その時 情報処理技術者試験界隈に 激震が走った
出オチみたいなタイトルは置いておいて、本日付けでIPAから次のようなプレスリリース1が出ましたね。
ここではこのプレスから内容を読み解き、来年(2023年:令和5年)春からの基本情報技術者試験についての内容を勝手に予測してみた記事を書きました。
なお、現行試験(2022年現在~2022年秋まで)の基本情報技術者試験についてはこの記事を参考にして下さい。
変更点その1 いつでも受験できる(らしい)
「FE、SGを随時受験できるように変更します。」
だそうです。
ただ、ベンダー試験でもありがちですが一定期間毎の受験回数ポリシーみたいなのは制定される可能性が高いと思いますので、無限に受けまくれるわけではないだろうなぁと考えています。
お布施を払いまくるのもなかなかお財布的には辛いし、心も折れるので1発で抜けちゃいたい所ですね。
変更点その2 午前(科目A試験)の問題数が減った 時間ももっと減った
先のプレス1には科目A試験(今まで午前と言っていた試験)の試験時間、問題数の変更が記載されています。
2022秋CBTまで | 2023春CBTから | |
---|---|---|
試験時間 | 150分 | 90分(40%減) |
出題数 | 80問 | 60問(25%減) |
出題範囲 | --- | 現在の午前試験に準じます。 |
また、先のプレス1には「採点は、IRT(Item Response Theory:項目応答理論)に基づく方式に変更します。」とも記載がありますね。
これらの内容を総合すると、次の様な試験になると考えられます。
まず出題比率は一緒で、出題数だけがそれぞれ同様に減るだろうと想定されます。
分類 | 出題数 | 比率 |
---|---|---|
テクノロジ系 | 50問→37~8問? | 62.5% |
マネジメント系 | 10問→7~8問? | 12.5% |
ストラテジ系 | 20問→15問? | 25% |
また、これまでであればどの問題を解答しても得られる点は同一で、6割取れれば合格ラインとなっていましたが、IRTによる傾斜配点が採用される事から、問題数ベースでは6割取れていても足切りになる というケースが今後は出てくると考えられます。出題比率の高い問題、平均正答率の高い問題を確実に落とさないように準備をする必要が出てきそうですね。
またIRT試験では一般的なような気がしますが、新問をきっちり拾えると、これまで以上にメリットが大きそうです。(皆が取れない問題を取れる受験者は統計上、より優秀だろうという判断になるので。)
変更点その3 午後(科目B試験)の問題が大幅に変更された
基本情報の最難易度であったセクションですが、今回結構大幅に変わるようです。
- 現行(2020年CBT試験から2022年CBT試験まで)
問番号 | 必須選択 | 選択数 | 配点 |
---|---|---|---|
問1:情報セキュリティ | 〇 | 1 | 20 |
問2~5 | 2 | 15 | |
問6:データ構造及びアルゴリズム | 〇 | 1 | 25 |
問7~11:ソフトウェア開発(プログラム言語) | 1 | 25 |
※問2~5は以下の設問
-
ハードウェア or ソフトウェア or データベース or ネットワーク or ソフトウェア設計 から3問
-
プロジェクトマネジメント or サービスマネジメント or システム戦略 or 経営戦略・企業と法務 から1問
-
新試験(2023年CBT試験から)
まず、大問が小問になり、全問必須となるようです。
試験時間も150分から100分に短縮されます。
先のプレス1には次の様に記載があります。
科目B試験 これまで必須解答としていた「情報セキュリティ」と「データ構造及びアルゴリズム(擬似言語)」の二つの分野を中心にした構成に変更します。
また、個別プログラム言語(C、Java、Python、アセンブラ言語、表計算ソフト)による出題は、普遍的・本質的なプログラミング的思考力を問う擬似言語による出題に統一します。
具体的に書くと次のような形でしょうか。(出題比率は推定です。こっちは科目A試験と異なり、6割きっちり取れればクリアのようですね。)
問番号 | 配点 |
---|---|
問1~12?:データ構造及びアルゴリズム | 各5 |
問13~20?:情報セキュリティ | 各5 |
なお、FE、SGの科目B試験に関して、サンプル問題を公開します。
基本情報については公開されてますね。
擬似言語については慣れておく方が良さそうですね。
また上では4割ほどは情報セキュリティ設問かな?と思って書いていたのですが、
サンプル問題を見ているとデータ構造及びアルゴリズムが5問、情報セキュリティが1問という割合になっているため、セキュリティの問題比率はより少ない可能性がありますね。
情報セキュリティはどちらかというと文章題に近く、一般的なリテラシーがあれば解ける問題が多い印象を私としては持っていますので、擬似言語対策を本当にしっかりやっておかないと新試験では通らない可能性がありますね…
試験変更プレスを見て思ったこと
なんか個人的にはこのプレスをみて、私としては先祖返り感を感じました。
元々、かつての基本情報技術者試験はマネジメントレイヤーやストラテジレイヤーの設問が弱い(たしか分野によっては全くなかったような…)時期がありました。
その後ITSSなどの整備に伴ってそういったレイヤーの問題も出題されるようになった という歴史的な経緯を経て現在の形になっているのですが、午前試験は範囲を変えずに今の知識レベルを求め、午後試験は昔の試験の雰囲気+現在求められやすいセキュリティについての設問を足した構造とします という所に着地させた点に、IPAとしての基本情報技術者試験の立ち位置、バランス感が現れているのかな という気がします。
個人的には情報技術の進化、変化というのはユーザにとっては平易にITが使えるようになる事とセットであり、時間が経つとエントリーに近い資格試験は簡単になる というのは現実的には正しいんじゃないかな… という気はしています。
ただその反面、データ構造や擬似言語によるアルゴリズム、セキュリティの設問を大幅に増やし、必須とすることで締める所を締めている為、今回の試験範囲の変更は人によっては簡単になったと感じ、人によってはめちゃくちゃキツく感じるのではないかな と思っています。
おまけ(セキュリティマネジメント試験の話)
なお、上にもちょろっと書きましたがセキュリティマネジメント試験も同様に通年受験可能に変更されるようです。
試験も同様に変更され、問題がすべて小問に変更、試験時間が1度に集約され120分、出題数が60問になる という事なので、現在の午前試験50問は40問程度に、午後試験大問3問を小問に分解し、20問出題する といった様な出題となりそうな気がしています。
こちらも来年からどう出るんでしょうね。