1. フーリエ変換(Fourier Transform)
✅ 定義(Definition)
時間領域関数 $f(t)$ に対するフーリエ変換 $F(\omega)$ は次のように定義されます:
$$
F(\omega) = \mathcal{F}[f(t)] = \int_{-\infty}^{\infty} f(t) e^{-j\omega t} , dt
$$
- $\omega$:角周波数(rad/s)
- $j = \sqrt{-1}$:虚数単位
✅ 逆変換(Inverse Fourier Transform)
$$
f(t) = \frac{1}{2\pi} \int_{-\infty}^{\infty} F(\omega) e^{j\omega t} , d\omega
$$
2. フーリエ変換の性質(Properties)
性質名 | 数式表現 | 意味・直観 |
---|---|---|
線形性 | $\mathcal{F}[af(t) + bg(t)] = aF(\omega) + bG(\omega)$ | 加重和のフーリエ変換は和の加重変換 |
時間シフト | $\mathcal{F}[f(t - t_0)] = e^{-j\omega t_0} F(\omega)$ | 時間遅延は位相回転を生む |
周波数シフト | $\mathcal{F}[f(t) e^{j\omega_0 t}] = F(\omega - \omega_0)$ | 複素指数による変調はスペクトルの平行移動 |
畳み込み | $\mathcal{F}[f * g] = F(\omega) \cdot G(\omega)$ | 時間領域の畳み込みは周波数領域の積 |
微分 | $\mathcal{F}[f^{(n)}(t)] = (j\omega)^n F(\omega)$ | 微分は周波数領域での次数強調を意味 |
3. フーリエ変換の収束条件
関数 $f(t)$ がフーリエ変換可能であるためには次のいずれかが必要:
(1)絶対可積分
$$
\int_{-\infty}^{\infty} |f(t)| , dt < \infty
$$
(2)平方可積分(有限エネルギー)
$$
\int_{-\infty}^{\infty} |f(t)|^2 , dt < \infty
$$
4. ラプラス変換(Laplace Transform)
✅ 定義(Definition)
$$
F(s) = \mathcal{L}[f(t)] = \int_0^\infty f(t) e^{-st} , dt \quad,\quad s = \sigma + j\omega
$$
- $s$:複素周波数(複素平面上の点)
- $\sigma$:減衰因子、$\omega$:角周波数
✅ 関係性:フーリエ変換はラプラス変換の特殊ケース
$$
F(j\omega) = \int_0^\infty f(t) e^{-j\omega t} , dt \quad \text{(( \sigma = 0 ) の場合)}
$$
5. 因果系(Causal System)
物理系では 因果性(causality) が重要:
$$
f(t) = 0 \quad \text{for } t < 0
$$
- 入力のない時点では出力が存在しないことを意味
- この性質により、ラプラス変換(右側積分)が自然に導入される
6. 周波数領域表現の意味
表現形式 | 特徴 | 変換形式 |
---|---|---|
フーリエ変換 | 信号のスペクトル解析・周波数構造を捉える | 時間無限 |
ラプラス変換 | 安定性・初期値問題を含む一般化的周波数応答 | 複素周波数全体 |
Z変換(離散系) | 離散信号の解析、差分方程式に対応 | 離散時間用複素変換 |
7. グラフ的・直観的イメージ(補足)
- フーリエ変換:信号を無限長の正弦波の合成とみなす
- ラプラス変換:正弦波 + 指数関数で重みを変える→成分の減衰や発散も扱える
✅ 絶対可積分関数(Absolutely Integrable Functions)
● 定義 / Definition
実関数または複素関数 $f : \mathbb{R} \to \mathbb{C}$ に対して、次の積分が有限であるとき:
$$
\int_{-\infty}^{\infty} |f(t)|, dt < \infty
$$
このとき、関数 $f$ は実数全体 $\mathbb{R}$ 上で**絶対可積分(absolutely integrable)**であるという。
✅ 関数空間としての表現:$L^1(\mathbb{R})$
この性質を満たす関数全体の集合は、ルベーグ可積分関数の空間 $L^1(\mathbb{R})$ として定義される:
$$
