をする?
・背中を預けることができる仲間と一緒にやる
→ 期待があったチームには「正しいものを正しく作る」道が見えてくる。
##FAQ
・ドラッカー風エクササイズを実施するタイミングは?
→ まずは集まったとき、踏み込まずにライトにすることもある
・そういうのをやるのが嫌いな人がいた場合どうする?
→ 主張をまげて成功するのと、主張を通してプロジェクトの成功するのどっちがいい?と聞きます。
・チームに価値観って人に伝えるの恥ずかしい人いるよね
→ ファシリテーション系だけど、評価に関わったり、否定することはないです。
・結果を見えるようにする?
→ チームに任せる。長めの振り返りの時とかに持ち出したりする。
#「チーム作りとモノ作りの同時進行」
資料:http://www.slideshare.net/igda_jp/hd-ifes04
スピーカーは元ナムコの中村さん
###1.チームの開発でありがちな事
####意見の対立をどうとらえるか?
・対場、能力、経験の違いが有る以上、ある程度起こるのは避けられない。
・多様な意見は基本歓迎されるべきだが、以下のような弊害もある。
→ 人間関係の悪化を引き起こす。
→ 完成すればよい症候群(問題があると思っても誰も言わない)に陥る
・従って、チームのモチベーションを挙げつつどうやってクオリティを維持するかが大事。
####どうやって意見対立を解消する?
・例1:リーダーが決める
→ 確かにスピードは上がる
→ リーダー依存(どうせ言っても・・・)に陥る。
→ もじぴったんDSプロジェクトでは、リーダー指示が行き過ぎて後進が育たなかった。
・例2:チームで話し合いをする
→ より対立が明確になることもある。
→ 会議で大半の時間が過ぎる病に陥る。
###2.合理的なデザインをチームで行うには?
大きく3つの要件がある。
コンセプトの共有を徹底する。
・誰に向けた商品かを明確にする
・優先順位をつけた、「価値の評価軸」を設定する
例:もじぴったんDSの場合
・20代女性で、脳トレを買ったけど、それ以降やってない人(ペルソナ)
・価値の評価軸は以下の順に設定
1:楽しそう
2:手軽に遊べそう
3:ためになる
・仕様やデザインについて、この評価軸の優先度に沿っているかで決める。
・例えば、「ためになって楽しい(3→2)」と「楽しくてためになる(1→3)」は違う。
・NHKの教育番組と民法の情報バラエティ(ex:平成教育委員会)の違いをイメージ
仕組み化、ルール化、手法化を進める。
・同様な問題が起きてもすでにある知恵で解決する。
・妥当な結論を導き出すための話し合いのルールを徹底する。
・思いついたら口に出す
・他を圧倒しない
・反論されたらありがとう(といわなければいけない)
・多数決で決めない/違う意見なら理由を共有する
・1票でも反対票があるなら、理由を説明しなさい。
・その人にしか気づいてない何かがあるかも
・第3のアイディアはないか?
・評価軸で評価して、どちらも完全ではないなら、それを満たす別のアイディアを探すよう、ファシリーテーションする
問題は「作っているモノ」にあることを意識させる
・作ってる人ではなく、出来たモノが悪い。
・商品が受け入れられないのは客のせいという人も出てくる。
→フォーカスするべきはアイディアを出した人ではなくアイディアそのもの
###3.でも本当に大切だったのは?
・ディレクターが全員のメンバーの誕生日にサプライズをやった。
・そういうことが段々習慣になり、メンバー全員が仲良くなった。
・今でもたまに飲み会する。
###FAQ
・多数決で決めないは票が多ければ決まるわけではないなら、どうやって決める?
まず多数決で上位10案を決める。
そのあと評価軸でポイント付けをする。
そのあと表が少ないものは理由を共有する
⇒ メンバーの価値観を共有する。
・チームのムード作りについて、効果があったもの、どんなの?
チームの中に女性メンバーを大目に入れた。
席デザインをノータッチにしたら、デザイナーが、関係ある席の人を近くに置くようにした
なお、今はできないらしいw
#なぜ人を巻き込むの? --巻き込む理由とチームの意味--
スピーカーはGaji-Labo社長の山岸ひとみ氏
チームビルドのメンタル的な部分についてのお話。
##1.質問
・あなたにとって、チームとは何ですか?
・何故チームが必要なのですか?
##2.「チーム」と「組織」の違いは?
・組織
→特定の目的を達成するために諸個人やグループに専門化された役割を与え、その活動を統合、調整する仕組み
・チーム
→ある目的のために共同で活動する単位のこと。
##3.良いチームの共通項
・共同注視と互恵性
##4.チームに到達する時の高い壁(これが揃わないとチームと呼べない)
・「あなたに」思いがあるかどうか
・一緒にやる人がいるかどうか
・同じ目的に向かえているかどうか
##5.某イベント運営プロジェクトで失敗した例
・思いがあればやれるという過信があった
・みんなが同じ目的を見ていると思い込んでた
・ふたを開けてみると自分勝手な思いしかなかった
・誰も責任をとろうとしない
⇒ 同じ目的に向かえているかどうか
##6.チーム作りの事例「deCafeプロジェクト」
・何故やるのか、を徹底的にすりあわせた
・関わり方に納得できるよう話し合った
・定期的に振り返って確認、共有
・自分たち以外の視点でフィードバックをやろう
自分たちの持つ文化的背景、条件を理解、自覚する
自分たちの世界観、ルールを持つ
同じ目的を見つめることでつながっていると意識する。
・可視化できるものは徹底的に可視化
・可視化したものはしまいこまずにみえるようにする
・振り返りを定期的に
・振り返りを行うことで経験の類推精度が上がる
・違う視点で見ていることを理解、共有する。
##7.あなたにとって、チームとは何か?
大事なのは、「自分が」何故人を巻き込みたいのかを考えること。
##8.FAQ
・仲間を集める時に、やりたいことをどうやって発信するか?
→発信しないで一本釣りします
・チーム、には組織がどこか、は無関係
→KPTでも目的すり合わせでもいいから、チームとして形成できるようにする。
・どういう人と組みたいかを常に見ているというが、何を優先するの?
→プロジェクトによる。会社に入るひととサークルメンバーでは条件が違う
→同じ目的を見られるかどうかが大事。
#ダイアログ
ダイアログは、テーマごとに3~4人のグループを作って、その話題の中で一人ずつ話をしよう、というセッションです。なお、主張を押し付けたり、説得したり、論破したりするのは厳禁、というルールがあります。
興味があるグループに集中的に行けるので、聞いただけ、というのになりにくいのですが、4人で順番に話すため、時間が来るとぶつ切りになる感もあります。
課題を抱えている人が相互補完し合えるとかなり面白い試みになると思います。
#まとめ
ラブライブというアニメの感想にこんなのがあったのですが、
https://twitter.com/naofumi_takase/status/587981661855358977
多分これがリーダーに必要な要素なんだと思うんですよね、3つ目のセッション聞くと。
1つめ、2つめの話は、その後の運営テクニック。
そのテクニックにしても、期待マネジメントや、サプライズ誕生会なんかは、結局メンバーに踏み込んでいくことが必要なので、やっぱりリーダーにはパッションが必要なのだなぁと思わされる一日でした。