概要
http://www.naotosomese.com/360vr-video-new-years-meet-up/
日時:2017-01-09(月)
会場:東京都千代田区紀尾井町1-3東京ガーデンテラス紀尾井町17F
通常の勉強会ではなく交流会なので、会場もトークイベント的な雰囲気で進みました。用事があって後の懇親会には不参加だったのですが、どちらかといえばそっちの方がメインだったかもしれません。
登壇者自己紹介
ソニー:吉村さん
電通 :金林さん
渡辺課:渡辺さん
モデレーター:染瀬さん
第一部:(VRの)ストーリーテリングを考察する
最初に染瀬さんからテーマの提示
・360度動画とVRはイコールではない。動画はソースにはできるけどVRではない。
・映画初期からパノラマ的な動画を撮影する人はいた。
・万博レベルではやっていやたが、民生品(GoPro)でできるようになったのは最近。
・360度VRをどうやって作っていけばいいのかを話していきたい。
金林さん
- 普通のデザイナーに依頼すると、フレームありなしが大きく、無茶な設計をしがち。
- シナリオが先にないと難しい。
- 重要なポイント
- 酔わないための構成、カメラでできないことの把握など。
- 今まではカメラを寄せればアテンションできたけど、VRではできない。
- 視線の誘導をさりげなくやるのは難しい?
- リテラシーの格差が多い。一般の人はあまり周りを見ないで正面ばかり見る。前しか見ない人にいかに横を向かせるかが鍵。
- 本当に360度使う必要あるの?
吉村さん
- 以前PS2でVRタイトル出したけど、事業的には失敗でした。
- モーニング娘の12名の真ん中にVRカメラ置いたけど、40度ずつ12名が並んでた。
- 視点を保持することで、自分だけのPRビデオが作れる、というコンセプトだった。
- 結構飽きがくる。同じコンテンツを何回も見るかというと飽きる。
- 常にディレクターズカットを入れて(自動でもできるようにして)カスタムできるようにした。
- 一瞬踊り間違った中澤裕子に26回目で気づいたw
- 浜崎あゆみの場合一人しかいないので、20台のカメラで多視点映像化した.
- やっぱり飽きる?
- 京急の久里浜ー品川間を撮影したりした。
- ビジネス的にはうまくいかなかった。
渡辺さん
- VRでMV作ったりした
- ライブ会場でデモをファンに見てもらったけど、やっぱり前しか見ない。
- VRの映像は見てる側は置いてけぼりになる。
- 役割をはっきりさせてあげる(事前に説明しておく)と意外とVRの世界に入ってくれる
- どういう体験をしてもらうか明確なのが重要。
VRは主観の映像といわれるがどうか?
- 張り付くカメラと会場を俯瞰するカメラなど、いくつか役割を与えたカメラを用意して、いろんな視点(見てる側の視点位置移動)を収録したことはある。
- アーティストを見たい人にとっては、結局最前列視点しか意味がないし、カメラがステージ演出の邪魔になったりする。
- いい360度動画をうまく作るコツは、現場の監督といかに仲良くなるかw
- VR動画は現実にないものを演出としてうまく使わないと面白くない。
- VR内にリアルを表示してARっぽくすると違うかも。
VRでホラーってどうなの?
- ここで驚くよね、と思って撮ったらいまいちなケースとか。その場にお化けがいるのが気持ち悪い、と思わせたら勝ち?
- 心臓に悪すぎるのであまり見たくないのが本音。
- 勝手にシーンが進展してて、ストーリーに入っていけなかった。
VRカメラの歴史
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カメラが昔は大きかった。大きいとパララックスができて、近いと顔がつながらなくなる。
- GoProでかなり小さくなった。
- なのでミラー方式ができた。張り合わせがすごい楽。
- 魚眼レンズ背面に2つも、パララックスを小さくできた。
- その後12台で中心に光学中心があるようなプロトタイプ作った。
- GoProでかなり小さくなった。
-
最近のVRカメラ
- 一台系はまだ映像弱い。複数台使う事で、複数台の弱点をうまくつかうようなことを考えたりするようになった
- VRカメラのデザイン大事(邪魔にならないで、画質が担保できればいい)。
- コダックの2面カメラ。背面の方が画角が狭く、3通りの使い方ができる。
- Insta360はリアルタイムで4K30fpsがでるらしい。
- ローリングシャッター現象の低減とか。
- 一台系はまだ映像弱い。複数台使う事で、複数台の弱点をうまくつかうようなことを考えたりするようになった
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立体視カメラ:
- イスラエルのVUZEとか。
- NOKIA OZO(450ドルくらい)
- Google Odessay(16台GoPro円周配置。アルゴで視点位置を調整しながらステッチできる?)
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3D映像は?
- 渡辺さん:シルクドソレイユとアダルトしか見てないけど、疲れる感ある。
- 現状のディスプレイだと3Dにした瞬間解像度が落ちる。(視差分の表示をするから?)