L^1(\mathbb{R}) := \left{ f : \mathbb{R} \to \mathbb{C} \mid \int_{\mathbb{R}} |f(t)|,dt < \infty \right}
$$
この空間は、**ノルム空間(Banach space)**となり、ノルムは以下のように定義される:
$$
|f|{L^1} := \int{\mathbb{R}} |f(t)|,dt
$$
✅ 直観的理解 / Intuition
- $|f(t)|$ の「面積」が有限であるということ。
- 面積(符号無視した総和)が収束すれば、関数全体が「有限エネルギー的な広がり」を持つとみなされる。
✅ 応用上の意義
応用領域 | 意義 |
---|---|
フーリエ解析 | $f \in L^1(\mathbb{R})$ なら、フーリエ変換 $\mathcal{F}f$ が定義できる。 |
畳み込み積分 | $f, g \in L^1$ なら、$(f * g)(t) := \int f(t - \tau)g(\tau),d\tau \in L^1$ が保証される。 |
関数解析 | $L^1(\mathbb{R})$ は可分バナッハ空間であり、双対空間は $L^\infty(\mathbb{R})$。 |
測度論 | ルベーグ測度下での収束定理(優収束定理など)の適用対象となる。 |
✅ 他の空間との比較(例)
空間 | 定義 | 意味 | ||
---|---|---|---|---|
$L^1$ | ( \int | f(t) | ,dt < \infty ) | 面積有限 |
$L^2$ | ( \int | f(t) | ^2,dt < \infty ) | エネルギー有限(信号処理で重要) |
$L^\infty$ | ( \text{ess sup} | f(t) | < \infty ) | 有界関数 |
✅ $L^1$ と $L^2$ の包含関係
● 定義の再確認
-
$L^1(\mathbb{R})$:絶対可積分関数の空間
$$
\int_{\mathbb{R}} |f(t)|,dt < \infty
$$ -
$L^2(\mathbb{R})$:平方可積分関数(有限エネルギー関数)の空間
$$
\int_{\mathbb{R}} |f(t)|^2,dt < \infty
$$
● 包含関係(Inclusion)
一般には、
$$
L^1(\mathbb{R}) \not\subset L^2(\mathbb{R}) \quad \text{かつ} \quad L^2(\mathbb{R}) \not\subset L^1(\mathbb{R})
$$
である。
● 例
- $f(t) = \frac{1}{\sqrt{|t|}} \in L^1 \setminus L^2$
- $f(t) = \frac{1}{1 + t^2} \in L^2 \setminus L^1$
したがって、両者の包含関係は互いに包含しない(交わるが包含しない)。
✅ 近似恒等列(Approximate Identity) in $L^1$
● 定義
関数列 ${\phi_\epsilon}_{\epsilon>0} \subset L^1(\mathbb{R})$ が近似恒等列(approximate identity)であるとは、以下を満たす:
- $\int_{\mathbb{R}} \phi_\epsilon(x),dx = 1$(各 $\epsilon$ に対して)
- $\phi_\epsilon(x) \geq 0$
- $\lim_{\epsilon \to 0} \int_{|x| > \delta} \phi_\epsilon(x),dx = 0$(任意の $\delta > 0$ に対して)
このとき任意の $f \in L^p(\mathbb{R})$($1 \leq p < \infty$)に対して、
$$
f * \phi_\epsilon \to f \quad \text{in } L^p \text{ norm as } \epsilon \to 0
$$
● 例(標準的なガウス関数)
$$
\phi_\epsilon(x) = \frac{1}{\sqrt{2\pi\epsilon}} \exp\left(-\frac{x^2}{2\epsilon}\right)
\in L^1(\mathbb{R})
$$
✅ コンパクト台 $C_c^\infty$ と $L^1$ の関係
● 記号の定義
- $C_c^\infty(\mathbb{R})$:無限回微分可能かつコンパクト台をもつ関数の集合(テスト関数)
● 関係
-
任意の $\phi \in C_c^\infty(\mathbb{R})$ は台が有界かつ連続であるため、必ず $L^1(\mathbb{R})$ に属する:
$$
