#はじめに
どーも。Advent Calendar 24日目の記事となります。よろしくお願いします。
最近リーンスタートアップを学ぶ機会がありました。思いのほか腹落ちする内容でしたので、備忘録も兼ねてアウトプットしておきたいと思います。この記事を書くにあたり、以下の書籍およびリーンスタートアップを解説しているいくつかのサイトを参考にしました。
THE LEAN STARTUP(Amazon)
##この記事では
前半はリーンスタートアップについてざっと説明し、後半はリーンスタートアップの観点でアニメONE PIECEを考察してみたいと思います。
#リーンスタートアップとは
リーン・スタートアップとは、トヨタのリーン生産方式にちなんだもので、ざっくり言うと
最低限の製品を作成 ⇒ 顧客に提供 ⇒ 顧客の反応を見て改善
という流れを高速でループさせる方式です。スタートアップはとにかくこのループを回して製品を改善していくべきで、調達した資金が尽きる前にどれだけこのループを回せるかが成功の鍵になるそうです。無駄な待ち時間や作業を限りなく排除することが、基本コンセプトとなります。
#リーンスタートアップのプロセス
まずは、リーンスタートアップのプロセスを簡単にまとめます。
##計画はリーンキャンバスで
プロジェクト計画は「リーンキャンバス」という1枚のフォーマットに収めます。数十ページや百ページ超えのプロジェクト計画書は不要です。
スタートアップは先行きが不透明であり、リーンキャンバスに記載する計画は仮説に基づくものになりますが、それはそれで問題ありません。軌道修正を行っていく前提なので。スタートアップにおいて、スタートから最終的なゴールまで完璧な計画を立てる事自体が無意味という考え方です。
※リーンキャンバス自体の説明は様々なサイトで解説されているので割愛します。
実践リーンスタートアップより引用
##計画を実行する
仮説⇒検証⇒学びのループを繰り返し、リーンキャンバスで定義した計画をブラッシュアップしながら進めていきます。検証の結果、仮説が間違っていた場合は方針変更です。ちなみに、外れた時に一番リスクが大きい仮説から検証していきます。後で致命的な欠陥が覚した場合、それまでに使った時間と資金は完全に無駄になりますからね。
リーンスタートアップには、このループを無駄なく高速に回すためのテクニックが用意されています。
■MVP(Minimum Visible Product)
仮説を検証できる最小機能のみを備えたプロダクトをMVP(Minimum Visible Product)と呼びます。MVPにもいくつかパターンがありますが、ここでは割愛します。
■Innovation Accounting(革新会計)
不確実性の高いスタートアップにおいて、「本当に成長しているのか?」を正しく計測するためには、従来の基準は役に立たない、「虚栄の評価基準」などとめちゃくちゃディスられます。「◯◯週間で登録ユーザーが✕✕人突破!」などというレポートは既読スルーです。
具体的に推奨されているのはこれ。AARRR。他にもあると思いますが、この辺りはまだ理解が浅いので、今後実践しながら良いやり方を確立していければ良いかなと思ってます。
Acquisition(獲得)= 世間一般の人を顧客に変える要素
Activation(活性化)= 新規顧客をファンに変える要素
Retention(保持)= 顧客の忠誠度を高め、長期的な関係構築を可能にする要素
Referral(紹介)= 既存顧客が新規顧客を紹介してくれる数
Revenue(収益)= 企業の収益に顧客が大きな影響を及ぼす行動
頭文字を取ってAARRRなのですが、海賊の叫び声に似ていることから「パイレーツ・メトリクス」とも呼ばれているそうです。
■Pivot(戦略転換)
検証の結果、製品のチューニングだけでは改善できないと判断した場合、戦略を転換することをPivotと呼びます。
YoutubeもPivotで成功した例です。もともとは出会い系動画サイトとして始まりましたが、出会いとは関係ない動画をアップする人が出始め、「単なる動画共有」にフォーカスしたサービスへとPivotした結果、急激に成長したそうです。
以上が、リーンスタートアップを超ざっくりとまとめた説明となります。ちなみに、リーンキャンバスの推移を表現した下の図が、リーンスタートアップのアプローチを上手く表してると思います。いくつかの案を出して仮説の検証を進めていき、本当に投資する価値のあるモデルにたどり着くイメージ。
