これは何?
- 業務系(BtoB)の受託開発エンジニアの目線から、ものごとの発展の法則について考察したものです。
- ローコード、ノーコードブームも「かつて見た何か」である気がします。そこには過去と今と将来とに繋がる法則がありそうでなので、それをポエム形式にしました。
ものごとの発展の法則とは(ヘーゲルの「事物の螺旋的発展」になぞらえて)
ものごとの発展は、常に違う新しいものに変化していると捉えられます(思います)。しかし、現実はそうではなく、少し長くこの業界にいると「かつて流行った何か」が今よみがえってくるように見えることがあります。
例えば、
・ローコード/ノーコードブームもかつて昔流行ったツールがWeb化して再ブームとなっていること
・かつてJavaで分散オブジェクト(CORBA = Common Object Request Broker Architecture)などと呼ばれていたリモート呼び出しの考え方が、RESTful APIやgRPCのようにリモート呼び出し手続きがWebベースかつ言語に依存しない形になり進化したこと
・言うまでも無いAIブーム(第3次AIブームなどと呼ばれることから、過去に2回のブームがあったということ)
この現象は、哲学者ヘーゲルがいう「事物の螺旋的発展」の感覚があるということです。
端的に言えば、ものごとは螺旋階段を上がるように発展するということを言っています。螺旋階段は、横から見れば上にあがっていきますが、上から見れば同じところをグルグルと回っているに過ぎません。
IT業界における技術革新は、この螺旋的発展の宝庫ではないでしょうか。具体的な事例として二つほど見ていきます。
具体的な事例としてのローコード/ノーコードブーム
<昔>
かつては、現在のようなWebアプリの時代ではなく、デスクトップアプリケーション構築が主体でした。
- IBM社 ロータスアプローチ
- 1993年頃ロータス社が開発し、1995年にはIBMへ買収されました。
- ツールの雰囲気は、現在も現役で使われている方のサイトが参考になります。 http://ksdmiya.art.coocan.jp/page016.html
- ヴァル研究所 ナイル
- 1991年、駅すぱあとで有名なあの会社がかつて作っていました。
- 管理工学研究所 日本語データベースシステム「桐」
- 1986年に初代バージョンをリリース
もっと他にもありますが、そういう意味では、「データベースソフトウェア」と呼ばれるブームでしたか。
今見ると、まさにローコードツールの走りだと思えてなりません。
今に無い特徴としては、業務で利用される帳票と印刷に力を入れていたのではないでしょうか。
<今>
いまは、Webを中心としたアプリケーション構築サービスが主体です。
Kintone、PowerApps、.bubble、OutSystems、FileMaker、yappli ・・・ ココに書き記せないほどのローコード/ノーコードツールが台頭しています。
かつてになかった特徴としては、Webが主体となったこと、データ連携の多様さ(他社サービスとの連携)にあることでしょうか。
具体的な事例としてのRPA(Remote Procedure Call)
<昔>
2000年頃書かれた記事「スキルアップのための分散オブジェクト入門」(@ITの記事)を拝見していると下記の様なワードが説明されています。
EJBやJavaARMIあたりからは、何ともJavaという実装技術に依存した仕様で、しょっぱい臭いがしています。
SOAPあたりの登場で、XMLを活用したメッセージングが行われるようになり、実装技術から切り離されていく感じがします。
<今>
- gRPC - Protocol BuffersとHTTP/2が特徴
- JSON-RPC - HTTPをベースとしたJSON形式のRPCプロトコル
がっつりHTTPをベースとしたやりとりにシフトしている感じがします。
当然ながら流れは、実装技術非依存で、様々な言語で呼び出しができるのが当たり前の時代です。
結論
IT界隈の技術の発展・進化ばかりを追いかけていくと、「キャッチアップ疲れ」が起きてしまいます。私もそうです。
とはいえ、ある程度、この業界にいると「あれ・・・かつて見た何かと似ている」となります。
実は発展・進化しているように見えても、古く懐かしいモノ(こと)が復活してくることがよくあります。
ただ、その復活したモノ(こと)は、過去より何か一段上がっているということが特徴です。(=事物の螺旋的発展)
この事物の螺旋的発展を通してみると、キャッチアップ疲れが少しでも解消されるのではないでしょうか。