C_c^\infty(\mathbb{R}) \subset L^1(\mathbb{R}) \cap L^2(\mathbb{R}) \cap \cdots
$$ -
かつ密である(dense):
$$
\forall f \in L^p(\mathbb{R}),\ \exists {\phi_n} \subset C_c^\infty(\mathbb{R})\ :\ \phi_n \to f\ (\text{in } L^p \text{ norm})
$$
● 意義
- フーリエ解析や分布論(超関数)の基盤を成す。
- 多くの関数は、$C_c^\infty$ によって近似可能(モローイダ(Mollifier)を用いた近似など)
✅ 補足:まとめ表
空間 | 定義 | 包含関係 | 密度性 | ||
---|---|---|---|---|---|
$L^1(\mathbb{R})$ | ( \int | f | < \infty ) | 一般に $\not\subset L^2$ | $C_c^\infty \subset L^1$, 密 |
$L^2(\mathbb{R})$ | ( \int | f | ^2 < \infty ) | 一般に $\not\subset L^1$ | $C_c^\infty \subset L^2$, 密 |
$C_c^\infty$ | コンパクト台, 無限回微分可 | $\subset L^1 \cap L^2$ | 任意の $L^p$ において密 |
✅ 1. 伝達関数(Transfer Function)の定義と背景
● 線形時不変(LTI: Linear Time-Invariant)システムの時間領域モデル
入力関数 $f(t)$、出力関数 $y(t)$ に対し、LTIシステムはインパルス応答関数 $h(t) \in \mathcal{S}'(\mathbb{R})$ を用いて次のように表される:
$$
y(t) = (h * f)(t) = \int_{-\infty}^\infty h(\tau) f(t - \tau), d\tau
$$
これは畳み込み演算子による表現である。
● 周波数領域における表現(Fourier/Laplace)
■ フーリエ変換による定義(通常は $\omega \in \mathbb{R}$):
$$
\mathcal{F}y = \mathcal{F}h * f = \mathcal{F}h \cdot \mathcal{F}f
$$
したがって、伝達関数 $H(\omega)$ は次で定義される:
$$
H(\omega) := \mathcal{F}h
$$
■ ラプラス変換による定義(制御・回路理論においては $s \in \mathbb{C}$):
$$
H(s) := \mathcal{L}h = \int_0^\infty h(t) e^{-st} dt
$$
ここで、$s = \sigma + j\omega$ は複素領域に属し、安定性解析や因果性条件において重要である。
✅ 2. 関数空間と伝達関数の関係
● 畳み込みの可積分条件($L^1(\mathbb{R})$ 空間)
$$
f, h \in L^1(\mathbb{R}) \Rightarrow (f * h)(t) = \int_{-\infty}^\infty f(\tau) h(t - \tau), d\tau \in L^1(\mathbb{R})
$$
-
フーリエ変換が定義される:
-
よって、伝達関数 $H(\omega)$ は $h(t) \in L^1$ のフーリエ像として定義される。
● $L^2(\mathbb{R})$ 空間(有限エネルギー信号)
-
$f, h \in L^2(\mathbb{R})$ のとき、畳み込み $f*h \notin L^2$ となることがあるが、以下が成り立つ:
$$
|f|{L^2} = |\mathcal{F}[f]|{L^2}
$$ -
このとき、伝達関数 $H(\omega)$ による演算:
$$
\mathcal{F}y = H(\omega) \cdot \mathcal{F}f
$$は、$L^2$ 上の乗算演算子としての線形性・有界性の研究対象となる。
● $C_c^\infty(\mathbb{R}) \subset L^1 \cap L^2$
-
任意の $f \in L^p(\mathbb{R})$($1 \le p < \infty$)は、近似恒等列 $\phi_n \in C_c^\infty$ を用いて:
$$
f_n = f * \phi_n \in C^\infty(\mathbb{R}), \quad f_n \to f \text{ in } L^p
$$ -
よって、滑らかでコンパクト台をもつ関数 $C_c^\infty$ を用いれば、伝達関数の時間領域での近似計算が可能。
