【後編1】Express+PostgreSQL連携のモックアップを作ろう

この記事では、「前編」で構築したMac (Apple Silicon)上の環境（Node.js / PostgreSQL / PostGIS）を活用して、簡単なデータテーブルを用意し、ExpressアプリからDB接続してデータをやりとりする流れをモックアップとして作成してみます。次回「後編2」ではさらにReact+Leaflet連携やTwitter API取得を組み合わせたフロントエンドとの統合を進めましょう。

ゴール

PostgreSQLに「ナラティブ投稿」用のテーブルを作成
Express.jsのAPIサーバーからDBに接続 → データを読み書きするエンドポイントを実装
簡単なモックデータを挿入し、/api/postsなどのエンドポイントで取得できることを確認する

これにより、「後編2」でReactやLeafletからリクエストを送ってもDBアクセスが可能になります。

1. Postgresにテーブルを作成

1.1 データベースの選定

前編で my_database などを作成している場合を想定します。
今回はサンプルとして narrative_db というDB名を使ってもOKです。

# psqlでデータベースに入る
psql -d my_database

-- あるいは
# psql -d narrative_db

1.2 テーブル作成

まずはシンプルにナラティブ投稿を保存するテーブルを設計します。

CREATE TABLE IF NOT EXISTS posts (
  id SERIAL PRIMARY KEY,
  title TEXT,
  content TEXT,
  created_at TIMESTAMP DEFAULT NOW()
);

id: 自動採番
title: 投稿のタイトル（例：公園でのエピソード、など）
content: ナラティブ本文
created_at: 投稿日時

後編2で地理情報（geom）を追加し、PostGIS機能を活用する場合は後ほど列を拡張する形になります。

2. Expressプロジェクトの骨組み

2.1 ディレクトリ構成

my-project/
 ┣ server/
 ┃   ┣ index.js
 ┃   ┣ db.js
 ┃   ┗ package.json
 ┗ (その他：frontend/ など)

前編で用意したserverフォルダ内に index.js と db.js を作り、そこにDB接続やルーティングを実装します。

2.2 package.json

serverディレクトリで以下のようにnpm init -yしておき、必要な依存関係を追加します。

cd my-project/server
npm init -y
npm install express pg cors

express: サーバー本体
pg: PostgreSQL接続用
cors: フロントエンドからのアクセスを許可するためのミドルウェア

npmスクリプト例

package.json内に「"start": "node index.js"」などを設定し、起動しやすくしておく:

{
  "name": "server",
  "version": "1.0.0",
  "scripts": {
    "start": "node index.js"
  },
  "dependencies": {
    "express": "^4.18.2",
    "pg": "^8.10.0",
    "cors": "^2.8.5"
  }
}

3. DB接続ロジック: `db.js`

db.jsにはPostgreSQLへの接続プールを作るコードをまとめます。

// server/db.js
const { Pool } = require('pg');

// 環境変数やハードコードなどで管理
const pool = new Pool({
  user: 'postgres',        // 例: local環境なら 'postgres'
  host: 'localhost',
  database: 'my_database', // 例: my_database
  password: 'yourpassword',
  port: 5432
});

module.exports = pool;

実運用では .env ファイルに接続情報を入れ、dotenvパッケージを使って取り込む方法がおすすめです。

4. Expressサーバー: `index.js`

4.1 最小限のAPIエンドポイント

// server/index.js
const express = require('express');
const cors = require('cors');
const pool = require('./db');

const app = express();
app.use(cors());
app.use(express.json()); // JSONボディをパース

// テスト用: 動作確認
app.get('/api/hello', (req, res) => {
  res.json({ message: 'Hello from Express mockup!' });
});

// 1) すべての投稿を取得
app.get('/api/posts', async (req, res) => {
  try {
    const result = await pool.query('SELECT * FROM posts ORDER BY id DESC');
    res.json(result.rows);
  } catch (err) {
    console.error(err);
    res.status(500).json({ error: 'DB query error' });
  }
});

// 2) 新規投稿を作成
app.post('/api/posts', async (req, res) => {
  try {
    const { title, content } = req.body;
    const queryText = 'INSERT INTO posts (title, content) VALUES ($1, $2) RETURNING *';
    const values = [title, content];

    const result = await pool.query(queryText, values);
    res.json(result.rows[0]); // 作成されたレコードを返す
  } catch (err) {
    console.error(err);
    res.status(500).json({ error: 'DB insert error' });
  }
});

// サーバー起動
const PORT = process.env.PORT || 4000;
app.listen(PORT, () => {
  console.log(`Mockup server running on port ${PORT}`);
});

ここで**/api/posts** に対し GET すると、DB内の全てのレコードを取得し、
POST すると {title, content} のJSONを受け取り、DBにINSERTします。

5. 動作確認：モックデータ追加

5.1 サーバー起動

cd my-project/server
npm start
# => "Mockup server running on port 4000"

ブラウザで http://localhost:4000/api/hello を開いて {"message":"Hello from Express mockup!"} が返ればOK。

5.2 POSTリクエストを投げてみる

方法1: curlコマンド

curl -X POST -H "Content-Type: application/json" \
  -d '{"title":"初投稿","content":"これはテスト投稿です"}' \
  http://localhost:4000/api/posts

返ってくるJSON例:

{
  "id": 1,
  "title": "初投稿",
  "content": "これはテスト投稿です",
  "created_at": "2023-12-01T09:00:00.123Z"
}

方法2: VSCodeのREST ClientやPostman

GUI操作に慣れていれば、Postmanなどのツールで POSTリクエストを送るのもOK。

5.3 GETリクエストで一覧取得

curl http://localhost:4000/api/posts

登録されたレコードが配列形式で返却されるはずです。

6. Mockupのまとめと次ステップ

ここまでで、Express+PostgreSQLを用いたモックアップAPIが完成しました。
すでにテーブルpostsを使ってデータの読み書きができているので、後編2ではここに地理情報(PostGIS)やTwitterから取得したツイートを含めたり、React+Leafletのフロントエンドから呼び出して地図に可視化する工程に進みます。

よくあるトラブル

DB接続エラー: ユーザー名やパスワードが間違っている、Postgresが起動していないなど。
ポート衝突: 他のアプリが4000番を使っている場合は.envやpackage.jsonで変更可能。
CORS: フロントエンドが別ドメイン(localhost:3000など)になる場合、cors()を適切に設定する。

まとめ

テーブル設計とExpressエンドポイントにより、モックデータを操作するAPIができた
次回「後編2」では地図表示（Leaflet + React）やTwitter APIで収集したデータをDBに格納するフローを実装して、実際に画面上でナラティブを表示・投稿するアプリへ発展させます。

これで後編1は完了です。
データベースとAPIが問題なくやり取りできることを確認したら、いよいよ地図×SNS×ナラティブの本格実装に進んでみましょう。