出典:5 takeaways van Running Lean-auteur Ash Maurya
#「ONE PIECE」でリーンスタートアップをおさらいする
「リーンスタートアップ」を読んでいたところ、ふと、ルフィはリーンスタートアップのアプローチをうまく活用しているのでは?と思ったので、これまで説明した内容を、ワンピースに当てはめておさらいしたいと思います。海賊の要素(パイレーツ・メトリクス)もちょっと出てきましたし。
##仮説⇒検証⇒学びのループ
仮説 | 検証 | 学び |
---|---|---|
強い仲間がいれば海賊王になれる | ゾロと共に航海を始める | 航海士がいないと行きたい場所に行けないのでナミを仲間にする |
強い仲間と航海士がいれば海賊王になれる | ナミも加わり航海を再開する | コックがいないと食事に困るので、サンジを仲間にする |
強い仲間と航海士とコックがいれば海賊王になれる | サンジも加わり航海を再開する | 船医がいないと健康管理にこまるのでチョッパーを仲間にする |
といった感じで仮説と検証、学びによる改善を繰り返し、麦わらの一味は順調に力を付けていきます。 |
##MVP(Minimum Visible Product)
[ウォーターフォール型]
もしも海賊王になる壮大な計画を立ててウォーターフォールで進める場合、全ての作業をWBSに起こしてスケジュールを作成し、計画に従ってプロジェクトを進めていくことになります。
・◯月◯日:資金調達完了
・◯月◯日:クルー募集開始
・◯月◯日:クルー採用期限
・◯月◯日:航海スタート
・◯月◯日:グランドライン
・・・
・◯月◯日:ラフテル到着
・◯月◯日:海賊王になる
ちょっと考えただけでもリスクだらけですし、航海を始める頃には周りの海賊団と既に大きく差を付けられてる気が。。
[リーンスタートアップ型]
ルフィはリーンスタートアップを採用しました(あまり先の事を考えてない説も)。「航海をしながらでも旅の準備は可能」という仮説の下、「一人で航海を始める」というMVPによりスタートします。その後は「仮説⇒検証⇒学びのループ」で記載したとおり、麦わらの一味というプロダクトを改善していきます。
##Innovation Accounting
スタートアップではない、白ひげ海賊団のような規模であれば、調達した財宝の価値や新たに採用したクルーの数といった資産、クルーへの報酬や生活費等の支出による一般的な会計基準で評価をしても良いと思いますが、スタートアップである麦わらの一味の場合、そのような基準で評価しても成長の度合いを正確に測ることはできません。
リーンスタートアップを採用する麦わらの一味は、トータルバウンティー(賞金首全員の懸賞金の総額)を評価基準とし、いかにトータルバウンティーを上げるかに注力します。実力、経験を高い精度で計測することができる良い指標だと思われます。順調に成長してますね。
##Pivot
プロダクトのチューニングを重ね、順調に成長していた麦わらの一味ですが、海軍大将の黄猿と対峙した際、バーソロミュー・くまの能力により散り散りになり、事実上崩壊します。恐らくこの事件により、「仲間が強くなくても自分が強ければ一味を守れる」というルフィの仮説が崩れたと思われます。
この学びを受け、「航海を2年間ストップし、個々の能力を高める」という方針にPivotします。結果は成功で、トータルバウンティおよび成長率を見ても、定量的に成長が評価できます。ドフラミンゴファミリー討伐以降、トータルバウンティは大きく伸びています。
#まとめ
かなりポイントを絞ってリーンスタートアップを説明しました。ちゃんと解説しようとすると、一つの記事にまとめるのは不可能なボリュームですので、もし興味がある方は書籍や関連サイトを参照いただければと思います。
なお、リーンスタートアップはスタートアップ企業だけでなく、企業内で新サービスや新組織の立上げる際にも活用できるそうなので、私達の開発チームでも是非取り入れて行きたいと考えてます。
最後に、ルフィが書いたリーンキャンバスを公開します。
フォーマット無視っ!!!
いよいよ明日はAdvent Calendar最終日です。
Merry Christmas!!