#自己紹介と意気込み
私はシステム開発の内製化をミッションとするチームのマネージャーです。元開発者ですが今はコーディングをする機会がほぼありません。そのためプログラミングに関係ないプロセスや管理寄りの話になってしまうのですが、そこは敢えて空気を読まずに今年もAdventカレンダーに参加させていただきます!
今年、某ビジネススクールで学ぶ機会があり、そこで学んだ中で特に感銘を受けた**「デザイン思考」**をテーマに書きたいと思います。「デザイン思考」はビジネスプロセスではありますが、潜在的なニーズを見つけ、イノベーティブなソリューションを提供するためのプロセス、という点で、我々のような情シスの開発チームこそ取り入れるべきプロセスだと思ったからです。
#はじめに
まず、今回の記事を書くにあたり、2冊の書籍を参考にしました。
①デザイン思考が世界を変える
②まんがでわかるデザイン思考
①は途中まで読みましたが、心が折れたので理解に時間がかかりそうだったので、理解しやすそうな②に切り替えました。
(①は後日じっくり読みます!)
あらすじ
主人公はとあるカフェチェーンの店長。会社から「お前は創造力がない」と烙印を押され、黒字化不可能と言われ、見込みの無い店長が送り込まれる店舗に配属される所から始まり、デザイン思考を実践して会社を立て直した実績のある文具メーカーの会長とたまたま出会い、デザイン思考のアドバイスをもらいながら自分の店を繁盛させていく、という分かりやすいサクセスストーリーです。
#デザイン思考とは?
iPodの商品開発に深く関わったことで知られるデザインコンサルティング会社であるIDEO社(アイディオ)が提唱するビジネスプロセスです。これまでイノベーションを起こすような商品開発は、一部の天才による閃きであり、普通の人には思いつかないものだと考える人が多かったのですが、本当はそんなことはなく、やり方を知っていれば誰にでもできるものであるという考えのもと、画期的なソリューションを設計(デザイン)する方法をビジネスプロセスとして定義したのが「デザイン思考」です。
デザイン思考における3つのプロセス
1) 着想:ソリューションを探り出すきっかけになる潜在的なニーズを発見するプロセス
2) 発案:アイデアを創造、構築、検証するプロセス
3) 実現:アイデアをプロジェクトルームから市場へと導くプロセス
#着想
着想とは、潜在的なニーズを発見するプロセスです。
ニーズには**「表面化したニーズ」と「潜在的なニーズ」**という2種類のニーズがあり、デザイン思考ではもちろん後者がターゲットです。ちなみに潜在的なニーズを満たすソリューションは、市場に出回っていないモノやサービスであることが多いため、イノベーションを起こせる可能性が高いそうです。
イノベーションの例としてよく挙げられる有名な話ですが、2つのニーズの違いがとても分かりやすいので紹介します。
◆課題
人々により良い移動手段を提供する(まだ移動手段が馬だった時代)
◆表面化したニーズに対するソリューション
今よりも速い馬の提供
デザイン思考では、斬新で画期的なソリューションを提供したいなら、顧客に要望を聞くのはNGです。顧客から要望を聞くと、**「もっと速い馬が欲しい」**という回答しか返ってこないからです。
これ、衝撃でした。
我々(少なくとも私)はこれまで要件定義で顧客の声を真摯に受け止めてシステムを作ってきましたが、頑張ってちょっと速い馬を育てたり、速いと評判の馬を外国から輸入したり、餌としてより栄養価の高いニンジンを提供することに注力していたのかもしれません。。
じゃあ、要望を聞かずにどうやってニーズを把握すればいいの!? > 観察します!
顧客の言動を観察することにより、様々なバイアスに邪魔されずに潜在的なニーズを明らかにすることができます。
これを実現するため、デザイン思考では便利なツールが用意されています。
観察のためのツール:共感マップ
行動と感情を紐付けた観察記録を俯瞰し、潜在的ニーズを発見するためのツールです。
1. 観察対象を観察し、4つの項目に付箋を貼っていく。
2. 共感マップを俯瞰的に眺める。
3. 意外性や予想外、矛盾を感じるようなものがあれば、そこに潜在的なニーズがある可能性が高い。
※付箋の色
悲しみ、怒り、疲れなどネガティブ:青
喜び、リラックスなどポジティブ:赤
意味不明な行動や気になった行動:黄
他にもフレームワークが紹介されてますが、取っ掛かりとしては共感マップが一番シンプルで取り組みやすいと思います。
#最後に
ということで、**「着想」のプロセスでは観察により潜在的なニーズを発見するというお話でした。次は「発案」のプロセスに入るのですが、締め切りの都合上、二部作にすることにしました。次回は「発案」、「実現」**のプロセスを書きたいと思います!
我々開発チームは、速い馬を提供するチームではなく、自動車を提供できるチームにならなければならないと強く感じました。
最後は、デザイン思考の真髄を言い表した本田宗一郎さんの名言で締めたいと思います。