GitHub Flow 現場実践ガイド（フルサイクル開発者視点）

概要

GitHub Flowは、GitHubが提唱するシンプルかつ柔軟なブランチ運用フローです。
「本番環境への継続的デリバリー」を前提とし、小さな単位での開発・レビュー・デプロイを高速に回すことを重視します。

1. GitHub Flowの特徴

• main（またはmaster）ブランチは常にデプロイ可能な状態を維持
• 新機能や修正は必ずブランチを切って作業
• Pull Request（PR）を通じてレビュー・CIを実施
• レビュー・テスト通過後、mainへマージし即デプロイ
• シンプルで反復的なワークフロー

他フローとの違い

• Git Flowのような複雑なリリース/ホットフィックス/開発ブランチは原則不要
• 小規模〜中規模、継続的デリバリー志向の現場に最適

2. フルサイクル開発者の現場での使い方・メリット・注意点

フルサイクル開発者の視点

• 要件定義〜設計・実装・テスト・デプロイ・運用まで一貫して担当
• GitHub Flowは 「小さく作ってすぐ届ける」 を実現しやすい
• CI/CDパイプラインとの親和性が高い（GitHub Actions等）

メリット

• 開発サイクルが短く、リリース頻度を高めやすい
• 障害発生時もmainを基点に素早く修正・デプロイ可能
• レビュー・CIを通じて品質担保しやすい
• 運用・保守もシンプル

注意点・現場Tips

• mainの品質担保が最重要（CI必須、レビュー徹底）
• 大規模開発やリリースタイミング調整が必要な場合は工夫が必要
  • フラグ管理や一時的なfeature freeze等
• PR粒度は小さく・こまめに（レビューしやすく、バグ混入リスク低減）
• WIP（作業中）PRも活用し、早めに共有・相談
• IssueとPRを紐付けて管理（#番号で自動連携）

3. 実践フロー（ブランチ戦略、PR、レビュー、デプロイ等）

基本フロー

1. mainブランチを最新に保つ
2. 新機能・修正ごとにブランチを作成
   git checkout -b feature/xxx
   ブランチ名は feature/xxx, fix/xxx など分かりやすく
3. ローカルで作業・コミット・プッシュ
   git add . && git commit -m "feat: ..."
git push origin feature/xxx
4. GitHubでPull Request作成
   • PRテンプレート活用
   • Issueと紐付け（Closes #番号）
5. レビュー・CI実行
   • レビュワーアサイン
   • CI（テスト・Lint等）自動実行
6. レビューOK・CI通過後、mainへマージ
   • squash merge推奨（コミット履歴を綺麗に）
7. mainへマージ後、自動デプロイ（CI/CD）
   • GitHub ActionsやVercel等と連携

ブランチ命名例

• feature/ユーザー認証
• fix/バグ修正
• chore/依存パッケージ更新

PR運用Tips

• PRテンプレートで目的・背景・変更内容・影響範囲を明記
• レビュワー・Assigneeを必ず設定
• Draft PRで早期共有も有効
• 自動ラベル付与（GitHub Actionsやbot活用）

4. よく使うGit/GitHubコマンド一覧

コマンド例	用途	補足・例
git clone <repo>	リポジトリ複製	git clone https://github.com/xxx/yyy.git
git pull origin main	mainの最新取得	mainを常に最新に
git checkout -b feature/xxx	新規ブランチ作成	git checkout -b feature/login
git add .	変更ファイル追加
git commit -m "feat: ..."	コミット	Conventional Commits推奨
git push origin feature/xxx	ブランチをリモートへ
git fetch	リモート情報取得
git rebase origin/main	mainの変更を取り込む	衝突時は手動解決
git merge feature/xxx	ブランチ統合	通常はPR経由でmainへ
git branch -d feature/xxx	ブランチ削除	マージ後の掃除
gh pr create	PR作成（GitHub CLI）	gh pr create --fill
gh pr checkout <番号>	PRブランチへ切替	レビュー時に便利
gh pr merge <番号>	PRをマージ	CLIからも可能
git log --oneline --graph	履歴確認	視覚的に分かりやすい
git status	作業状況確認
git stash	一時退避	作業中断時に便利

5. まとめ・Tips・参考リンク

まとめ

• GitHub Flowはシンプルかつ高速な開発サイクルを実現する運用フロー
• フルサイクル開発者にとって、要件定義から運用まで一貫した品質担保・迅速なリリースが可能
• mainの品質担保・CI/CDの自動化・PR運用の徹底が成功の鍵

Tips

• PR粒度は小さく・こまめに
• mainは常にデプロイ可能な状態を維持
• CI/CD・レビュー自動化で属人化を防ぐ
• Issue・PR・コミットメッセージの一貫性を意識

参考リンク

• GitHub Flow公式
• GitHub CLI
• Conventional Commits