✅ 3. 数学的構造と空間関係図(簡略)
$$
\boxed{C_c^\infty(\mathbb{R}) \subset L^1(\mathbb{R}) \cap L^2(\mathbb{R})}
$$
- $L^1(\mathbb{R})$:絶対可積分であり、畳み込み閉
- $L^2(\mathbb{R})$:有限エネルギー関数、ユニタリ性が重要
- $C_c^\infty$:近似恒等列の母集団、分布論で中心的
✅ 4. 補足:制御工学との接続
表現 | 内容 |
---|---|
$H(s) = \frac{Y(s)}{U(s)}$ | ラプラス変換による伝達関数 |
$H(\omega) = \mathcal{F}h$ | フーリエ変換による周波数応答 |
$h(t) \in L^1$ | 畳み込み積分の存在 |
$h(t) \in C_c^\infty$ | 滑らかで実装しやすいモデル |
$H(s) \in \mathcal{H}^2(\mathbb{C}_+)$ | Hardy空間に属すとき、因果性・安定性あり |
✅ 1. $L^p$ 空間の補完性と Banach 構造
● 定義と補完性(完備性)
$$
L^p(\mathbb{R}) = \left{ f : \mathbb{R} \to \mathbb{C} ;\middle|; |f|p := \left( \int{\mathbb{R}} |f(t)|^p dt \right)^{1/p} < \infty \right}
\quad (1 \leq p < \infty)
$$
- このノルムにより定められる距離空間 $(L^p, |\cdot|_p)$ は Banach空間(完備ノルム空間) である。
- $L^2(\mathbb{R})$ の場合は特に Hilbert空間(内積による構造をもつ)であり、解析・制御において中心的役割を果たす。
✅ 2. Hardy空間 $H^2$、Meromorphic関数と伝達関数
● Hardy 空間 $H^2(\mathbb{C}_+)$
$$
H^2(\mathbb{C}+) = \left{ F : \mathbb{C}+ \to \mathbb{C} ;\middle|; F \text{ は } \mathbb{C}+ \text{ 上正則(holomorphic)}, \sup{\sigma > 0} \int_{-\infty}^{\infty} |F(\sigma + j\omega)|^2 d\omega < \infty \right}
$$
- 周波数領域 $\omega$ で平方可積分かつ、右半平面で正則な関数全体
- ラプラス変換像(因果系)を取り扱う関数空間
● Meromorphic 関数と伝達関数
-
工学的伝達関数 $H(s)$ はしばしば 有理型関数(有界な極と零点を持つ meromorphic function):
$$
H(s) = \frac{b_m s^m + \cdots + b_0}{a_n s^n + \cdots + a_0}, \quad a_0 \neq 0
$$ -
零点・極の位置が 安定性 や 周波数応答 を支配する。
-
可制御性・可観測性の解析は、これらの極・零点の配置に密接に関係。
✅ 3. 現代制御理論:可制御性・可観測性との接続
● 状態空間表現
$$
\begin{aligned}
\dot{x}(t) &= A x(t) + B u(t) \
y(t) &= C x(t) + D u(t)
\end{aligned}
$$
- $x(t) \in \mathbb{R}^n$:状態ベクトル
- $u(t) \in \mathbb{R}^m$:入力
- $y(t) \in \mathbb{R}^p$:出力
● 可制御性(Controllability)
-
任意の初期状態 $x(0)$ から有限時間で任意の状態 $x(T)$ に到達できる条件。
-
可制御行列:
$$
\mathcal{C} = \begin{bmatrix} B & AB & A^2B & \cdots & A^{n-1}B \end{bmatrix}
$$$$
\text{rank}(\mathcal{C}) = n \iff \text{完全可制御}
$$
● 可観測性(Observability)
-
出力 $y(t)$ から初期状態 $x(0)$ を一意に復元できる条件。
-
可観測行列:
$$
\mathcal{O} = \begin{bmatrix} C \ CA \ CA^2 \ \vdots \ CA^{n-1} \end{bmatrix}
$$$$
\text{rank}(\mathcal{O}) = n \iff \text{完全可観測}
$$
● 周波数領域での制御性
-