- AVとか一人しか対象がいない場合は問題ないけど、多人数の一般映像だと難しい。
- 映画だとスクリーンと客が10数m離れてるので、顔がほぼ固定。
- お茶の間の立体テレビは画面が近すぎて難しい。
- 向き不向きもあるよね。今年、3Dの技術はかなり進む。これまでとは違うスティッチ(オプティカルスティッチ?)方式とか出てくる。
第二部:空間音声について
共栄エンジニアリングの村山さんが追加で登壇
空間音声って何?
- 去年youtubeが対応。視線を向けた方向に音が追従する技術
アンビソニックって?
- FB、youtube、Unityあたりで採用。ただし、同じものを指してない。
- Spatial Audio、3DAudio、バイノーラル、HRTF、アンビソニックなどの用語がいろいろ
理論的背景
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結局、音の聞こえ方をシミュレーションしてそれに近いように加工するということに尽きそう。
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バイノーラル
- 両耳の位置でこういう風に聞こえる、というのを再現する。
- 極端になると、ダミーヘッドで耳にマイクしこんで聞こえる音を録音してしまう。
- マイク位置が固定されているので、動かないなら効果は抜群。 -
アンビソニック
- B-format:全指向性マイク1つ+3つの方向の音源を撮っておくと、理論上どの指向性でも音が作れる。
- 人間の耳の再現にな数百チャンネル必要なことがわかっている。
- 指向性を変えられるので、インタラクティブに音を変えたい場合には有効。
- B-format:全指向性マイク1つ+3つの方向の音源を撮っておくと、理論上どの指向性でも音が作れる。
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Oculusも会社買収して空間音声の内製してるらしい。
- Insta360も対応を唄ってる。
その他の話題
360度ライブストリーミング:
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ライブを実装するVRカメラ
- 今日はGoPro6台+bananaFishで配信されてる。
- youtubeは対応済み。FBはもうすぐ対応。Twも対応を発表済み
- パナソニックのProject PHAROS
- RICOH R DK
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LiveのVRは回線です。回線が安定してないとダメ。
- ケーブルを動かすと断線するとか。あと熱。30分運用すると扇風機使うなどある。
- 宇多田ヒカルのライブ配信やろうとしたらサーバー落ちたとかある。
- MIROさんが見てるとこだけ解像度あげるとかやってた。
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GEARVRも長時間には耐えられない。
- PC VRじゃないと最高の体験はできない、になりそう。
CES感想(ちょうど前日まで開催されてた)
- IoTがフィーチャーされてた。あとLEDで立体に見えるのとか
- 360度ライブカメラは中国の深センの会社がたくさん出してる。
- VRもスマホ用ゴーグルは多かったが、Oclusu、Viveに代わるものはすぐは出なさそう。
HMDについて
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出し先がyoutube、スマホで見られるものが多い。
- 渡辺さん:簡易な体験とプレミアムな体験の線引きを考えるとGEAR VRは好きだけど、熱で落ちる。
- HMDをつけて生活できる空間ができたら変わってくるのかな。
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HMDのデザインは?
- 未来っぽいデザインで出てくるけど、それに合わせる服がない。
- HMDとTVの一番の違いはジャイロがあること。ディレイが10ms超えると酔う。
- 被り物じゃないと楽しめないコンテンツは出ると思うが、1時間ずっとつけっぱなしにできるコンテンツを作るのは容易ではない。
- Oclusuなどヘッドトラッキングがついてるものは慣れればいける。重いのでだんだん眼鏡型になるんじゃないかな。
- ライトフィールド
- 視点を計算する技術とか出てくると違うかも。
- デザインがオタク向け。女子高生がつけられるものが欲しい。
- ヘッドトラッキングの有無とデプスとかが取れると変わってきそう。
HMD以外のVRの見方は?
- ビジネス的には、プロジェクションマッピングなどの方がやりやすい。
- ただし、映像だと映し出してる感があるので、体験的には変わらない
- 皆で同時に何かを体験する、という点に可能性がありそう。
- フォースビュー?
- 8Kくらいの高解像度映像を見ると、脳が錯覚するするのか、立体的に見える気がする
- 頭で見るのと、空間に音声を書けるのではどちらがいいのだろう?
- 音はスピーカーをたくさん使ってスポット再生とかはやってる。もっと大きな使い方が理論的にはできるはず。
自己紹介タイム2
- その後の懇親会に向けて、参加者全員(100名近く)が一言自己紹介
感想
実は当時、共栄エンジニアリングの村山さんと仕事で関わりがあり、その縁で参加しようと思ったのですが、おかげで空間音声の概要というか基礎については大まかなイメージを掴めました。
VR動画の使い方、見せ方についても、いわゆるフレームがないことがメリットでもありデメリットでもあるという点や、見たい、見せたいコンテンツに合わせて360度動画と通常のカメラを使い分ける点は、個人的に普段から必要に思えるところでした。
その意味では、DVDの時はエロ動画が普及の起爆剤になりましたが、エロVRは二匹目のドジョウにならないだろうなぁとか思います・・・。
VRだと没入感が強い分、ストーリーテリングに気をつけないといけない、という話は、当時TOKYO VR MEETUPでも話題にされていたので、知っている方も多いと思います。FF7の頃から、おいてけぼりムービーはつまんないですしね。