伝達関数の極(pole)・零点(zero)の構造により可制御性・可観測性を判定する手法も存在:
- 不可制御モード ⇒ 伝達関数に現れない極
- 不可観測モード ⇒ 出力に影響しない極
✅ 4. 接続図:機能解析と制御理論の対応
概念(解析) | 概念(制御) |
---|---|
$L^2$ 空間 | 有限エネルギー信号 |
Hardy 空間 $H^2$ | 安定な因果系のラプラス像 |
Meromorphic関数 | 有理型伝達関数 |
Hilbert空間構造 | 最小二乗推定、最適制御理論 |
Banach空間構造 | 安定性の基礎理論 |
$C_c^\infty \subset L^1 \cap L^2$ | 近似恒等列で系近似可 |
✅ 1. 可制御性・可観測性グラミアン(Gramians)と幾何学的解釈
● 可制御性グラミアン $W_c$
LTI系(可制御):
$$
\dot{x}(t) = A x(t) + B u(t)
$$
に対し、以下を定義:
$$
W_c = \int_0^\infty e^{At} B B^\top e^{A^\top t} dt
$$
- $A$ の固有値が全て左半平面にあるとき、この積分は収束する。
- $W_c \succ 0$(正定値) ⇔ 完全可制御
幾何学的意味:
- 初期状態 $x(0)$ に対して、入力 $u(t)$ によって移動できるエネルギー領域の楕円体を表す。
- 楕円体の「大きさ」(測地的距離)は可制御性の強さを示す。
● 可観測性グラミアン $W_o$
出力方程式:
$$
y(t) = C x(t)
$$
に対して:
$$
W_o = \int_0^\infty e^{A^\top t} C^\top C e^{A t} dt
$$
- $W_o \succ 0$ ⇔ 完全可観測
幾何学的意味:
- 初期状態 $x(0)$ が出力に及ぼす影響(エネルギー)を測る。
- $W_o$ の核にあるベクトルは「不可観測モード」を示す。
✅ 2. Hilbert空間上の作用素としての伝達関数
● フーリエ空間上の有界線形演算子
$$
y(t) = (h * u)(t) \quad \Leftrightarrow \quad Y(\omega) = H(\omega) U(\omega)
$$
- $H(\omega)$ は周波数応答として、Hilbert空間 $L^2(\mathbb{R})$ 上の 乗算作用素 $M_H$ に対応:
$$
M_H : f(\omega) \mapsto H(\omega) f(\omega)
$$
- $M_H$ が 有界線形作用素 ⇔ $H(\omega) \in L^\infty$
意義:
- 制御系の安定性解析が「作用素の有界性」として記述できる。
- $L^2$ 空間上の単位球面上での 最大ゲイン が $|H|_\infty$ に一致する。
✅ 3. システムの最小実現(Minimal Realization)
● 定義:
-
状態空間系 $(A,B,C,D)$ が、同じ伝達関数 $H(s)$ をもつ中で、
- 最小の状態次数 $n$ をもつ実現
● 条件:
- $(A,B)$ が 可制御
- $(A,C)$ が 可観測
このときの系は「最小可制御可観測実現」と呼ばれる。
● 幾何学的直観:
- 不可制御 or 不可観測なモードを含む場合、状態は削除可能。
- モード分解や Jordan標準形を使った次元縮小が可能。
✅ 4. LTI系と可解スペクトル理論との関係
● スペクトル分解(周波数領域)
- 線形時不変系の動作は、指数関数的モード $e^{\lambda t}$ の線形結合で表現可能。
- $A$ の固有値 $\lambda_i$ は、固有振動モード(resonant modes) に対応。
- $A$ を正規作用素(または自己共役)とみなせる場合、スペクトル定理が適用可能。
● 可解スペクトル理論の応用:
- 伝達関数 $H(s)$ は有理関数であるため、有界正則関数環(Hardy空間) に属する。
- フーリエ変換・ラプラス変換により、LTI系の応答は 可解な周波数成分 に帰着される。
✅ まとめ表(概念マッピング)
分野 | 概念 | 数学的構造 |
---|---|---|
制御理論 | 可制御性 | 可制御行列 / $W_c \succ 0$ |
制御理論 | 可観測性 | 可観測行列 / $W_o \succ 0$ |
関数解析 | Hilbert空間上の作用素 | $M_H : f \mapsto H f$ |
制御設計 | 最小実現 | 状態次元が最小 / 可制御可観測 |
スペクトル理論 | モード分解 | $A = V \Lambda V^{-1}$ の解析 |
Hardy空間理論 | 安定伝達関数 | $H \in H^\infty(\mathbb{C}_+)$ |